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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【451話】 報告と要望するリリアと淡々ディル

リリア達はリーヤ村を一度引き上げてプロセルの街に戻って来た。

ガレン一家をルーダ港に向かう途中の村まで安全に送り届けた後、荷物を失った商人のトールさんと護衛のロンドさんをプロセルの街に連れて来た。

今回のリーヤ村の治安回復活動は十二日間で終了した。

派遣されている間、日当が出るので、雑用を終わらせながら数日ボーナス滞在をしようかと参加冒険者達に提案してみた。

リリアなりの労いとサービス。

「ありがたいけど、ここじゃ何にもやる事無いぞ。これなら街に戻って休んだ方が気分転換になるな」という声が多数で、準備が整い次第引き上げる事になった。


「勇者さん、冒険者の皆さん今回は本当に助かりました」

「あの人がゾンビになったなんて未だに信じられませんが、お陰様で人並みにあの世にいけるでしょう、私達はこれから悲しみを乗り越えていきます」

「一時はゾンビに囲まれてこの村で死を迎える覚悟をしていたが… 皆さんにきていただいて助かりました」

ルーダリアとキシャスの国境線が南側にあり、兵士達が小競り合いを繰り返しているので、そこから発生したゾンビやスケルトンに囲まれてしまったリーヤ村。

粗末な柵と垣根だけで囲まれた村内は、直接魔物に襲われるより、よっぽど不気味で心細い思いをしていたのであろう。

この度は35名の冒険者達が数日で周辺を掃討してくれたこともあり、村を出る時には村人総出で感謝しながら手を振ってくれた。


「皆ありがとう! だけど、あたし達は結構すぐに戻るわよ。村長さん、教会と防護柵の予算を相談してくるからね!はいはい、ありがとう!今回はルーダリア王国の公認勇者リリアと冒険者仲間の活躍でした!プロセルの街に来た時は声かけてね!困ったことはいつでもプロセルの街の勇者管理部に投書してね! あ!後それから買い物は商人ギルド・リアルゴールド系のお店で買ってあげてね、いちようあたしのスポンサー!店長さんはケチ臭いところもあるけど、そこそこ話しがわかる人で…」


村では勇者と呼ばれるのが気分良かったらしく、リリアはメッチャご機嫌で、馬車で去りながらニコニコと長大な挨拶をかましていた。

「なんか癪に障るんだよね、あの勇者リリアとおまけの冒険者達的な言い方」ペコが苦々しく呟いていた。



プロセルの街に戻ってきたリリア達、先ずは村長からもらった証明や関連書類をディルに渡してクエストの報告。

トールさん達には後から手助けをする約束をして政調舎に向かう。

「村長、これでリリア達の評価が決まるの。これでリリア達が明日から路頭に迷うか、もうしばらくはのらりくらりと国から仕事貰って勇者ご一行を続けられるかのキーなの。だからお願い、もっと派手に報告書を書いて」とリリアが熱心に村長に頼み込んで何度か書き直してもらっただけのことはあり、リリア達はしっかり大活躍してきた事になっている。

まぁ、ちゃんと危機的状況、村全滅の恐怖から王国民を守ったことは紛れもない事実なので特に問題もなさそうだ。


ディルは書類を受け取り少し目を通しながら淡々とリリア達の報告を受けている。

ディル自身に決定権があるわけではないので、内容にあまり感心が無いのか特にはリアクションが無い。

「うん、大変だったみたいですが、よくやり遂げてくれました。報告書の内容も十分です。早速上司に提出しておきます」ディルは淡々と書類を束ねている。

「それでね、ディル、あたし達村から相談を受けて、申請したいことがあるの。それにもう一度リーヤ村に戻る約束をしてるのよ」リリアが言う。

「現在依頼しているクエストは基本的に街周辺の魔物の危険管理と街に接続している道路や周辺区域の危険管理と消息不明人やお尋ね者の発見と報告が主ですね。今の状態なら戻って活動するに相当の理由があればリーヤ村に戻ることは可能だと思います」ディルは勇者リリアの管理表を見ながら言う。

