ep.4 成就
試練の続きです
これが最終警告です。
本当に大丈夫ですか?
大丈夫なんですね?
それでは第一部最終話を楽しみ下さい。
「ここまで、やるか!!!」
俺は机を思いっきり叩いた。こんなことをやっても何の意味もない。
――でもこうせずにはいられなかった。
「恋羽! すまない。俺はこいつをどうにかしないといけない。兄さんと戦ってくれ!」
「でも……」
恋羽が兄さんを一度見て、俺を不安げに見る。
「大丈夫だ。恋羽は強い。お前は気付いてないだろうが世界中探しても恋羽より強いプレイヤーは数人しかいないだろう」
「……私なんかが初代【phantom】にかなう訳……」
「それがだめなんだよ、恋羽! いつまでも自嘲していたら勝てる試合も勝てない! それに世界一の俺と戦えるんだ。兄さんなんかに負けるわけがない」
「……分かった。覚悟を決めるよ」
「ああ。それでいい」
恋羽の瞳には、覚悟を決めたものしか持たない、決意の光があった。
「よし! それじゃ俺も! こいつをどうにかしてやるか!」
俺はキーボードに雷の如き速さと音で指を走らせる。
このPCは俺が両親を失った時に兄さんがくれた10年以上の付き合いの、友達だ。
「だから、絶対にお前を壊させはしない!!!」
俺は、あからさまにPCを壊そうとしてくるこのプログラムを解析ソフトにかける。
「このウィルスは今あるプログラムじゃ排除できない。なら――」
俺は開発アプリを開き、一度瞑目する。
一度大きく息を吸うと、開眼。
「作るしかねぇだろ!!!」
俺は指の負荷が凄まじいため、一度も使うことのなかった『全力』を出す。
その『全力』は一秒間に300打鍵に達し、最高速度は500打鍵を超える。
「くそ! こうじゃない! 既存の定義ファイルじゃ追いつかねぇ……なら、自己進化型の動的解析コードをその場で組む!」
叩きつけられるキーボードの音が、もはや打楽器の連打を通り越して、一本の途切れない爆音と化す。摩擦で指先が焼け付くように熱い。
画面を流れるソースコードは、常人の動体視力では認識不可能な速度でスクロールしていく。
「ウイルスの暗号化キーを逆探知――構造を解析、シグネチャを特定! ここから先は一歩も通さねぇ!」
エンターキーを叩き割らんばかりに振り下ろす。
画面上の警告の赤が、一瞬にして撃破を示す青へと塗り替えられていき、画面中央に『Cleaned』の文字が浮かび上がった。俺はそのまま、筋肉疲労で痙攣する両腕を机に投げ出した。
「よし。守れたぁ……大丈夫だったか。俺は絶対にお前を失う訳にはいかねぇんだ……」
友達を守れたという嬉しさから胸から何かが溢れ、自然と俺の瞳から涙がこぼれる。
「はっ! そうだ!」
俺はそこで兄さんと恋羽が戦っているということを思い出し、涙を拭い、頬を叩き身体に活を入れる。
急ぎDystopia Log』を起動し、【暗黒ゲート】に入る。
「恋羽、今どこで戦ってる?」
兄さんの部屋に俺は駆け込んだ。
「くっ、この!」
「いつまで逃げ回っているつもりだい?」
「ぐっ!」
「おっ、終わったか、響。お前の彼女さん、すげぇ弱いぞ」
見ると、恋羽を痛めつける兄さんの姿があった。兄さんはゲームをすると、性格が超鬼畜なドS野郎になる。
そのことを分かっているのに、俺の心にはどす黒い何かが溜まっていく。
その時、恋羽の瞳から一筋の涙が零れた。
