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異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第四章 雷鳴とは最強たる証
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第三十三話「覚悟を決め、一騎打ち」

初投稿です。

屋敷裏庭。

崩れた塀の向こうに展開された【決闘領域】。

空気が一変するのを、誰もが肌で感じていた。


——時間が止まる。

この空間で動けるのは、朔也とその対象、玄馬だけ。



「……なんだ、この空間は」

玄馬が剣を構えながら低く唸る。


「俺の力だ」


「お前も雷堂のように持っているのか......」


朔也が一歩、足を踏み出す。

「お前と一騎打ちする。ここでは、誰にも邪魔はさせない」


玄馬はふっと鼻で笑った。


「しかし、その特別な力が一騎打ちを強制するものなのか?小僧が、俺に挑むだと? 貴様、雷堂にでも感化されたか」


「……あの人を侮辱するな」

朔也の瞳に、怒りの火が灯る。


「お前は……人質を取って誇るようなやり方で、何を勝ち取れると思ってる」


「戯言だ」

玄馬が歩を進める。

「お前らのような特別な力など持たずとも、俺は剣一筋でここまで来た。雷堂が“天賦の才”でのし上がったように見られる中、俺は地を這って剣を磨いた。……だがな」


その剣が、唸りを上げて空を裂く。

「その努力を、実力を、誰も認めようとしなかった! だから俺は、ここで雷堂を越える!その道中にお前のような小僧がいていいわけないのだ.....」


「そんな妬みなんかで舞を人質に取ったのか...!俺はそんなやつに負ける訳にはいかない.....!!」


———


お互いが、刀を抜いて構えた..


「いくぞ!」


勢いよく玄馬が歩み始めた。

刀が交わる。

一太刀。二太刀。


玄馬の太刀筋は、重く、鋭く、迷いがない。

その動きに、華麗さはない。ただ、実直な太刀筋、積み重ねられた修練の重みがある。


朔也は「勝機視界」を発動するが、赤く染まらず、隙を全く感じ取ることができない。


(……本当に、隙がない……!)


剣の間合いに入れば、即座に切り伏せられる。

機を待つ朔也に対し、玄馬は圧倒的な攻めで詰めてくる。


「どうした、さっきの勢いは!」


朔也は必死に間合いを外し、動きを読む。


(勝てない……いや、違う。こんな逃げ腰で勝てる相手な訳がないだろ……)


刀を一度ぶつけ、朔也は距離をとった。


「小僧、思った以上に粘るが...もう限界だろ?そろそろ勝負を決めさせてもらおうか..... 雷堂を倒さないといけないからな」


「...ふっ」


朔也は一度気持ちを落ち着けるために深呼吸をした。

そして、刀を握り直した。


「... 俺はお前に勝つんだ! 俺はこの白金領を変えてやるんだ!こんなところで負ける訳にはいかない!!」


「ほざけ、小僧... ここでお前は雷堂諸共終わりだ!!」


朔也の覚悟が改めて固まった刹那、背後に声が響く。


《——共鳴、開始。スキル【領域共鳴】、起動。》

《接続対象:久遠院雷堂》


雷が、走った。


朔也の身体が、青白い光に包まれる。

雷堂が纏っていたはずの、“あの力”が、朔也の刀と体へ宿る。


「なっ……! それは、雷堂の……!」


「……これが、俺たちの覚悟と信頼の結晶だ!」


朔也の一閃。

雷光が、玄馬の剣を弾き飛ばし、玄馬は姿勢を大きく崩した。


——《勝機視界》、発動

——視覚化:左腰、赤


その瞬間、玄馬の左腰に、赤い光――「隙」が見えた。


「そこだぁ!」

朔也の剣が、雷を纏って突き進む。


「ぐっ……がああああッ!!」


玄馬が、大きく後退。

朔也の剣が、彼の腰を斬り裂いた。


決闘領域の外では、止まっていた時間がゆっくりと動き出す。


——スキル解除。勝者:神谷朔也。


———


朔也がその場に膝をつき、深く息をついた。

領域が解除されると、そこにはすでに倒されている玄馬の腹心たちがいた。


玄馬がいなくなったことで驚いた隙に、雷堂が電光石火の早業で倒していたようだ。


まだ気絶していなかった玄馬の腹心が、玄馬の姿を見て、驚愕の表情になった。


「玄馬様.....」


助けられてる舞の姿を見た朔弥が、雷堂と舞のもとに歩み寄って、抱きしめて言った。


「よかった、無事でいてくれて」


舞の目に涙が浮かび、静かに頷く。


——


雷堂は朔也に近づき、深く一礼した。


「……神谷朔也。お前の覚悟と強さ、確かに見届けた」


そして、手を差し伸べて告げる。


「忠範を、討とう。お前と共に――白金領を、変えさせてくれ」


「もちろんだ、雷堂さん...! ともにこの地を変えよう!」


朔也は笑みを浮かべて、その手を取った。


「しかし..... 舞に抱きつくのは許さん.....!!」


雷堂が急に何を言ったかと思うと、手を握る力を急に強めた。


「痛っ..! ちょっとやめろって....」

「雷堂さま!何してるんですか...!?」


朔也は痛みを訴えながらも、雷堂と心を通わせられたことに笑みを浮かべていた。

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