第三十二話「領内最強、雷堂」
初投稿です。
雷堂の屋敷奥――中庭を抜けた先にある武家屋敷の裏手。
土壁が崩れ、瓦が散乱する中、舞は走っていた。
(お願い、間に合って……!)
屋敷を守るために命を張って戦っている、あの人の背中を思い出す。
雷のように鋭く、けれど、どこかあの暖かい彼の眼差しを。
「雷堂さま……!」
舞が建物の影から顔を覗かせたその先――
血と土にまみれた庭で、一人の男が敵兵の集団を相手に剣を振るっていた。
雷堂。その青髪は乱れ、衣服には斬られた跡もある。だが、その動きに一切の迷いはなく、余裕の姿勢を崩さない。
「……次はお前か」
雷堂がゆっくりと剣を振り下ろし、地に倒れる敵兵の姿。周囲にはすでに二十数人の屍が転がっていた。
舞の足が止まる。
「雷堂さま……!」
雷堂がふと気づいたように振り向き、舞の存在を認める。
「来るな、舞!」
その声は怒鳴るでもなく、だが強く。
「……でも、雷堂さま! そのご様子は1人でずっと戦い続けていますよね……!」
「この屋敷にはそう戦えるものは少ない。そいつらは、戦えないものの護衛として任せている。だから、俺がここで1人で止めているだけの話だ」
そう言って、雷堂は再び前を向く。
そしてその先には、敵兵たちの中央に立つ一人の男がいた。
――玄馬。白金領第二の剣士。雷を纏うスキルを持つ圧倒的強者の雷堂を抜かせば、自身の剣術を限界まで鍛えた剣豪である。
筋骨隆々とした体格に、無骨な鎧と大太刀を構えた姿。その隣には、彼に従う腹心と思われる兵たち数名。
「まだまだ足りんのか。どれだけ送ってこようと、俺は止まらんぞ」
雷堂の目は燃えるように鋭く、声は低く響く。
玄馬は一歩前に出て言った。
「くっ、随分な余裕だな、雷堂。だが、お前がどれほど剣を振るおうと、所詮は一人。……やがては力尽きる」
雷堂は冷たく笑う。
「ならば試してみろ。俺の命が尽きるか、お前の士気が尽きるか――」
雷堂が話を話に夢中になっている瞬間、舞の背後から駆け寄る足音。
「舞っ!!」
雷堂が飛び出すも、剣を振るう間もなく、舞は腕を押さえられ、取り押さえられてしまう。
「離せっ……!」
必死に抵抗する舞の声を無視して、玄馬が言った。
「雷堂。こいつは随分お前に近い存在みたいだな。お前は、この女一人の命で、剣を置く覚悟はあるか?」
雷堂は剣を構えたまま、止まった。
「お前がここで腹を切れば、女は見逃してやる。どうする、雷堂? 俺からすれば、お前がいなくなれば、あとは正直どうでも良いんだ」
「雷堂さまぁ!私はあの日拾って頂いた時から、雷堂さまのものです。こんなやつの言うことなんか聞かないで!」
「なっ..... お前たちこの女の口を塞げっ!」
「おい、玄馬! 舞に手を出すな!」
———
その頃、屋敷の影では、朔也たちがこのやりとりを気配を殺して見守っていた。
「……舞が捕まった……!」
茜が声を詰まらせる。
宗二は静かに周囲を見渡す。
「敵の主力はほとんど集まっているな。玄馬も……やはりただの脇役じゃない。あんなことを言っているが風格は只者ではないな」
「……俺が行く」
朔也が立ち上がる。
「奴と、決闘する。あれが……本当に白金領の“二番手”だとしても――俺が勝たなきゃ、先には進めない」
「そうだな..... 朔也にしかできないことだ!あいつを倒して、舞も雷堂も助けてやろうぜ!」
晴仁は朔也を激励するかのように肩を叩いた。
「朔弥... 狐よ出てきて」
茜も覚悟を決めたかのように、白狐を召喚し、朔也にできる限りの支援をかける。
「朔也、絶対勝って、舞ちゃんと雷堂さんを助けようね!」
「あぁ!ありがとう、茜。もちろん、全員助けるさ!」
瞳を閉じ、意志を固める。
そして、朔也は勢いよく雷堂と玄馬の間に飛び出した。
「おい、玄馬とやら、俺と勝負しろ!」
——発動条件を確認。対象:知性あり
——スキル【決闘領域】、展開
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