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異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第六章 民とは、変革を背負う礎
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第四十六話「再生のはじまり」

砦の広間には、蒼牙団の面々や義勇軍から残った兵、雷堂たちが事前に呼びかけていた町人や村人代表たちが集められていた。

朔也は前に立ち、深呼吸をしてから口を開く。


「皆、聞いてくれ。俺はこの白金領を、もう一度豊かな土地にしたいと思っている。そのために、まずは畑を甦らせる。食べるものがなければ、何も始まらないからだ」


ざわめきが広がる。誰もが同じ思いを抱きつつも、どうすればよいのか分からずにいたのだ。


「朔也様、言いたいことはわかりますが、実際どのようなことをしていったら良いのでしょうか?」

「...戦のせいで、おらたちの畑はもう...」


宗二が前に出て補足する。

「具体的には、三つだ。一つ、戦で破壊された水路の再建。二つ、畑を耕す人手の確保。三つ、収穫までを繋ぐための食料分配。これらを同時に進めねばならん」


雷堂は腕を組んでうなずく。

「武を振るうばかりじゃない、土を耕すのも戦いのひとつだ。俺は近隣の村々へ連絡を回し、手を貸してくれる者を募ろう。また、他領に声をかけ、食料を融通してもらえないか聞いて回ろう」


「私は薬草を育てて、食べられる野草を調べてみる。少しでも飢えを凌げるように」

茜が前に出て言う。


「私も村の女たちに声をかける。子どもや老人でもできる仕事は必ずあるから」

舞も力強く宣言した。


蒼牙団の若者たちも声を上げる。

「俺たち、戦だけじゃなく働き手にもなるぜ!」

「水路の掘り直しなら任せてくれ!」


次第に場の空気が熱を帯びていく。


「商売以前に、白金領で生きていく上には手を合わせなくては... 我々の町で人や物を募ってみましょう」

「ここからがおらたちの戦か... 村の動けるやつら全員で畑をもう一度耕したる!」


町や村の代表として来ていた者たちも、朔也たちの強い意志に乗っかり、頷いていた。


朔也は皆の顔を見渡し、拳を握りしめた。

「ありがとう。俺ひとりでは何もできない。だけど、みんなが力を合わせれば、必ずこの白金領は甦る。絶対にやり遂げよう!」


その声に、広間中が大きな歓声で応えた。


———


数日後、砦を出て各地で作業が始まった。

特に城下町周辺の村は、忠範の影響も強くあり、荒れていた。


枯れた水路に新たな水が流れるよう、土を掘り返す者。

荒れた畑を鍬で打ち直し、苗を植え直す者。

村の女たちは粥を炊き出し、働く者たちに振る舞った。


「ほら、朔也!この辺り、まだ土が柔らかいよ!」

汗だくになった舞が叫ぶ。


「ありがとう舞!そのまま続けて!」

朔也も自ら鍬を振るい、泥にまみれて働いていた。


「朔也様、そんな...! ここは我々で行いますので、あちらで休憩でも…」


村長が青ざめた表情で、朔也に言った。


「いや、俺も少し前まではただの村人だったよ。こうやって鍬を振るっている方が性に合ってるし、人手はいくらあっても足りないから、気にしないで」


朔也が鍬を片手に持ち、笑った。


「わかりました... あなた様は、本当に犬飼家とは違うのですね。先日の集会に参加できておらず、人伝に聞いただけではあまり信じられることではなかった。改めて、感謝します」


村長は頭を下げた。


「いいよ、俺は白金領のみんなが笑顔でいて欲しいんだ。だからこそ、自分が力になれることはやりたいんだ」


「ほらっ!朔也、手止まってるよ〜」

「舞... 分かったよ。ほら、村長さんも頭下げてないで、もっと村の人たちに指示出してきて」


「...ははっ。わかりました。おい、お前たちは向こうの方を耕してきてくれ。ここは...」


村長がてきぱき指示を出し、村人全員が一丸となり、村にある土を耕し始めた。


「朔也、この村も戦で苦しんでいたとはいえ、村全体でやればすぐに終わりそうだね」

「あぁ、そうだな。ここからどんどん忙しくなりそうだ。舞にも色々お願いすると思うけど、よろしくね」


「もちろんよ。雷堂様もいるし、忠範のしてきたことなんて、すぐに取り返せるわ」

舞は胸を張って、応えた。


———

少しずつではあるが、白金領の領民に笑顔が戻り始めてきた。

一方で、白金領の片隅では、陰でささやき合う影があった。


「犬飼家が滅んだからといって……小僧に何ができる」

「城を奪った程度で、領主気取りか」


その声はやがて、不穏な波紋となって広がり始めていた。

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