「……ぁ、……っ……」
「――ッ!」
今なお恋羽を痛みつける兄さんを睨み、兄さんは恋羽の姿を見てニタ~と笑う。
「あれ~? 泣いちゃったかぁ~君の覚悟はそんなもんなんだね。拍子抜けだよぉ~そんなんで僕に勝とうとかぁ~」
兄さんは徐々に恋羽に近付き、不気味な声でこう言った。
「出直してこいや小娘」
その瞬間、心の奥底に抑え込んでいたどす黒い感情が決壊した。
許せない。恋羽のプライドをズタズタに切り裂いておいて、その態度。殺す。こいつはコロス。徹底的に完膚なきまでに叩きのめす。お前のそのプライドもニタ笑いも何もかもすべて切り刻んでやる。
この時、俺の心と体のリミッターは完全に外れた。
「おいクソ野郎。俺とヤらせろ」
「しょうがないなぁ~君もあの小娘みたいにぃ~完膚なきまでにズタボロにされたいのかなぁ~」
恋羽を見ると、魂が抜けているかのように無言で涙を流し、壁の一点を見ていた。
何をされたのか少し想像するだけで、どろどろとした憎悪が腹の奥底から込み上げてくる。
気が付くと俺はクソ野郎の胸倉を掴み、そいつの額に俺の額を押し付け叫んでいた。
「お前がな!!!」
俺は恋羽を俺の部屋に連れて行き、ベッドに寝かせた。
「待ってろ。敵は取ってやる」
恋羽にそう語りかけたが返事はない。どういたぶったらこうなるのだろう。絶対にあのクソ野郎を許すことはできない。
俺今の心を表現するかのようにドカドカと大股でリビングへと向かった。
「……許さない!!!」
俺はクソ野郎のプレイヤー名を入力し、魔法を発動させる。
【彼のものの居場所を示し給え。探知魔法】
画面左上のマップに座標が表示される。
【我は光の粒子となりて影を飛び我が望む地点へと至らん。瞬間移動】
そこには闇のオーラを纏う暗黒の騎士がいた。
「お前かぁ!!!」
俺は叫び、瞬時に五つの魔術を発動させる。
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【大いなる炎の奔流の始まりは小さな火種にすぎん。火球】
【土火水風、四つの魔力の渦は一つの魔力となり全ての壊す衝撃とならん。崩壊の四大元素】
【夜より暗き漆黒に宿りし闇の神よ。今こそ目覚め、彼のものを滅ぼし給え。貴方に捧ぐは大いなる生命の源、復活の時は今。光が全てを飲み込む前に、世界を闇の魔力で黒く染め上げよ。終焉の幕を引け、全てを永遠の虚無へと還すために。常闇ノ終焉】
チートコマンドの魔力増強の二重掛けは百×百で倍率は一万倍。
一万倍の大きさと威力になった火球を打ち込み、崩壊の四大元素によって崩壊ダメージを与え、超高位闇魔術により即死効果を生み出す。
「どうだ……」
砂埃が晴れていくと、そこには無傷のクソ野郎が立っていた。
「まじか……!」
俺は驚きの声を漏らす。だがその声とは裏腹に不敵な笑みを浮かべていた。
久しぶりに感じる高揚感。強敵と戦うときに感じる感情の高まり。
それは世界一の【phantom】となってからは忘れていた感情だった。
「面白れぇ……なら、これはどうだ!」
指の残像が一つの物体に見えるほどのスピードで詠唱を打ち込む。
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
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【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
