ルクアが帰ってきた
皆が寝静待った深夜、ファミリアフレンズギルドの扉前で、一人の女性が涙を流しながら、赤ちゃんが入った籠をおいた。
「ごめんね、私じゃ貴方を護れないの、このギルドの人達なら優しいしとても強いからきっと貴方を守ってくれるわ」
籠の中の赤ちゃんが笑顔で女性に手をのばす。
その手を握り女性は涙を流しながらごめんねと繰り返す。
そして愛してるわと抱きしめ名残惜しそうに赤ちゃんを離す。
赤ちゃんにかけていた毛布をとりその毛布をぎゅっと抱きしめた。
「この毛布で包まれて力を隠して生きる必要ももうないわよ、元気に生きてね」
最期に目をうっすら細め優しさ溢れる顔をむけ、一筋の涙をこぼしその場を立ち去った。
女性の姿見えなくなったころ、居なくなった気配を察して赤ちゃんが大泣きしはじめた。
それと同時にギルドにいる全員が凄まじい力の奔流を感じ素早く起き上がった。
「この力はまさかルクアが帰ってきた?」
皆が一目散に部屋の扉をあけ飛び出た。
皆が力を感じた扉の前にかけより、ルビーが扉を開き泣いてる赤ちゃんを見つけた。
赤ちゃんを見た六人皆が口をポカーンとあけている。
一番最初に口を開いたのがルビーだ。
「えっと見た目はルクアじゃないけど魂の色型はルクアだな」
その言葉にオウミも同意した。
「確かにルクアの魂だわ」
「間違いないよ、お師匠様だよこのイヤらしい目付き」
赤ちゃんを見るとすでに泣き止み、目を細め口角をあげニタっと笑っておりレタスの言う通りだ。
ルビー達には魂が金色に光り型はニッとした笑顔に見えるみたいだ。
「確かに死んだ時のまま戻ってくるわけないか」
オウミが何処か呆気にとられた表情をみせる。
「うん、人間なら赤ちゃんからが当然」
ヒナタはいつもながらの、抑揚のない声で呟き頷いている。
赤ちゃんをみるとお腹辺りに手紙があるのにレタスが気付く。
「手紙があるね、何て書いてるんだろ」
レタスが手紙を開け読み始める。
手紙(フレンズファミリアギルドの皆様、このような形で息子を置いていく勝手をお許し下さい。この子はとても貧しい田舎村に産まれました。産まれながらに力が強く、制御出来ない危険性と国に見つかり国の道具にされるのではと思い、皆様に託す事にしました。どうかこの子を守り育ててはいただけないでしょうか。この子の名前は将来困っている人を助ける人に育ちますようにという意味をこめて、英雄と同じルクアと言う名前をつけました。ルクアをどうかよろしくお願いします。)
手紙を読み終えたレタスが
「との事ですが、どうしますか」
と答えはわかりきってるが、皆に問かける。
皆満場一致で笑顔でうんと頷いている。
早速ルビーがルクアにかけより抱き上げた。
「ルクア可愛くなって戻ってきたな」
皆からズルいズルいとブーイングの嵐だ。
ルビーがヘッヘンと勝ち誇った顔しながらルクアに頬ずりをする。
ルビーからは見えないだろうが、ルクアの顔が眉が下がり不快そうだ。
「早い者勝ちだ。」
その瞬間見えない力にルビーの顔が押し退けられ、バチンバチンと往復ビンタをくらった。
往復ビンタをくらったルビーはポカーンと口をあけ、目を点にして呆けた顔をしている。
「え?」
と言葉をもらす。
他の皆もえ?という表情をし、その後笑いがおき、笑いながら、オウミ、ヒナタ、ピカリン、モクリン、レタスとそれぞれ思った事を口にする。
「ルビーに抱っこされるのは嫌だって」
「ルビー嫌われた」
「やっぱりルクアです」
「ルビーは母性がないからだよ」
「やっぱりお師匠様のめんどうをみるのは私ですね」
皆からの散々の言われように涙目になるルビー。
そんなルビーから赤ちゃんを奪いとるピカリン。
「次は私の番です」
あーズルいと皆から非難を浴びるが気にしないピカリン。
「あのルクアをこんな風に抱っこするとは変な感じですね」
目をつむり感傷に浸るピカリンだが、突然ブスと何かが鼻に刺ささりブタ鼻みたいになる。
キリッとした目が涙目になりブタ鼻のせいでクール美人が台無しだ。
「痛いですぅ~」
と叫び、外そうと顔を動かすが外れない。
皆にまた笑いが起きるなか、オウミが腕を組今起こってる事について考える。
「何か見えない手みたいなのを作り操ってるのか、昔ルクアが使ってたのと同じだな」
ヒナタもオウミの言葉に頷き
「そうだと思う、私には少しだけ光の揺らぎのようなのが見える」
と言っている。
「次は私に任せて」
そう言ったモクリンがピカリンからルクアを渡される。
「よし、よしお母さんですよ」
