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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【450.5話】 ルナの憧れ ※※数日前の話し※※

ここはルーダリア王国の南西に位置するリーヤ村。

キシャス教徒国とダニヤ王国の国境地帯がわりと近い場所。


大量のゾンビとスケルトンに襲われていたリーヤ村の脅威を取り除いたリリア達だが、毎日のように相手をする人型の魔物にストレスが極限にならないように休日を細かく設定している。

総勢35人集まった冒険者達は休日となるとそれぞれに過ごすのだが、リーヤ村は片田舎の小さな村。

ブラブラのんびり過ごして休憩したいタイプの冒険者にとっては良いが、もっと刺激的なオフを過ごしたい冒険者にとっては大した娯楽も無い。

「トマト畑にいた女の子可愛かったな、声かけてみるか」等と男冒険者達は冗談を言い合っていたりするが、それだけ他に目だった娯楽が無い証拠。

結局、釣りをしたり、「一番強いのは俺だろうな」等の腕自慢話から模擬戦大会になったりしている。


「リリア、おまえ勇者なんだろ?これから試合するからおまえも参加しろよ」

男性冒険者が村の広場に集まっていて、通りすがったリリアに声をかける。

「あたし、これから狩りに出かけるから、そういうのはやらないわよ。それより、ちゃんと手加減を考えながらやってよね。すぐバカみたいに本気になって仕事している時より大怪我するんだから。ポーションは配給以上は出せないし、こんなことでヒーラーを出動させないでよ!」リリアが言う。

「ほざけ、怪我するやつがヘボなんだよ。勇者のくせに戦う前から逃げるのか」

集まっている冒険者達が煽ってきている。

「はぁ?あたし勇者よ。あんたら程度ウィンク一つで鼻血で滝ができるわよ。あたし忙しいから…好きなだけ殴り合ってなさいよ」

リリアは適当に返事をしながら歩き去る。


で、リリアは午前と午後には有志の冒険者と村のハンターと一緒にハンティングに出かけていた。

村に物品はあるものの、商人が寄り付かなくなってしまっていて、肉などが全然足りていないのだ。

村に唯一ある宿屋のメニューも『ポテトスープ』『ポテトサラダ』『ポテトのトマト煮込み』『吹かしポテトのきゅうり添え』等、ポテトを軸にしたラインアップでボウルやプレートに乗って出てくる形の有る物はポテト、きゅうり、トマト、キャベツのオンパレードと何だかよくわからない雑草のような葉っぱ。

「どうにかしてくれ!酒が進まねぇ!」

「いや、もはや酒とかの話じゃないだろ。こんなんじゃ力が出ないぞ」

と、冒険者達が宿屋の食堂でぼやいている。

「これじゃ、ちょっと狩ってきても全然お肉が足りてないね。ちょっと皆でまとめて狩ろう」と言う事になって、今日は村のハンターと共に弓が得意なリリア、エルフのボーマ、イライオ達がハンティングに出かける事になった。