【command:2497610034833192魔力増強】
……以下略。
「ははっ、百の百乗倍の威力を喰らえ!」
俺が極点単体攻撃魔術を入力しようとしたとき――
「私との合体技を見せてあげよう!」
向こうの部屋から恋羽の声が聞こえた。
「OK!」
俺は高鳴る高揚感の余り、弾んだ声で返した。
支援魔法で恋羽にも魔力増強を百回かける。
「やるぞ! 恋羽」
俺は叫び
「いくよ! 響」
恋羽も叫んだ。
「面白いねぇ~君たちの合体技見せてくれよぉ~!」
クソ野郎も叫んだ。
クソ野郎が全力で魔法防御結界を構築していくのを横目に更に魔力増強を百回かける。
【【始まりの数字は一。私のなかに君が居て、君のなかに私が居る。背中を合わせた二つの孤独が、今、一つの座標で交差した。運命とは変えられぬ軌道ではなく、互いを選び取った絆の結晶。百の絶望を百の希望で塗り潰し、千の夜を千の朝で迎え撃つ。乗算せよ。ただ足し合わせるだけでは、この世界の絶対的な理には届かない。私の魔力を君の命へ、君の祈りを私の刃へ。二乗、三乗、十乗、百乗。加速度的に膨れ上がる光が、次元の壁を焼き尽くしていく。見よ、目の前に立ち塞がるは巨大なる壁。理不尽なる運命の障壁。神が定めた絶対の境界線。だが、私たちの前ではそれさえも、ただの分母に過ぎない。分子たる私たちの想いは、すでに天をも穿つ質量となった。乗算を止めるな。限界などという概念は、最初からこの恋という数式には存在しない。万の万乗、億の億乗、兆の兆乗。すべての数の概念を置き去りにして、魔力は無限へと突き抜ける。砕け散れ、私たちを拒むすべての理不尽よ。この一撃は、世界の終わりではなく、私たちの始まりの号砲だ。光の奔流が障壁を消滅させたその先へ。砂埃が晴れた荒野に、私たちは二人で立つ。演算の嵐は去り、世界を満たすのは、あたたかな木漏れ日。もう戦う理由はどこにもない。乗算された無限の力は、これより全て、君と生きる日々の幸福へと還元される。朝の挨拶。静かな食卓。他愛のない笑い声。重ね合わせる唇。それら全ての日常を、私たちは再び、無限に掛け合わせて生きていく。百の百乗倍の、その先へ。神の数式を書き換えろ。世界の仕組みを打ち砕き、ただ、君と手を繋ぐ。 永劫因果・無限乗算領域】】
合体技――複数のプレイヤーが寸分変わらぬタイミングで詠唱を入力することで発動する奇跡の魔術。その成功率は天文学的確率だ。それこそ運命の者同士でなければ発動することができない。
「「いっけぇ~~~!!!」」
放たれた光線は空間さえも捻じ曲げ、何万重にも張られた魔力障壁などないかのように、一直線に標的へと向かっていく。
標的に当たった瞬間、轟音が鳴り響き世界が白く染まった。
世界に再び色が戻るとそこには何もなかった。
あるのはただ、佇む唯一の不可分。
俺と恋羽だ。
「やった……」
どたどたと走る音が聞こえ振り返ると目の前には、恋羽の笑顔があった。
「おわっ!」
恋羽の顔がすぐ目の前にあった。
互いの吐息が触れ合うほどの距離で、彼女の潤んだ瞳が俺を真っ直ぐに見つめている。
ドクドクと、自分のものか彼女のものか分からない鼓動が、重なる胸の奥から響いていた。
不意に、恋羽は目を閉じた。
えっ!? いいのか、これは!? いいのか!?