「書類をよく読んでよ。村長も書いているけどゾンビが一掃されただけで、まだまだ魔物もいっぱいだよ。それにあたし達が活動中も賊に商人達が襲われたし、魔物が蔓延っている廃屋群みたいなのも村の近くに在って問題になってるの。しばらくゾンビがすごかったせいで商人達も通過しなくなったし、まだまだ村には問題が山積みなんだよね」リリアが言う。

ディルは束にした書類をもう一度パラパラとめくって目を通している。

「… よくある話しのようですが、実際に村が困っているのであり、他に優先すべき事項がなければ… ここに村からの要望書がありますね… 周囲の魔物を退治…賊の退治… 村と往来の信用の回復… 書式は整っているようなので、要望書と一緒に申請できます」ディル。

リリアとしてはディルのお役所仕事感が気に入らないようで、事務的に淡々としているディルを不満気に見ている。


「それと、リーヤ村に立派な教会を立てて欲しいの。柵ももっとちゃんとした柵を立てないと、壊れた柵から魔物が入ってきちゃうわよ。今回はたまたまゾンビが村に侵入しなかったから全滅は待逃れたけど危険だよ。人手も材料も足りていないからこれを王国でなんとかして」リリア。

「…リーヤ村の規模としては登録される戸数、村人数、納税額、どれも王国で正式な教会を建てる規模ではない…」

ディルが言いかけるとリリアは両手をデスクについて声を上げる。

「ねぇ!なんであなたはいつもそんな感じなの?今回はゾンビ…っていうか、色んな人が犠牲になったのを村人のゾンビは墓地に、その他の遺体は無縁仏として墓地に埋葬したの。止む終えずターン・アンデッドで土にした遺体もすごい数だったけど、村の遺族のために皆必死に遺体が残るように対応して埋葬したの!50体や60体じゃないの!また土から出てくる可能性だってあるの。ちゃんとした教会で技能優秀なプリーストが面倒みる必要があるでしょ!!」リリアが主張する。

「リリアの話しはわかりました。書類にもその事は書かれています。前例としてはこの規模の村に教会の費用を投じた例は少ないですが、申請書を書いて提出するのは可能です」

ディルはじっとリリアの主張する様を見ていたが、淡々と説明する。

「はぁ!提出するのは可能?なんでいつもそんなサバけた態度してんだぁ!したり顔して座ってやがって、書類を下から上に通すだけだったらこの行程要らねぇだろぉ!」

リリアが気色ばむのをコトロ達が止めに入る。

「リリア、止めましょう。ディルは貴族だから宮仕えして書類を流しているだけであって、特に下流の農民の生活には関わりのない人なのですよ、言っても仕方ないですよ」コトロ。

「リリア、無だよ。ディルは貴族だけど、こんな辺境の街で私達冒険者の管理をしてるなんて肩身の狭い下級貴族の仕事。所詮何の権限もなく、上からの言いつけだけに媚びへつらって、下からの書類に時々いちゃもんつけて突っ返すだけが仕事の身なんだよ。言ったって仕方がないわよ。言うだけ無駄、例え彼がやる気出したって、何の話も上には通じないわよ」ペコ


ディルはリリアをコトロとペコがなだめる様子を面白くもおかしくもないと言った感じで淡々と見ている。

「そんなに熱くなるリリアの気持ちも理解できないけど」

そんな様子を後ろから眺めてオフェリアが呟く。

アリスはマジックワンドを胸に微笑んで眺めている。


とにかく、リリア達が騒がしくしたので、周りの事務仕事貴族からは冷ややかな視線を浴びせられ、衛兵が十人くらいあっという間に飛んできて、臨戦態勢になって不安な空気が流れ始めたので、ミーティングはお開き。


「バロー!いっつもしたり顔してやがってぇ!いっぺんくらい、うれション垂らして顎が外れるくらい爆笑してみやがれぇ!」

っとリリアは意味わからん過ぎる捨て台詞を残して、コトロ達に退出させられた。

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