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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【448.5話】 リリアと酔っ払いシマ

リーヤ村治安回復活動の十日目

正直、村周辺の治安は回復していると言って良いのではないだろうか。

リリア達は村に頼まれて、治安の悪化で遠のいている商人や旅人を村に呼び戻そうと活動をしている。


今日もティグレ隊と一緒にリリア達もリーヤ盆地を出た場所の交差点で商人達がリーヤ村を利用してくれるように呼び込み活動中。

道の脇に馬車を停めてキャノピーを張って、椅子とテーブルを出してノンビリ道を見張る。

滅多に人も通らないし、たまに魔物を相手にするだけなのでティグレ隊はBBQセットを持ってきて肉とお酒を楽しんでいる。

「ちょっと、BBQは良いけど、午後までは活動するんだから今からお酒はダメだよ!」

リリアはティグレ隊のタイガーマン達が早速お酒を飲み出したのを見て注意する。

「BBQには酒がつきもんだろ、硬い事を言うな、チビチビ舐める程度だ、ってかおまえらも飲んだらいいぜ。仕事には影響ないぜ」ティグレ達は笑いながら言う。

「魔物だって襲って来るし、大型野生獣だっているし、賊だっているんだから。本当に酔っぱらわないように飲んでよね!それから肉ばっかりじゃなくて野菜も食べなさいよ!」

リリアはプリプリしながら言うと自分の馬車に戻っていく。


リリア達の馬車では馬車からキャノピーを張り、テーブルセットを用意してペコやオフェリア達がコーヒーを飲んでいる。

「ねぇ、あいつらもうお酒を飲んでるよ!あれ絶対酔っぱらうよね!」リリアが言う。

「昨日リリアがBBQの許可をだした時点でこうなる予想はできたでしょう」ペコ。

「リリアが許可しなくてもこうなっていた」アリスが微笑む。

「あれは絶対昼前までに使い物にならなくなるパターンですね」コトロ。

「呼び込みは好意でやっているようなものだから、いいんじゃない?何があっても自業自得よ」オフェリア。

「いきなりお酒を樽で出してるから、もう仕事のことなんか気にしてないわよね」ルナが言う。

「まったく… だいたい、暇な時間を利用して、道案内の標識を作って立てようって話しだったじゃない、あいつら全然やる気ないじゃない!」リリアは怒っている。

「私にはリリアがそこまでやる気を出しているのが気になるところだけど」オフェリア。


リリアはプリプリしながらボニーテールをフリフリ、またもやティグレ隊のテーブルまで戻っていくと標識作りの事を言っている。

ちょっとやり取りをするとリリアは戻ってきた。

「標識作りは焦る事ない、少し食ったら作るよ、だって。あれ絶対その前に酔っ払うよね」リリアが言う。

「まぁ、その程度の認識でしょう」ペコ。

「もういいよ、まったく…」

リリアは言うと、作業台と道具を準備し始めた。

「作業するなら私達も手伝うわよ」

ペコ達もリリアの様子を見て、標識作りに加わる。



今日、午前中は全然人通りが無く、リリア達は正午までは標識作りをしていた。

最初はBBQとお酒でワイワイとしていたティグレ隊の連中もいつの間にか静かになっていると思ったら全員、テーブルに突っ伏して、あるいは草原に転がって完全に寝込んでいる。

「完全に酔っぱらって寝たわね」フォエリアがそれを見て呟く。

「ま、野外で酒に酔って寝れるほど治安が良くなったと言う事で…」コトロが笑う。

「頼るつもりは無かったけど、あれだけ前後不覚で寝るのは冒険者としてどうなのか…」アリスが微笑む。

「標識はだいたい出来たし、お昼にしようよ。あたしとルナでさっとホットドッグとポテトサラダを作るから皆休憩しよう」

リリア達はお昼ご飯休憩に入った。



午後になり、三組ほどの馬車が交差点を通過していった。

一組はダニヤの住人で現住所に戻るというので、リーヤ村に行く理由はまったくなかった。

その他の二組はプロセルの街方面に向かうというが、リーヤ盆地は魔物が恐ろしくて迂回するという。

リリアがリーヤ村を通過してくれるように説得したが、結局盆地を囲う連山にある道を点在する村にそって北上していくという。

「遠回り?まぁ距離的にはそうだが、連山の峰を越える山道を通ることを考えると労力的に楽だったりするし… 色んな人が通るようになったらその内立ち寄るさ」

商人達はだいたいそんな事を言いながら迂回するための道を辿って行った。


”リーヤ村への道”

標識が経った。

「よっし!標識設置完了!」リリアは喜んでいる。

平原の交差点にリーヤ村に誘う標識が立った。

「リリアが結構大きな標識を作るから大変だったけど、リリアの言ったとおりだね」ペコ。

「作っていた時は、ちょっと大げさだと思いましたが、立てて見るとこれでも小さく感じます」

コトロが感想を述べると一同頷く。

「大きい方が目立つじゃない!これでも小さい方だよ」とかリリアが言いながら標識を作るので、そんなサイズ必要なのかと皆でツッコミを入れていたが、平原に立っている標識を少し慣れて確認すと、これでも近くまで寄らないとなかなか何が書いてあるかわからないくらいだった。

