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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【452.5話】 リリアと冒険者達の演習日

プロセルの街の東側に草原地帯がある。

馬車が三台ほど草原の中に停車しており、その周りで十五人近い冒険者達が何やらアクティビティをしている。


冒険者ギルド・ルーダの風のリリア、コトロとオフェリア、プラス形式的に在籍中のアン。

冒険者ギルド・アーマー&ローブのバジリスク、ペコ、アリス、ブラッドベリィ、アルシャープと見習い期間のルナ。

冒険者ギルド・ストロンググリップのメンバー6名。


今日はバジリスクが発起人となり、交流のある冒険者ギルドと合同演習をしている。

二チームに別れ移動中の馬車が突然襲われたというシナリオで攻防戦を行うのだ。


それぞれ特異な武器や魔法を使って良いのだが、まさか本当に大怪我するレベルで演習を行う事は危険すぎるので、武器は納刀や布などに包んだ状態、魔法は人に向けては直接攻撃は避けて、間接的に視界を遮ったり相手の動きを止める程度までとなっている。

また、頭、胴や背中等にある程度の打撃を加えるか、タッチされる等すると行動不能、攻撃魔法を楯以外の体に軽く当たったら行動不能状態となり、治癒術士から治癒魔法を一瞬でも受けたら復活できるのが冒険者達の間での基本ルールとなっている。

後はシナリオや参加人数、演習の意図により、復活は無しとか、予め召喚獣が準備されているとか、バランスよくルールを決めている。


チーム分けを行い、午前中はレビューを交えながら中古車馬車を使って演習を繰り返す。

予め攻撃を受けることはお約束であったり、本気で魔法攻撃が打ち込めなかったり等、実戦と違う部分もあるが、全員でプレビューを交えながら演習を繰り返すことで洗練される部分や改善策を発見出来る事も良くある。

何度か繰り返した後、お互いのチームが森の中を移動中という状況で実戦形式戦を行ってお昼休みとなった。


「ハラルド、メッチャ頭痛かったよ。リリアはノーヘル何だから考えてよ」リリアがサンドイッチを食べながら言う。

「悪ぃ、あれは痛かったな。加減が難しいんだよ。手加減すると逆にやられたり、逃げられたりするだろう?八割くらい本気でやらないとダメだからなら」ハラルドは言う。

「ボガードもランチアも手加減しなよ、マジで痛いわよ」ペコ。

「どうしても、攻防が拮抗すると力が入りますからね。私なんて近接攻撃スキルがほとんどないわけですから、逆に周りも手加減しやすいですが、実力が近いと本気になりがちですよ」コトロ。

全員、自分で準備してきたお弁当を食べている。

「私なんてなまじフルアーマーで楯まであるから、結構凄い勢いで殴られてるわよ」オフェリアが笑う。

「オフェリアだって、結構力入ってるぜ。ゴーントレットが無かったら腕が折れてたかもしれないぜ」アリオンも笑う。

「皆さぁ、接近戦になって目が合うと、とたんにマジになるのがわかるんだよね、ちょっと熱くなりすぎだよねぇ」リリア。

「バジルとドレインとか、完全に本気モードになってましたよ」コトロ。

「何言ってんだ、あんなのまだまだ本気でもないよ」バジルが言うとドレインも頷く。


お昼ご飯を食べて一時休んだら、午後は個人戦となった。

物理攻撃が得意な者達は物理個人戦を行い、魔法が主体の者は防御魔法と攻撃魔法の得意な者と組になり、模擬戦を行った。


以下がリリア達の戦績

物理試合

リリア:短剣を使用 1勝5敗

オフェリア:剣盾を使用 3勝3敗

コトロ:不参加 リリアとじゃれ合いしていた

アン:大鎌を使用合 6敗


魔法試合

攻撃魔法と防御魔法で組、相手を押し切ったら勝ち

(召喚と鎮魂が得意なアンは物理戦だけ参加)

ペコ・アリス組 火属性と魔法防御 2勝

ペコ・ルナ組 火属性と魔法防御 1勝1敗


「何?リリア、不満そうじゃない」ペコがニヤニヤしている。

「弓の試合なら負けないのに、絶対弓の試合ってないよね」リリアが不満がっている。

「エルフのジリアンと弓勝負してたじゃん」ペコが言う。

「二人っきりで隅っこの方で的を目掛けて射かけても面白くないよ」リリア。

「こんな大草原のど真ん中で… 端っこもなにも…」オフェリアが笑う。

「勝負の綾目線って言うか、注目のど真ん中っていくか、とにかく、なんだか弓っておまけ的って意味よ」リリアが言う。

「私なんて参加する意味がないくらい負け確定ですよ。数字なんて意味ないですよ。ちゃんと生きて帰ってくるのが冒険者です」コトロが言う。

「わかるけど、何か負けると悔しいじゃない、腹が立つんだよね。ちょっとは弓にも焦点を当てて欲しいよね」リリア。

「それより…アン、明らかに手を抜いてなかった?」ペコが苦笑い混じりに言うとアリスも頷いた。

「手を抜いた…っと言うことではないですが、こういったことに集中する方ではないですし、そもそも皆さんお強いくて負けました」アンは静かに言う。

「でも観ていてリリアの時は明らかに手を抜いたよね」ペコがニヤニヤ言う。

「あまり個人戦にはこだわりがありませんし、何人かと数合打ち合って疲れも出ました」アン。

リリアの唯一の一勝はアンから奪った星である。

「ペコ、リリアをあんまり煽るのは止めましょう。バジル達とリリアでは体力が違います。そもそも彼らは剣や両手武器のプロですから弓が得意なリリアに勝機はないです」コトロが嗜める。

