第三十四話「誓いの宴」
初投稿です。
玄馬との戦いが終わり、今は状況の整理が行われていた。
戦場の片付けを進める宗二が、蒼牙団と共に戻ってくる。
「敵の残党は散った。こちらの被害も軽微だ。雷堂さん、勝利だ」
雷堂は静かに頷き、そして口を開く。
「この戦を仕掛けたのは……領主、犬養忠範だ。民を巻き込み、俺を殺すために玄馬を動かした。だが、失敗した」
「……もはや、これ以上はあやつの所業を見過ごすことはできん。代々久遠院家は犬飼家に仕えていた。しかし、忠範が当主になってから、白金領の荒み具合はひどくなった。ここで、朔也とともに犬養忠範を討つことを決めた」
その言葉に、場の空気が張りつめる。
だが、すぐに朔也が一歩前に出て、強く言った。
「俺は、この白金領を変えるためにこれまで動いてきた。ついに雷堂さんというこの領で力のある人と共にできるところまで来た...皆、ついにここまで来たんだ!一緒に忠範を討ち取ろう!」
舞も雷堂の隣に立ち、毅然と言う。
「私も。雷堂さまの意思を、共に果たします」
茜、宗二、晴仁、蒼牙団、そして、シン――誰も否やは口にしなかった。
この場にいる全員が、雷堂の信念と朔也の覚悟に心を動かされていた。
「……決まりだな」
雷堂がふっと笑うと、振り返って屋敷の中を見渡す。
「今日の勝利を祝い、皆で一杯やろう。戦の後の宴ぐらい戦いの褒美としてやらせてくれ!」
「おぉー!」
———
夜、屋敷の庭に灯りが灯り、即席の宴が開かれた。
食糧は限られていたが、それでも皆の顔には笑顔が戻っていた。
「おい、陣内とやら、お前結構飲める口か...! こっちに来て、一緒に飲むぞ!」
久々に宴を開き、上機嫌な雷堂は叫ぶ。
「.....ん? 剣の戦いでは雷堂殿が上かもしれないが、こっちで負ける訳にはいかないな.....」
ニヤリと笑うと、陣内は酒を片手に雷堂の隣へと座った。
「なに...? 俺はこっちでも領内一だぞ... ほら、飲め!」
「いやいや、それは今日までの話だな」
こつんとお猪口を合わせて、二人は勢いよく飲み始めた。
舞は雷堂の方を見ると、
「久しぶりに雷堂さまがはしゃいで笑ってる……」とそっと驚いた顔で呟いた。
朔也は一人落ち着いて飲んでいた宗二に話しかける。
「……ようやくここまできたね、宗二さん」
「あぁ、そうだな....! お前たちがいれば、やれる気がするよ」
宗二は笑って答える。
「宗二さんと出会ってまだそんなに経ってない気がする...舞、晴仁、シン、蒼牙団、そして雷堂さん...新しい仲間が増えて..... ついにここまで来たけど... 一番頼りになるのは宗二さんだなぁ...」
朔也は、酔ってきたのか、ぽつりぽつりと呟き始めた。
「ふっ、どうした朔也?酔ってきたんじゃないか?」
「そんな訳ないよ... 普段あまり言えてないから...」
朔也は少し恥ずかしそうになりながらも続けた。
「砦で俺を認めてくれて、そこからみんなのまとめ方から戦い方、いろいろな知識や経験を教えてくれてありがとう... これからも頼りにさせてほしい!」
「...ああ、もちろんだとも。俺たちはここからだ!」
宗二は少し照れくさそうにしつつも、朔也と手を取り合い、杯を飲み干した。
宴はつづき、酒の勢いも手伝い、蒼牙団のメンバーたちが即興で歌い出し、
シンは焼き魚をむさぼりながら満足げに唸る。
———
宴も終わりに近づいた頃、雷堂は静かに立ち上がった。
「皆、聞け。——この宴は勝利の祝いだけではない」
場が静まり返る。
「これは、誓いの宴でもある!我らは今日をもって、旧き秩序に別れを告げる。
……腐った白金領を、正義と信念のもとに打ち立て直す」
杯を掲げる雷堂に、朔也が杯をぶつける。
「……新しい時代を、俺たちで作ろう!」
杯が打ち鳴らされる音が、夜空に高く響いた。
月明かりの下、誓いの火が、確かに灯る。
そしてそれは、来たるべき決戦への序章となるのだった。
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