一瞬の葛藤の末。
俺は、恋羽の唇に自分の唇を重ねた。
「……ぅ……ん……」
まるで永遠と思えるほど長い数秒の静寂が、俺と恋羽を祝っているようだった。
ほんの少しだけ名残惜しそうに唇を離すと、彼女の潤んだ瞳が、じっと俺を見つめていた。
「恋羽、大好きだよ」
胸の奥から、恋羽を想う熱い気持ちが溢れ出していた。
消え入りそうなほど、小さな、小さな声。
それなのに、世界からすべての音が消え失せたかのように、その言葉だけが二人の間に深く響き渡った。
「私も。響、大好きだよ」
二人の間に再び静寂が訪れる。
「……ふ、ぅ……っ……」
恋羽の口から熱い吐息が漏れ、その瞳はトロンとしたものになっていた。
彼女は俺の服の裾をぎゅっと握りしめ、上目遣いでじっと見つめてくる。
「……、……っ……」
声にはならない、かすかな息の音。
けれど、触れ合うほどの距離で小さく動いた彼女の唇は、確かに『きすして』の形を描いていた。
――今度は、迷わない。
俺は恋羽の頬を優しく包み込み、引き寄せられるように、もう一度唇を重ねた。
何秒が経っただろう。
ようやく離れた唇の隙間から、恋羽の甘い吐息が零れ落ちる。
「……ん、ぅ……ふふ、響の顔、真っ赤」
涙の乾いた顔で、いたずらっぽく微笑む彼女の笑顔が、たまらなく愛おしかった。
少年時代の憧れから始まった僕たちの恋は、今、この現実の中で、確かに永遠になった。
パチパチパチパチパチ……
その時、場違いな拍手が響いた。
目を細めて音が鳴る方向を睨む、そこには優しい笑顔の兄さんがいた。
「おいっ、こらっ、クソ野郎! よくも恋羽を!!!」
兄さんに詰め寄り胸倉を掴んだ時、フッと笑った。
「合格だよ、響。君には恋羽さんを思いやれる心、守れる力がある。何より二人は愛し合っている。恋羽さんを幸せにしてやれよ」
合格? 何を言ってるんだこいつ。
俺は兄さんの胸倉を掴む手を離し、低く、地を這うような声で問い詰めた。
「説明しろよ、兄さん。……恋羽を巻き込んで、一体何が目的だ」
兄さんは、乱れたシャツの襟元をゆっくりと整えながら、ふう、と深くため息をついた。
その表情から、先ほどまでの「悪役」の仮面が完全に剥がれ落ちる。
「……すまなかった、響、恋羽さん。手荒な真似をしたことは謝る。だけど、こうでもしなければ確かめられなかったんだ」
「何をだよ!」
「君の『覚悟』だよ、響」
兄さんは、部屋の隅にあるデスクに歩み寄ると、そこに置かれていたICレコーダーを手に取った。
「神崎家が代々許嫁制度で結婚させることは知っているよね?」
「――そういうことかよ」
俺は結論に辿り着き、兄さんはそれが分かると鼻で笑う。
「そうだ。現当主である僕の父は響にも許嫁をあてがうつもりだ。それは嫌だろう?」
「他人に人生を決められるなんて性に合わない」
「だろ。だから僕は見定めに来たんだよ」
「な~る」
俺と兄さんは同時に恋羽を見る。
恋羽は笑顔で俺に手を振る。
それに俺も笑顔で返す。
「兄さん。俺は恋羽を守っていきたい」
その言葉に、兄さんは相変わらずフッと鼻で笑う。
「その言葉を聞けてよかったよ」
兄さんはそれだけ言うと、俺に背を向け、限界に続く扉を開けた。
「じゃあね、響」
「ジジイに伝えといてくれよ」
「ああ、分かった」
俺と恋羽は並んで、去り行く兄さんの背中を見送るために一歩前に出た。
すると、ドアノブに手をかけた兄さんが不意に振り返り、俺たちの元へ歩み寄ってくる。
「――響。頑張れよ」
ぽんと肩を叩かれたかと思えば、大きな手が俺の頭に置かれ、乱暴にわしゃわしゃと髪をかき回された。
「おい、やめろよ!」
と抗議する俺を、兄さんは子供をあやすような目で見つめた後、今度は隣にいる恋羽へと視線を移す。
「恋羽さん。こいつは昔から頑固で、一度こうと決めたら周りが見えなくなる不器用な奴なんだ。時々突っ走りすぎて危なっかしいところがあるから、どうか隣で手綱を握っていてやってね」
兄さんなりの、少し照れくさそうなアドバイス。