「むしろあのメンバーから三勝しているオフェリアがさすが」アリス。

「まぁそうね、数値じゃないけどね。ま、実際の所リリアは実戦では役にたってるわよ。近接戦闘なら決定打を与えられなくても、受け回って逃げ回って時間稼ぎにはなってるもの」ペコ。

「盾を使わないのにあの粘り強さは凄いわ」オフェリア。

「そうだよ、あたしはね、記録より記憶に残るタイプなの!」リリアはエッヘッヘと笑う。



で、演習スケジュールが終了するとBBQタイムとなった。

まぁ、こうした感じで大人数が集まる時はだいたいBBQになる。

ってか、どちらかと言うとこっちがメインだと思っている人も多い。

日没と被ると危険が増し、備えも大げさになるので、午後の早めに演習や訓練を終わらせ、皆でBBQを食べ、お酒を飲んだら夕方くらいには引き上げてしまうのが定石となっている。

馬車から準備しておいたお肉や野菜とグリルを運び出し皆で支度を整える。


で、ワイワイと騒いでいるとたまに気まぐれでルートを外れて巡回してきた巡回兵に注意されることがある。

いちよう冒険者は十人以上が集合する時には予め許可を申請しておかないと不法集会罪や、武器準備集合罪等という罪に問われかねない。

まぁ、街中ではないのでだいたいは様子見に立ち寄られて、ちょっと注意されるだけ。

たまに下手な受け答えをしたり、巡回兵長の虫の居所が悪いと、解散を命じられることがある。

そんな時は皆で「はーい、すみませんでしたぁ!」とか言いながらちょっと解散してみせて、連中がいなくなったら再集合するのみ。

だいたいは問題にされることはない。


食が進んで適当にお酒も入って来るとコトロのような吟遊詩人職が楽器演奏を初めて唄ったり踊ったりしている。

または演舞や舞踏、変わった魔法や魔法の変わった使い方などを披露したり。

ちょっと予算があると、低級魔物をクリエートするスクロールを使用して、スライムやらを創り出しては、酔っぱらってふら付きながら戦闘する様や、無駄に凄い魔法で木っ端みじんにしてみせたりして爆笑している。

何か特別な時はハルフンテのスクロールでランダムなハプニングを起こしたり、ミミックのスクロールで倒した者が中身を貰えるビンゴ大会的なことをやったりする。

因みにミミックを出すスクロールは、そうしょっちゅう使えるような値段では買えない。


今日はひょんなことからウェポントワリングになった。

剣士が、”敵を切った”→”剣をザッと振って鮮血を弾き”→”クルクルっと回して”→”格好良く納刀”ってあれである。

あるいは、”格好良いセリフを吐く”→”槍や大斧をバンバン振り回して気合とともに相手を威嚇して恰好をつける”→”踊り込むように戦闘に突入”なあれである。


バジルを始めとする剣技に優れる男性冒険者はトワリング技を持っていて、戦闘の前後に恰好つけていたりする。

手に馴染んでる感があって、見ていて非常に見栄えが良い。

街中で悪漢を撃退して、クルクルってやったら女の子にキャーキャー言われるに決まっている。

人それぞれ特徴があるが、やはり見ていてダイナミックなのは柄の長い武器系がダイナミックなのだが、「それはもうトワリングじゃなくて演舞だよね」とツッコミが入ることが多い。


で、魔法使い達もご自慢のワンドやステッキでクルクルやれる。

まぁ、だいたい大抵の魔法使いもできる。

ペコやアリス等もやってみせた。

なんなら、ペコもアリスもその辺移動しながらクルクルやっている。

意外かも知れないが、むしろ魔法使い達の方が普段からクルクルしちゃっている。


ペコもアリスも片手で手首を使ってクルクルっとし、両手で弾みをつけて持ち替えた手で縦横斜めに回転させながら、軽くステップを踏み、空中に投げては体を弾ませて回転しながらキャッチしたりしている。

なんなら移動しながらコトロのリュートに合わせてステップを踏みながらクルクルクルリンとしている。

「メッチャ、綺麗に決めるね」リリアが感心していることがある。

「私達は親譲りか、小さい時から相性の良いワンドを肌身離さず手にしてるんだから、そりゃそうだよ」ペコが笑って答えた時があった。

「因みにこれをやる時、魔法使いの間では、物体浮遊や操作魔法を使う魅せプレーはチート行為」アリスも背面キャッチしながら笑って答えていた。

「でもリターントゥハンドまではOKって人もいるよね」

ペコは言いながらワンドを平行に投げてはリターンの呪文を連続して唱えてワンドで色んな動きを楽しんでいる。

「コトロもクルクルやってよ」リリアが言う。

「え?楽器はクルクルするものでは無いのですよ」言いながらコトロはリュートをポロンポロンしている。



「おい!リリアだ!リリアもトワリングの一つくらいできるだろ!」

それぞれ順に発表が終わりリリアも呼ばれる。

「あのね…弓ってバランス良くないんだよね…」

リリアはちょっとだけ両手で片手で弓をクルクルしてみせる。

「わっはっは、何だよ!単純だな、俺でもできそうだ」

男性陣から笑いが出ている。

「弓ってバランス悪いし、落としたら弦が傷つくし、クルクルに向かないんだよ」

リリアは笑いながら言うと、弓を手にクルクルと回り始めた。

「お!いいぞ、本人が回るのも有りだ!」


BBQは盛り上がっているようだ。

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