で、午後までに全員で鹿を四頭、イノシシを二頭、クマを一頭仕留めて帰って来た。


「とりあえず鹿を一頭、夕食までに解体しよう!今夜は食堂でステーキが食べられるよ!」

リリア達はご機嫌で村人から料金をもらって収穫した獲物を引き渡す。

「お!さすが勇者だな。がんばったじゃねぇか!今夜は肉を食らいながら美味い酒が飲めるぜ」

大会を終えてアザだらけの冒険者達から歓喜の声。



夜、結構な人数が村唯一の食事処でもある宿屋に集合していた。

普段は自分達の班の馬車やテントで食事している者も宿屋にきて食事を楽しみにしている。

ここのところ肉と言えば、自分達の保存食を水で戻して料理する物ばかりだったので新鮮な肉が食べれるとあり皆上機嫌。

テーブルと椅子が足りていないが、馬車から自分の椅子等をもってきて、宿屋の食堂は満員御礼状態。

普段は班ごとで行動しがちだが、色んな人と交流を持てる良い機会になった。

鹿肉の料理がテーブルに運ばれ始めると冒険者達のテンションは爆上がりしていた。



食事もお酒も進み、食堂は皆久々のスタミナ料理に満足、各テーブルは雑談で盛り上がっている。

宴もたけなわ、食事を終えて自分の寝床に戻っていく者も現れだした。

「ルナ、そう言えば何で冒険者になろうと思ったの?」

リリア、ルナの隣の席が空いているのを見て、席替え気分がてらルナの隣に座って話しかけた。

「あれ?リリアに話し…あれはペコとアリス達だったかな?リリアにしてなかったかもね。別に大した理由があるわけじゃないけど」ルナがお皿を膝に乗せて答える。

「改めてあたしの身の上からね。あたしは孤児だったから…小さい時は父さんに連れられて村の買い物で街に出ていたけど、その頃から将来絶体街に住もうと思ってたんだよね。でも、孤児になって、お金も無かったし学歴も村の教会で勉強しただけだったし、ちょうど勇者にやってくれって頼まれて、勇者になって街に住むことにしたのよ」リリアが言う。

「笑っちゃいけない話かもしれないけど… ちょうど勇者になってくれって頼まれるって結構レアケースで笑える」ルナが面白そうにしている。

「ルナはヒール魔法が使えるでしょ?冒険者でヒールできる人は貴重なのは確かだけど、だいたい魔法を使えると奨学金が出て、良い王国立の学校を出て書士とか教会とか、自分で診療所を始めるとかじゃない?わざわざ危険な冒険者やろうって人…よっぽど憧れがある人だよね」リリア。

「そうよね、クラスメートのほとんどは宮中書士や魔導士を目指していたわね。男は魔道隊の士官とかね。でも私は冒険者になるのが小さい頃からのあこがれだったの。私ね…」

ルナはお皿に残ったお肉に肉汁を絡ませて口に運ぶと話を続けた。

「私の両親は二人とも冒険者だったのよ。パパもママも同じ冒険者ギルド出身。パパが足に重傷を負ったのをきっかけにパパもママも冒険者を引退して、冒険者時代のコネを使って小さな酒場を開いたの」

リリアは聞きながらお肉を切って口に運ぶ。

「パパは右足の膝から下が義足になって激しく運動は出来なくなったし、ママはヒーラーだったけど、あまり魔力が強い方ではなかったし、雑用兼の衛生補助をしている感じだったから、お店を開ける時に完全に冒険者を引退したんだって。最初は経営に戸惑ったけど冒険者だった時の仲間が皆店に来てくれて小さいながらも最低限の生活は出来てたのよ。そのうち私が生まれて、その二年後くらいに弟が生まれて… 五歳くらいの時かな?私は魔力が宿って、パパとママが魔力鑑定士のところに連れて行ったら、将来はそこそこ魔力のある子に育つって言われてね、ママは『私は家系の中でも魔力が無い方だったから、この子はすぐに私を追い越すわね』って嬉しそうにしていたのを覚えている。それからは自分で魔力の訓練をしたり、知り合いに先生をしてもらったりしてね。私がある程度ヒール魔法を使えるようになったのを見て、私の両親が冒険者時代の知り合いに必死に頼んで私を学校に入れてくれたの。まぁ、私が冒険者になるって言ったら、パパとママは反対して教会か宮仕えの魔導士を目指しなさいって言ってたけどね。冒険者は危険だし儲かるものじゃない、とか言うのよ。自分達だって冒険者だったのにねぇ」

ルナはちょっと悪戯っぽく笑うと床に置いていて発泡酒を一口啜る。

リリアも釣られて発泡酒を口にした。



「まぁ、流れはそんな感じだけど、きっかけはね…」

ルナは話を続けた。

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