「でも、結局一本道ですし、標識なんて近くに来てからわかれば良い物ですけどね」コトロが笑う。

「いいの、杭の穴掘りで疲れたよ。皆でおやつでも食べながら祝杯にしよう」

そんなことを言っていたら、馬車がやってきていた。

リリアが馬車を止めると個人商の馬車。

馬車主と護衛が一人乗っている。


「良いお天気で、お嬢さん達」馬主と思われる男が挨拶をする。

「今日もあなたに神のご加護がありますように」リリアが挨拶をする。


どこから来たのか、何時にどの村を出発してきたのか等やり取りをした後にリリアがリーヤ村に立ち寄るようにお願いする。

「リーヤ村か… 前はプロセルの街に向かっていたが、最近は物騒でこのままキシャスの村からルーダ港まで往復するようにしいたんじゃ… お嬢さん達と冒険者で魔物を退治したといってもなぁ… 立ち寄る予定では無かったしな」初老の馬車主は顔をしかめる。

「お願い!魔物は数日かけて大勢で退治したの。商人が寄り付かなくて日用品が不足しちゃってるし、このままじゃ収入が激減して困ってるのよ」リリアが頼み込む。

「爺さん、このまま東のハンナ村に向かってもルーダ港までは取引が知れているぜ。物品不足ならリーヤ村でも結構取引があるかも知れない。目標達成できれば早く家に帰れるのは確かだ。今夜リーヤで一泊しても明日はハンナを通過しながら取引して進めば、日程にもそう影響は無さそうだ」護衛の男が言う。

「うーん… 確かにな… それなら、お嬢さん達も冒険者なんだろ?護衛しながらリーヤ村まで一緒にいってくれるなら寄り道するよ」馬車主が言う。

「ほんと!!やったー!するする!護衛できるよ!一緒に行こう、皆今日は撤収!出発… ふぇ??」

喜ぶリリアの袖をコトロが掴む。

「リリア、あれ、あれ… さすがにあの状態で置いてはいけないでしょう」

コトロが指さす先にはティグレ隊のメンバーが酔いつぶれて寝ている姿…

「あぁ…そっかぁ、あれがあったね… ちょっと待っていてね。皆、出発準備をしていて、あたしが連中をぶったたき起こしてくる」

リリアはイソイソとティグレ隊の所に向かった。


「ちょっと!ティグレ!起きなさいよ!起きてよ!… 起きろってんだよ!!」

隊長のティグレを起こそうとしても全然起きてこない。

「バッキ… ヤイバ… デク… 何なの!誰も全然起きないじゃない!起きろつってんだよ!!」

「こいつら全然起きないね」

リリアが結構すごい勢いで蹴っ飛ばして歩いていたらペコが傍にやって来た。

「ねぇ、こいつら焼き入れしてやってよ。魔法で焼き猫にして良いわよ」リリアが言う。

「それでも起き無さそうだけどね」ペコが苦笑いをしている。

「シマ、起きろってんだぁ」

リリアが思いっきりお尻を蹴り上げるとシマが身を起こした。

「痛いな…猫がせっかく良い気持ちで寝てたら… 何しやがる!」シマはブツブツ言っている。

「起きて!今日は撤収よ!リーヤに立ち寄ってくれる商人が見つかったの。護衛しながら帰るわよ、全員を起こして」リリア。

「いってぇな…おまえ、俺の事を蹴っ飛ばしやがったな!ふざけてんのか」

「はぁ?足が当たったのよ!寝言は寝て言ってよ。それより出発よ」

「起こされたら寝言も言えねぇって話しだろ」

「はぁ?バカにすんじゃねぇぞ!こっちは泥だらけになって仕事してんだ!おまえら今まで寝かせてもらっただけでも感謝しろぉ!」

で、結局リリアとシマで大喧嘩になりかけたところをペコがバーニングタッチで何とかしながら、オフェリア、アリス、コトロ、ルナで取り押さえに入る。


「クッソ!てめぇら!離しやがれ!!人間のクソアマ!」

「凄い力!抑えて!腕と足!」

「オフェリア、腕をあたしが取るから足、足!」

「アリス、物理防御で押さえ込んで!」

「リリア、爪痕から血が出てますよ、アリス!いや、ルナ、ヒールをかけてあげてください」

「リリア、動かないで、ヒールするわ」

「リリア、ここは私達で何とかするから、一旦治療してもらって」

リリア達は大騒ぎになった…



「ぐおぉぉぉぉ!放しやがれ、アマども!」

シマは拘束されながら咆哮をあげている。


「あのお嬢ちゃん大丈夫かね?結構出血していたみたいだけど」

馬車主がヒールを受けるリリアを心配そうに見ている。

「大変でしたけど、大丈夫です。それより、護衛は無理だと思います。あそこの連中ですが、今朝から酔っぱらって寝ていて、さすがにあのまま全員を放置は出来ないので…」

コトロが謝罪する。

「そうか… まぁ、いいよ。リーヤ村に向かうよ。冒険者で道中の魔物を掃除したんだろ?ちょっとした魔物なら何とかなるし、取引もありそうだから、とりあえず村に向かってみる」

馬車主は護衛と頷きあう。

「それなら助かります。私達も準備ができ次第なるべく早くここを出発して後を追いかけます」ペコ。

「あぁ、話しぶりだと今からなら日没までには余裕そうだな。お嬢さん達も村に戻るんだろ? それならまた後でな」馬車主。

「はい、今日はこれで撤収すると思います。追いつけなかったら村で会いましょう」

「魔物やゾンビが多いと言っても、ここよりは治安が良いだろう。はっはっは」

そう言うと馬主たちは馬車に乗り込んでいった。


「本当にその通りです…」

コトロは馬車を見送ると、何かを叫んでいるシマとアリスとルナにヒールされているリリアを見てため息をついた。

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