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異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第四章 雷鳴とは最強たる証
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第三十一話「雷鳴の先に」

初投稿です。

日が落ち始めた頃、一行は険しい山道を抜け、雷堂の屋敷がある丘の手前まで辿り着いた。


朔也、茜、舞、宗二、晴仁、シン、そして蒼牙団。砦を出た者たちは皆、緊張に満ちた空気の中で足を止め、遠くに見える屋敷を見据える。


「……静かすぎる」

陣内が眉をひそめる。

「屋敷が襲われているはずなのに、煙も火の手もない……まるで、何も起きていないかのようだ」


だが、それは目に見える範囲だけの話だった。


近づいていくと、屋敷の周囲、塀や外庭のあちこちが激しく損壊していることに気づく。折れた木々、崩れた石垣、土に残る鮮明な足跡と、そこにこびりついた血の跡――。


「けど……おかしいな」

舞が唇を噛む。

「雷堂さまの側近たち……倒れている人の中に見覚えのある顔がいない。もしかして、屋敷の内部にまだ……」


「.....ぁー!」


彼女の言葉が終わらぬうち、屋敷の奥からかすかな悲鳴が聞こえた。


「今の声……!」

舞が真っ先に駆け出そうとするのを、朔也が制した。


「待て、舞。迂闊に飛び込むな。陣内さん、包囲状況を確認してくれ。宗二さんは全体の配置を見て指示を」

「了解した。すぐに動こう」

宗二と陣内がそれぞれの仲間に指示を飛ばし、周囲の様子を確認するため散っていく。


一方、朔也は舞に向き直った。


「舞、雷堂さんが無事かどうか、まだわからない。でも……お前が落ち着いて動かないと、かえって危険なことになる」


舞は悔しげに唇を噛みながらも、うなずいた。


「……ごめんなさい。でも、雷堂さまは……あの人は、誰よりも無茶をする人だから...... 自分だけで、何とかしようとして……きっと今も――」


「いやぁーー!」


そのとき、再び悲鳴が上がった。今度ははっきりと聞こえる、女性の声だった。


「……中の人たちが襲われてる」

茜が不安そうに言う。


「助けに行くぞ」

朔也の言葉に、皆が動き出した。


———


屋敷の一角に踏み込んだ一行の前に広がっていたのは、荒らされた中庭だった。

その中心に震えるように身を寄せ合う屋敷の者と襲いかかろうとする敵兵たちの姿があった。


「援軍だ!お前たち、やめろ!」


と叫び、正義感が一番強い晴仁が走り出した。


「崩掌!!」


晴仁が斬りかかろうとする敵兵を刀ごと殴りつけ、気絶させた。


「ひっ、ひぃ。お前たちはなんだ......!?」


無事だった敵兵が怯えながら聞く。


「俺たちは雷堂さんを助けに来た。あの砦の長をやっている、神谷朔也だ!」


「お前があの砦のか...... はは!お前のせいで雷堂はもう終わりだ...」

「うるさい」


と言った舞が手刀で最後の1人を気絶させた。


———


敵兵を倒して屋敷な者たちに近づくと、中には怪我を負い、血を流している者もいる者がいた。


「あなた、大丈夫...!? こっちに怪我人が!」

「あなたは舞さまでは...! 無事だったのですね」


舞が即座に駆け寄り、傷ついた女中の手を取りながら治療を始める。


「……雷堂さまは?」

舞が声をかけると、女中が少し言いづらそうに答えた。


「奥の武家屋敷に、一人で……来た兵全員を食い止めていらっしゃいます……」


「やっぱり……!」

舞の顔が蒼白になる。


「舞、落ち着け――」

朔也の制止も届かず、舞は雷堂のもとへ駆け出した。


「舞!」

追おうとする朔也の腕を、宗二が止めた。


「今は引き留めるより、全体の状況を把握しろ。敵の主力がどこにいるかが見えていない」


「……わかりました。舞を信じます」

朔也は拳を握りしめ、視線を屋敷の奥へと向けた。


そして彼の胸には、舞への心配と、これから訪れるであろう戦いへの覚悟が芽生えていた――。

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