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異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第五章 蜂起とは新たなる革命
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第三十九話「決戦に向けて」

初投稿です。

白金城の奥深く、犬飼忠範は玉座に腰を沈めたまま、顔をしかめていた。側近の一人が玄馬の敗北を告げる声は、まるで耳障りな雑音のように響いていた。


「……玄馬が、やられた? あの雷堂と、そして……あの白髪の少年に?」


「は、はい。玄馬様は命こそ助かりましたが、深手を負い、今は……」


「黙れ!」


忠範が杖を突きながら立ち上がる。顔には怒りと焦燥がにじみ出ていた。


「雷堂め……かつては先代までは我が家に忠義を払っていたものを……雷堂が当主になってからは圧倒的な強さに驕り命令すら守らなくなって...... そして、謀反とは。赦さぬ。絶対に赦さぬぞ……!」


その時、家臣の一人、老練な中年の武士が一歩前に出た。


「忠範様、失礼ながら……雷堂殿の名が広がっております。民の間では『雷堂様こそ真の武士』と語られており、兵の中にも迷いが……」


「それがどうした!? 迷う者は首を刎ねよ!」


「……ではございますが、民の不満も募っております。先日、徴兵に応じなかった農村で、小規模な反乱も……」


忠範は言葉を失う。今や、民心は確実に離れつつあった。


—その様子を、密かに見つめる男がいた。


若き家臣・塙は、雷堂と何度か剣を交えた経験がある男だった。彼は心の内で決断していた。


(もう、終わりだ……。このまま忠範に仕えていても、白金は滅びる。しかも昨日に上がっていたという赤い狼煙は義勇軍という謀反を起こしている者たちの決起の証という... 雷堂殿のもとなら……)


塙はその夜、密かに使いを出し、雷堂への内通を決意する。


———


赤い狼煙を上げてから数日、雷堂の屋敷では、朔也、宗二、雷堂が忠範軍の動向を踏まえて、いつ攻めいるか作戦を練っていた。


「徴兵数が通常の三倍……無理な増兵だな。動員された兵の多くは、士気も低ければ訓練も浅いはずだ」


「忠範はさぞ焦ってるんだろう」


雷堂が呟いた。


「こういう時の軍は、最初の一撃で崩れやすい。けど……こっちの方は士気はありますけど、実力などまだ足りてないですね。少し訓練などした方が良い...?」


「あぁ、赤い狼煙を上げ各地に合図は送ったから、各地から人が集まっているのだが...」


朔也の発言に宗二は頷き、朔也に視線を向けた。


「やはり、奴らの状況をもう少し詳しく知る必要があるか」


「それなら、忠範に仕えていた塙というものから連絡をもらっている。今の状況としては...」


雷堂が、塙からもらった情報を宗二と朔也に伝えた。


「なるほどな。忠範はイラつき、家臣や兵士たちも不信感が強まっていると... なら、もうすぐにでも攻める方が良いな!」


宗二は雷堂の話を聞いて、方針を固めた。


「わかった... それなら、明日決行しよう!作戦に関してはすでに、宗二さんが考えているんだ。やってやろう!」


朔也は決意を固め、明日決行することを全員に伝えた。


———


その日、雷堂の屋敷は静けさに包まれていた。それもそのはず、義勇軍として集った者たちに明日決行ということが伝えられたからだ。


宗二は屋敷の一室で、集めた兵士たちの名簿に目を通していた。


「農民、かつての兵士、町の若者……まだ軍とは呼べんが、意志はある。今回の戦いは共に兵士と呼べるものは少ない。だからこそ、意思の強さが勝敗を決するはずだ...もう、あの時と同じ過ちは犯さない...」


屋敷の中庭では、蒼牙団や晴仁は武器の整備を、シンはいつも以上に落ち着いた様子であった。


「陣内さん、ついにこの時が来たんすね」


「そうだな。朔也はまだ若いが、意思は本物だ。そんな朔也ならこの白金領を変えてくれるとみんなが信じているからだろ」


晴仁と陣内は整備をしながら、会話を続けた。


「朔也なぁ... あいつ、俺と歳なんかあんまり変わらないはずなのにな... 俺、あいつのためにも、村のみんなのためにも明日の戦いは絶対勝ちたい...!!」


「もちろんだ!俺たちもこの白金領の荒み具合にはもう我慢できないことがある... 絶対やり切るぞ!」


「がぉっ!」


晴仁、陣内、そしてシン全員が各々の気持ちを込めながら、明日へ意気込んだ。


その一方で、舞は屋敷の一角に集められた義勇軍の兵や集まった村人たちに、薬の配布や励ましの声をかけていた。


「ありがとう、嬢ちゃん……雷堂様の元で、こうして共に戦える日が来るとはな」


「……うん。私たちも、あなたたちと一緒に戦えて嬉しいよ。だから、絶対に明日は負けられないね」


舞の声には、確かな決意がこもっていた。


———


そして、屋敷の屋上に朔也と茜が立っていた。遠くに灯る幾つもの篝火が、集まりつつある仲間たちの意志を照らしていた。


「……ついに、ここまで来た」


朔也が呟いた。


茜もこれまでの時間を振り返り、静かに言葉を返した。


「朔也が助けてくれたあの日、私はただ何もできない、弱い存在だった... でも、今はこんなに多くの仲間がいて、私もスキルが使えるようになって... あと一歩のところまで来たね...」


「……俺も、どうにかこの白金領を変えたいと思っていた... 戦いや旅を通して、宗二さんや雷堂さん、みんなに出会えた。こんなに仲間ができるとは村を追い出された時には思ってもいなかったよ。ようやく……俺たちの望む未来が見えた気がする」


「...うん、そうだね...」


二人で話していると、後ろから雷堂がやってきた。


「忠範は、変わらない。変えようとした者を、ただ斬り捨ててきた。ならば、我らが変えるしかない」


「あぁ!やろう!」

「はい!やりましょう!」


月光が二人の顔を照らす。静かな夜に、雷堂がそっと笑う。


「明日、出るぞ。白金城へ」


朔也は力強く頷いた。


「うん……行こう。奪われたものを、取り返すために」


夜明けの空に、一本の狼煙が上がる。白金の地に、新たな時代を告げる狼煙が——。

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