第二十七話「共鳴する背中」
初投稿です。
蒼牙団との合流から三日。
朔也たちは道中、獣の群れに悩まされている村の噂を耳にし、立ち寄ることにした。
「夜な夜な襲ってくるらしい。食料も家畜も持っていかれてるとか」
地図を広げながら蒼牙団の団長、陣内が言う。
「また……シンみたいな妖獣なのかな?」
舞が警戒を滲ませると、シンが小さく鼻を鳴らし、心なしか否定するような雰囲気を匂わせた。
「シンの反応を見るに違うみたいだね。普通の獣に襲われてると考えておけば良いのかな」
「そうだな。流石に何度も妖獣が出てくるなんてことあったら、たまったもんじゃないな...」
乾いた笑いを晴仁があげた。
晴仁の言葉に対して、朔也が口を開いた。
「妖獣ではないとはいえ、村を襲うような獣だ。生半可な覚悟で行ったら逆に食われてしまうかもしれない。気を引き締めていこう」
「その通りだな。少し調子に乗ってた.....」
と、晴仁が呟くと同時に両手で頬を勢いよく叩いた。
「よし......いくぞ!」
「だ、大丈夫ですか......!?」
舞が心配する傍ら、
「晴仁、自分自身の拳で怪我だけはしないでよね......」
と舞が少し驚きながらも注意した。
「舞の言うこともその通りだけど、俺たちも気合が入ったよ。獣に襲われている村を救いにいくぞ」
朔也がみんなに鼓舞し、村の防衛へと考えを移した。
—
夜。村の防衛に協力することになった一行は、罠と布陣を張って獣を待っていた。
すると、
「ウォウォーーーン!!!」
狼が四匹、柵を破って一気に突入してくる。
「来たぞ!」
蒼牙団の戦士たちが迅速に動く。
斧を振るうグレンが一体を正面から叩き伏せ、弓の名手ユナが矢を連続して撃ち込み、もう一体の動きを止める。
陣内自身も手にした槍で先頭の獣に飛びかかり、鋭く突いた。
「……動きが洗練されてる」
舞が呟いた通り、彼らの動きには、幾多の戦場をくぐり抜けてきた“型”があった。
朔也も前へ出る。
「茜、頼む!」
「——式神展開!」
白狐の気配が朔也に宿り、体が一気に軽くなる。
朔也は一気に間合いを詰め、獣の喉元へと刃を突き立てた。
真剣な顔をしている晴仁も、自身の拳で獣を貫いていく。
数分後、すべての獣は地に伏し、村には静寂が戻った。
—
焚き火の灯りの中、疲労を癒やしながら一同は休息を取っていた。
ふと、朔也が隣にいた陣内に話しかける。
「蒼牙団って、ずっと一緒に旅をしてるのか?」
陣内は酒を一口すすり、ゆっくりとうなずいた。
「俺たちは……もとは傭兵だった。白金領ではない他の領を渡り歩き、領主などに雇われて、戦場を渡り歩く、そんな日々さ」
「じゃあ今は……」
「元々いた領地での戦は終わった。俺たちを必要とする国もなくなった。解散も考えたが……」
彼は焚き火を見つめながら続ける。
「それぞれ、何のために剣を握るのかを考えて……結局、俺たちは“守るため”に戦いたいって思ったんだ」
「戦って、守る……」
「身勝手な正義かもしれないが……なあ、朔也。お前、あの狼に立ち向かう時、一瞬も迷わなかったな」
朔也は驚いたように目を開き、静かに頷いた。
「誰かを守りたいって、その気持ちは……わかるから」
陣内は、焚き火越しに微笑んだ。
「そうか。……だったら、俺たちは、共にたち背中を預けられる......そんな存在になれるのかもな」
夜が深まる。
彼らの間に、確かな“絆の芽”が生まれつつあった。
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