第三十三話「覚悟を決め、一騎打ち」
初投稿です。
屋敷裏庭。
崩れた塀の向こうに展開された【決闘領域】。
空気が一変するのを、誰もが肌で感じていた。
——時間が止まる。
この空間で動けるのは、朔也とその対象、玄馬だけ。
「……なんだ、この空間は」
玄馬が剣を構えながら低く唸る。
「俺の力だ」
「お前も雷堂のように持っているのか......」
朔也が一歩、足を踏み出す。
「お前と一騎打ちする。ここでは、誰にも邪魔はさせない」
玄馬はふっと鼻で笑った。
「しかし、その特別な力が一騎打ちを強制するものなのか?小僧が、俺に挑むだと? 貴様、雷堂にでも感化されたか」
「……あの人を侮辱するな」
朔也の瞳に、怒りの火が灯る。
「お前は……人質を取って誇るようなやり方で、何を勝ち取れると思ってる」
「戯言だ」
玄馬が歩を進める。
「お前らのような特別な力など持たずとも、俺は剣一筋でここまで来た。雷堂が“天賦の才”でのし上がったように見られる中、俺は地を這って剣を磨いた。……だがな」
その剣が、唸りを上げて空を裂く。
「その努力を、実力を、誰も認めようとしなかった! だから俺は、ここで雷堂を越える!その道中にお前のような小僧がいていいわけないのだ.....」
「そんな妬みなんかで舞を人質に取ったのか...!俺はそんなやつに負ける訳にはいかない.....!!」
———
お互いが、刀を抜いて構えた..
「いくぞ!」
勢いよく玄馬が歩み始めた。
刀が交わる。
一太刀。二太刀。
玄馬の太刀筋は、重く、鋭く、迷いがない。
その動きに、華麗さはない。ただ、実直な太刀筋、積み重ねられた修練の重みがある。
朔也は「勝機視界」を発動するが、赤く染まらず、隙を全く感じ取ることができない。
(……本当に、隙がない……!)
剣の間合いに入れば、即座に切り伏せられる。
機を待つ朔也に対し、玄馬は圧倒的な攻めで詰めてくる。
「どうした、さっきの勢いは!」
朔也は必死に間合いを外し、動きを読む。
(勝てない……いや、違う。こんな逃げ腰で勝てる相手な訳がないだろ……)
刀を一度ぶつけ、朔也は距離をとった。
「小僧、思った以上に粘るが...もう限界だろ?そろそろ勝負を決めさせてもらおうか..... 雷堂を倒さないといけないからな」
「...ふっ」
朔也は一度気持ちを落ち着けるために深呼吸をした。
そして、刀を握り直した。
「... 俺はお前に勝つんだ! 俺はこの白金領を変えてやるんだ!こんなところで負ける訳にはいかない!!」
「ほざけ、小僧... ここでお前は雷堂諸共終わりだ!!」
朔也の覚悟が改めて固まった刹那、背後に声が響く。
《——共鳴、開始。スキル【領域共鳴】、起動。》
《接続対象:久遠院雷堂》
雷が、走った。
朔也の身体が、青白い光に包まれる。
雷堂が纏っていたはずの、“あの力”が、朔也の刀と体へ宿る。
「なっ……! それは、雷堂の……!」
「……これが、俺たちの覚悟と信頼の結晶だ!」
朔也の一閃。
雷光が、玄馬の剣を弾き飛ばし、玄馬は姿勢を大きく崩した。
——《勝機視界》、発動
——視覚化:左腰、赤
その瞬間、玄馬の左腰に、赤い光――「隙」が見えた。
「そこだぁ!」
朔也の剣が、雷を纏って突き進む。
「ぐっ……がああああッ!!」
玄馬が、大きく後退。
朔也の剣が、彼の腰を斬り裂いた。
決闘領域の外では、止まっていた時間がゆっくりと動き出す。
——スキル解除。勝者:神谷朔也。
———
朔也がその場に膝をつき、深く息をついた。
領域が解除されると、そこにはすでに倒されている玄馬の腹心たちがいた。
玄馬がいなくなったことで驚いた隙に、雷堂が電光石火の早業で倒していたようだ。
まだ気絶していなかった玄馬の腹心が、玄馬の姿を見て、驚愕の表情になった。
「玄馬様.....」
助けられてる舞の姿を見た朔弥が、雷堂と舞のもとに歩み寄って、抱きしめて言った。
「よかった、無事でいてくれて」
舞の目に涙が浮かび、静かに頷く。
——
雷堂は朔也に近づき、深く一礼した。
「……神谷朔也。お前の覚悟と強さ、確かに見届けた」
そして、手を差し伸べて告げる。
「忠範を、討とう。お前と共に――白金領を、変えさせてくれ」
「もちろんだ、雷堂さん...! ともにこの地を変えよう!」
朔也は笑みを浮かべて、その手を取った。
「しかし..... 舞に抱きつくのは許さん.....!!」
雷堂が急に何を言ったかと思うと、手を握る力を急に強めた。
「痛っ..! ちょっとやめろって....」
「雷堂さま!何してるんですか...!?」
朔也は痛みを訴えながらも、雷堂と心を通わせられたことに笑みを浮かべていた。
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