登場人物紹介(李花梨)
李花梨(91)
148cm40kg、B75W53H73
肩までかかる程度の長さの黒髪の「少女」。目は切れ長で人形のような美しさがあるが、どこか何かに諦めたような憂いがある。
異世界から73年前に村ごと(実際の所は国ごと)転移してきた「少女」。ただしそれは見た目だけで、実際は齢90超の老女である。
魔族が人間の1.5倍の長寿であることを差し引いてもその外見年齢・肉体年齢は異常であり、実際は定期的に生命力を「吸う」ことでその美貌と若さを維持している。
(これは同族であるアムルも同様である。吸われた人間は基本死ぬが、相性の良いごく一部はそのまま生き永らえることになる)
元は河北省生まれの豪農の娘。ただ村が中国共産党により焼け討ちされ、そこで殺されたことで異世界の「ナルアの巫女」に転生(憑依)したという経緯がある。
転生後はエネフにおける「人魔大戦」、そしてそれに伴う大陸の破滅を救わんと奔走することとなる。しかし力及ばず、決定的な破滅を前に2万人ほどを転移させて緊急避難することとなった。
転移魔法の達人(というより転生者としての能力に「次元転移」があった)である花梨が主導する形で計画が進められ、73年前に本作世界に舞い戻った。
彼女にとって大きな誤算は、本作でも独白である通り転移先が中国(チベット自治区近辺)であったということだった。
本作でも匂わされているが、本作世界と異世界の地理的関係にはある程度の相関関係がある。本作序盤で「本来ならここに転移はしなかった」とジュリが述べているのはこのためで、本来ならイルシアは東欧のどこかに転移するはずであった。
花梨はこのことを知らなかった。転移先が自分が何よりも憎んでいた中国共産党が支配する中国であったことを知った彼女の絶望は言を俟たない。
転移後の彼女たちを待っていたのは地獄であった。まず魔力欠乏症に弱い人間たちが死んだ。「死病」発病前に介錯されたケースが多かったようである。
魔力欠乏症に強いとされる魔族であっても対応は容易ではなく、流行り病の流行もあって次々と倒れていった。さらに、転移先はチベットに近く中国共産党の弾圧も加わった。
激しい抵抗をしたものの、僅か10年で2万人いたエネフからの難民は2000人ほどに縮小することとなってしまった。
リーダーである彼女が選んだのは、自分の身体を売ることだった。
そしてそれに加えて共産党への帰順、特殊部隊への協力という条件で何とか安寧の場を得ることができたというわけである。
それでも文化大革命による粛清の嵐もあって連れてきた人間族はほぼ全滅。魔族のみ300人と少しがチベット自治区の一角に細々と生活する状況である。
一応そこにはごく小さい異世界への「ゲート」があるが、その向こうは人が決して住むことができない超高濃度の魔素で満たされた「穴」である。
それでも彼女は生命力を取り込み生き永らえながら、いつか来る帰還の日のためにあの手この手を打っていた。前作でエネフ・エビアに魔族の3兄弟を送り込んだのもそのためである。
本作では大魔卿からのアプローチを受け「移住計画」に賛同。モリファスに自分の「最高傑作」の一人である李麟鵬を送り込みつつ、3年かけて地均しをしていた。
王成明と出会ったのもこのころである。彼には同情心を持っていたし肉体関係もあったが、花梨としては恋愛感情は抱けないままであったようである。
(これは彼女が潜在的に同性愛者だからである。異世界ではジャネット王女と親友の関係にあったが、王女側に恋愛感情は全くなかった)
彼女自身の戦闘能力は決して低くはない。彼女自身も戦闘訓練を受けており、異世界にいた頃には魔法戦の経験もある。
町田に敗北したのはある程度の油断もあったと思われる。
性格は傲慢ではあるがメンタルはそこまで強くなく、どこか何かに諦めているようなアンニュイな雰囲気がある。サディストの気はあるが、本質的にはマゾヒスト。
なお生命力を吸った男の子を宿すことは少なくなく、これまで14人の出産経験がある。彼女としては国を再建するのが子を作る目的であり、親子の情はそこまでない。孫にあたる麒龍、麟鵬も彼女を絶対的支配者として扱っており、祖母とはあまり思っていない節がある。
彼女の末路については最終話で触れられることであろう。
趣味は飲茶。本質的には田舎の豪農のお嬢様としてまったり生きていくのが一番似合った生き方ではあった。