おいとルビーから突っ込みがはいるが、気にせずルクアをあやし続ける。
モクリンはこのギルドでも一、二をあらそう母性の持ち主だ。
そんなモクリンだが胸が大きすぎて、度々ルクアの顔にあたり、顔がムギュっとなっている。
ルクアは煩いそうだ。
成人男性なら喜ぶ事でも赤ちゃんのルクアにはまだ良さがわからないようだ。
抱っこしているとモクリンがあ~んと甘い声を漏らす。
モクリンを見てみると見えない手に胸を揉まれているように見える。
そしてパチーンと胸を叩かれた。
大きすぎて邪魔のようだ。
そこにひょっこりエルフが顔をだす。
見た目はレタスより若く見える、髪色はレタスと一緒、長い髪をお団子ヘアーにしており、葉っぱ型の髪飾りをしている。
身長はレタスより少し低く、こちらのエルフは可愛いお転婆お嬢様といった感じだ。
その後ろにはきりっとしたショートヘアー美人の大人の雰囲気を纏ったエルフが二人たっている。
二人の身長は165センチ。
見た目は25歳ぐらいだろうか。
ちなみに左がエリーで右がエナだ。
帰ってきた三人を見てルビーが声をかけた。
「ヒメとエリーとエナも帰ってきたのか」
「うん、今帰ってきた、そしたら皆集まってるから何してるのかなと思って」
ヒメが喋りエリーとエナが無言でウンと頷いている。
「ほら見てみろ、この赤ちゃん誰だと思う」
と笑顔でルクアを指さす。
モクリンはまだ胸をたたかれてアンアン言っている。
「うーんとりあえず赤ちゃんを貸して、モクリンが胸をビンタされて可哀想」
モクリンからヒメがルクアを受け取り抱っこする。
「可愛い赤ちゃんだね」
嬉しいそうに笑顔で抱っこするヒメ。
抱っこされたルクアが今度はヒメの胸を自分の手でペタペタ触りだしたと思ったら、ペッと何かを吐き捨て残念そうな表情でそっぽ向いた。
何が起きたかわからないヒメは目を見開き驚いている。
「えっどうしたの?」
「多分ヒメは胸が小さいからじゃないかな」
モクリンから真実を告げられ、ショックな表情でルクアを抱えたまま膝から崩れ落ちた。
崩れおちたヒメが少し怒り頬を膨らませ拗ねたような表情で顔をあげた。
「この失礼な赤ちゃんが誰かわかったよ、ルクアでしょ」
「よくわかったな」
ルビーが感心している。
「人の胸触った時の残念そうな表情がルクアそっくり」
ヒメはキッとルクアを睨み怒りながらそう告げた
「確かにそうだ」
アッハッハと笑いながら答えるルビー。
さっきまで怒ってたヒメだが、赤ちゃんがルクアだとわかり目を細め静かに抱きしめた。
「おかえりルクア」
嬉しそうなヒメだが、ルクアはバブバブ言いながらからヒメから離れようと手で胸辺りをおしている。
ルクアの様子を見て哺乳瓶を片手に持ったレタスが近づいてきた。
「お師匠様が嫌がってるから交代して」
「えーしょうがないな」
渋々ルクアを渡すヒメ。
ようやくルクアを抱っこできたレタスは嬉しいそうにパァーット顔を綻ばせた。
レタスが持ってきた哺乳瓶を見てオウミがそんなのあったのねと関心している。
「ふっふんこんな事もあろうかと用意してたの」
ルクアを受けとったレタスは自慢気に胸をはる。
レタスに抱かれたルクアはまず胸をペタペタ触った。
そして目を細め安心したような表情で哺乳瓶からミルクを飲みはじめた。
それを見てドヤ顔をするレタス。
「やっぱりお師匠様のお世話が出来るのは私しかいないみたいね」
何か納得したかのようにモクリンがポンと手を叩いた。
「なるほど大きすぎず、小さすぎずちょうどいい胸みたいね」
レタスの胸はエルフにしては大きいBカップだ。
皆そういう事かと納得の様子だが、ヒメだけは自分の胸を触りながらショックをうけている。
レタスが何かを決意した表情で宣言した。
「私今日からお師匠様の否、ルクアのお母さんになります」
「いいんじゃないルクアに懐いてるみたいだし」
「そうだな、それに私達はルクアの友達で仲間で家族だしな」
オウミとルビーが賛同し他の皆も笑顔で頷くのであった。
この日五百年振りにようやく皆の元に帰ってきたルクア、その報せは捜索にでてる仲間達にも届き皆大急ぎで戻ってきた。
ルクアを見て嬉し涙を流す者、笑顔で喜びを分かち合う者、その可愛いさに頬をツンツンするの者、皆それぞれ喜んでいる。
ルクアの帰還を祝い宴会がはじまりそれぞれが、ルクアとの昔話に花をさかせるのであった、そんな騒がしい中でもルクアはレタスに抱かれて、穏やかな表情でぐっすり眠っている。
きっと久々に仲間達に囲まれて昔の楽しかった夢でも見ているのだろう。




