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異形の領主 ~追放された俺は《決闘領域》で異形国家を築く~  作者: 葵 直虎
第六章 民とは、変革を背負う礎
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第五十七話「新たな家臣」

流民を受け入れてから一週間。

白金領の復興は少しずつ進んでいた。

荒れた農地の整備。

壊れた家屋の修繕。

街道の補修。

やるべきことは山ほどある。

その日も朔也は開墾地を視察していた。

「順調そうだね」

隣を歩く舞が頷く。

「流民の皆もよく働いてくれてるし、陣内さんがまとめてくれているおかげだね」

視線の先では男たちが汗を流していた。

その中心にいるのは剛だった。

大木を担ぎ。

岩を動かし。

誰よりも働いている。

「本当に力持ちだな」

朔也が感心する。

「私もあそこまでは無理です」

舞も苦笑した。

「雷堂さんでも難しいよ」

「雷堂様なら、やってくれます!」

「そ、そうだね...」

舞の勢いに押される朔也を尻目に、流民たちがせっせと働いていた。


その時だった。

「危ない!!」

悲鳴が響く。

全員が振り向いた。

開墾中の斜面が崩れていた。

土砂と共に大岩が転がり落ちる。

その先には子どもがいた。

流民の少年だった。

恐怖で足が動かない。

誰もが顔を青くする。

間に合わない。

そう思った瞬間だった。

剛が飛び出した。

地面を蹴る。

一直線。

少年の前へ。

そして。

轟音。

転がってきた岩を真正面から受け止めた。

「なっ……!?」

周囲が息を呑む。

大人数人でも動かせない大岩。

それを剛は両腕で支えていた。

筋肉が軋む。

足元の土が沈む。

それでも。

「逃げて!」

叫ぶ。

少年は我に返った。

慌ててその場を離れる。

次の瞬間。

剛が大岩を横へ押し倒した。

轟音と共に岩が転がっていく。

静寂。

そして。

歓声が上がった。


ーーー


「大丈夫か!」

朔也たちが駆け寄る。

剛は肩で息をしていた。

両腕には擦り傷ができている。

だが無事だった。

「平気です」

そう言って笑う。

助けられた少年は涙を流していた。

「ご、ごめんなさい……」

「気にするな」

剛は優しく頭を撫でる。

「無事ならそれでいい」

その姿を見ていた領民たちの表情が変わっていた。

異形。

余所者。

そう見ていた者たちもいた。

だが今は違う。

目の前で子どもを助けた。

それが事実だった。

「剛と言ったね。今のは見事だった」

「何か礼をさせてほしい」

「領主様なぜこんなところに? それに褒美までいただく必要はございません。私ができることをしたまでです」

「そんな謙遜しなくて良いよ。追って褒美を渡すから、待ってほしい」

「...感謝します」

「今までこのようなことがなく、正直困惑しています」

「はは、こんなことが当たり前になるように領を変えていかないとね。引き続き頼むよ」

剛は深々と頭を下げ、朔也たちもその場を去った。


ーーー


その日の夕方。

城へ戻った朔也は宗二たちに今日の出来事を話していた。

「なるほどな」

宗二が腕を組む。

「確かに見込みはありそうだ」

「働き者だし、人柄も悪くない」

陣内も頷く。

「領民の評価も変わるだろうな」

雷堂は豪快に笑った。

「ははは!」

「気に入ったぞ!」

「それだけの怪力とは珍しいな。一度見てみたいものだ」

「雷堂さん、頼むから力試しとか言って、剛と戦ったりしないでね」

「ああ。まあ、剛という者が言ってきたら別だがな」

雷堂が不敵に笑っていた


ーーー


その夜。

朔也は一人で考えていた。

剛のことを。

力がある。

人望もある。

そして何より。

誰かを助けるために動ける男だった。

どこか自分と似ている気がした。

翌日。

朔也は剛を城へ呼ぶことを決める。

もっと話を聞きたい。

なぜ流民になったのか。

どんな過去を歩んできたのか。

そして。

この先も白金領で共に歩んでくれるのか。

朔也は静かに夜空を見上げた。

新たな仲間との出会いが。

白金領をさらに大きく変えようとしていた。

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