ルビーの怒り
ケインとの想い出を思いだすごとに許せない気持ちが膨れ上がっていく。眠れず目を開けベッドから起き上がり伯爵亭の気配を探ってみる。
伯爵亭とは距離が離れているがルビーにとっては大した距離ではない。
多数の騎士と、いくつかの強い気配を感じる。
強いと言ってもルビーから見れば大した程ではない、強さで表すならゼロックより少し弱いぐらいだが、今のルクア、ユキ、ケインの三人でなら勝てる強さだ。ただし他にも多数の騎士がいるので厳しいだろうというのがルビーの見解だ。
ルビーが一人宿をでて伯爵亭に向かう、時刻は夜中の三時外は真っ暗だ。
十分ほど歩き伯爵亭前についた、門の前に見張りが二人立っている。ルビーが歩いて近付いていく。
「誰だ止まれ」
門番が剣を構えて警告するが、ルビーはそれを無視して歩き続ける。
「それ以上近付くと斬るぞ」
それでも無視して近付くルビー。
門番とルビーの距離が二メートル程になった所で門番の男二人が剣を上段に構えて斬りかかってきた。
ルビーが両手で二本の剣を掴みグニャリと溶かして曲げたのだ。
それを見て門番二人は剣から手を離し後ずさるが門に阻まれそれ以上下がれない。
ルビーが二人に近付き門番ごと門を殴り飛ばした。殴り飛ばされた門番は激しく吹き飛び地面を転がり気絶した。
大きな音がした為騎士の宿舎と伯爵亭の中から多数の騎士がでてきた。
「誰だここは伯爵亭だぞ、こんな事してただで済むと思っているのか」
騎士の一人が大きな声でルビーに向かって警告する。
「ケインから奪った銃を返せ」
ルビーが騎士達を睨み付け底冷えがする声を発する。
「あの女は夕方俺達に無礼を働いたやつだ」
夕方絡んできた内の一人が怒り口調で周りの騎士達に告げると、何処からともなく
「あの女を取り抑えろ」
と言う声が聞こえ騎士達がルビーに斬りかかった。
ルビーは斬りかかってくる騎士達を意に反さず、ただ伯爵亭に向かって歩き続ける。
ルビーを仕留めたと後ろの方にいた騎士達は思っただろう、そう思った瞬間悲鳴が聞こえてきた。くしかも仲間達のだ。
ルビーを見ると何やら炎が揺らいで見え周りを明るく照らしていたのだ。
斬りかかった騎士が次々と悲鳴を上げ倒れて行く。倒れた騎士を見ると、顔は火傷し剣と鎧は溶けている。
ルビーが伯爵亭の玄関まで辿りついた、ルビーは玄関を開ける事なく、鉄で出来た丈夫な玄関を溶かして突き進む、そこから熱が伝わり石で出来た壁も溶けだしていた。
ルビーの歩いてきた後には沢山の倒れた騎士がうめき声を上げ苦しんでいる。騎士達の中には呆然と立ちつくす者、倒れた騎士に駆け寄る者と様々だ。
「何が起きているの」
「どうやら賊が侵入した模様です」
騒ぎで目を覚ました伯爵と伯爵の下に駆け付けた騎士団長が会話をしている。
「伯爵様とりあえず隠し通路から表にお逃げ下さい」
そう言われた伯爵は騎士の宿舎に通じる隠し通路へ逃げだした。
伯爵が隠し通路に入った頃ルビーは数ある部屋をしらみ潰しに探していた。ルビーが歩いた所から炎が上がり伯爵亭が燃え上がっていく。
そんな中ルビーが開けた部屋に女性が一人震えながら座り込んでいた。
「お前伯爵のコレクションルームが何処か知っているか」
女性は泣きながら無言で頷いた。
「案内しろ」
女性がよろけながらも立ち上がり、ルビーを案内する為に部屋をでようとするが、周りは火の海で外に出る事が出来ない。その様子を見たルビーが火を操り道を作った。ルビーには造作もないことだ。怒り狂っているルビーだが無害の女性にまで危害を加えるような事はしない。
女性の案内で伯爵のコレクションルームにつき、ガラスケースに飾られているケインの銃を見つけた。ルビーが銃を懐かしむ様に見つめ
「持ち主の所に返してやるからな」
と呟いた。
その頃外に避難した伯爵は倒れている騎士と燃え上がる伯爵亭を見て唖然とした後怒りに震え上がった。
「賊が出てきたらなんとしても捕らえるのよ」
伯爵から声がかかり騎士団長が敬礼し無事な騎士に号令をかけ、屋敷を包囲するように陣どった。
周りにはまだ騎士が倒れており酷い有り様だ。
町の住人も伯爵亭での騒ぎに気付き人が集まりだし、町の消防隊も駆け付けつけ消火栓にホースをつなげ消火活動を始める所だ。
伯爵亭の騒ぎがルクア達の耳にも届きルクアの部屋の前で合流した。
「ルビーがいないぞ」
ルクアが声を上げまさかと思いルビーの部屋をあけたがルビーの姿はなかった。
三人は急いで支度し伯爵亭に走った。