恋羽は一瞬驚いたように目を丸くしたが、すぐに嬉しそうに微笑んで
「はい、お任せください!」
と力強く頷いた。
「じゃあ、今度こそ行くよ」
それだけ言うと、兄さんは今度こそ振り返ることなく、片手をひらひらとスマートに振りながら、開いた扉の向こうへとカッコよく去っていった。
パタン、と静かにドアが閉まり、部屋に静寂が戻る。
……ありがとな、兄さん
手荒すぎる試練だったし、めちゃくちゃ腹も立ったけれど、結局は俺たちの背中を押してくれたんだ。
口には絶対に出してやらないけれど、兄さんの不器用な優しさに、俺は心の中で深く感謝していた。
◇ ◇ ◇
それからというもの、学校でも恋羽が話しかけてくるようになり、虐めが激増。
だが俺は恋羽にふさわしい男になれるよう、毎日鍛え続け、ついに虐めを全て撃退。
カースト上位勢に入ることができた。
ちょっと前までは、ボッチが一番、陽キャなんて糞と思っていたけど、案外悪いものじゃないかもしれない。
今では、俺を虐めてた連中とも仲良くできてる。
「響、お前マジで変わったよな。ちょっと前まで弱そうな陰キャだったのに」
昼休みの食堂、賑やかな笑い声の中で、元・主犯格の男がジュースを片手に俺の背中を叩いた。
「お前らがしつこすぎたから、鍛えざるを得なかっただけだろ」
と俺が苦笑交じりに返すと、
「悪かったって!」
と周囲がどっと沸く。
力を示し、言葉を交わし、結果として手に入れたこの平穏。
陽キャたちの輪の中にいる自分に、どこか奇妙な居心地の良さを感じていた。
ふと、食堂の入り口に恋羽の姿が見えた。彼女もこちらに気づき、嬉しそうに小さく手を振る。
俺もそれに応えようと手を挙げかけた、その時だった。
楽しげな食堂の喧騒を切り裂くように、俺のスマートフォンが激しく震えた。
ポケットから取り出し、画面を見る。ディスプレイに表示されたのは、登録されていない通知。
だが、そのプレビューに表示された文字列を見た瞬間、俺の血の気が一気に引いた。
【合格おめでとう、響。でも、学校の有象無象を倒したくらいで満足してちゃ困るよ】
――兄さんからだった。
ドクンと心臓が大きく跳ねた。
手に入れた平穏が、足元からガラガラと崩れ去っていくような錯覚に囚われる。
「響? どうかした?」
食堂の入り口から歩み寄ってきた恋羽が、不思議そうに俺の顔を覗き込んできた。
その純粋な瞳に、スマホの画面を映すわけにはいかない。
俺は慌てて画面を伏せ、ポケットへと押し込んだ。
「あ、いや……何でもない。ちょっと、うるさい迷惑メールが来ちまってさ」
「大丈夫だった? 顔色、真っ青だったよ?」
恋羽はクスッと笑って、俺の腕にそっと手を添える。
その手の温もりが、冷え切った俺の理性を現実に引き戻してくれた。
そうだ。俺はもう、あの頃の無力なボッチじゃない。
恋羽を守るために毎日泥をすすり、体を鍛え上げ、利藤女虐めすらもこの拳でねじ伏せてきたんだ。
カースト上位勢の奴等と和解できたのも、俺が舐められない強さを手に入れたからだ。
ジジイが動き出すっていうなら、上等だ。返り討ちにしてやる
兄さんのメッセージはきっと俺への渓谷だ
「なぁ、恋羽。今日の放課後、ちょっと寄り道して帰らないか? 駅前のデパートで『Dystopia Log』のイベントがあるみたいなんだ」
「うん! 行く!」
「じゃあ、決まりだな!」
花が咲くような笑顔を見せる恋羽の頭を、優しく撫でる。
迫り来る嵐の気配を感じながらも、俺の心は驚くほど静かに燃えていた。
兄さん、見ててくれよ。
俺たちの愛も、俺の覚悟も、あんたの想像を遥かに超えてみせるから――。
実はすでに『第二部』の構想は頭の中にあります。
しかし、それが日の目を浴びるかどうかは皆様のクリック数次第です。
そう、第二部の命は今、皆様の指先に握られています……!
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