表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
3/4

ep.3 試練

皇 恋羽の続きです。

お待たせしました! 

今話では響くんと恋羽ちゃんが遂に……

これ以上はネタバレなのでやめておきます。

ネタバレというと最近気になってたアニメのネタバレをカースト上位勢にされました。

ファッ○!


それでは楽しんで読んでください!


「それで言い訳を聞こうか」

「うぅ……」


 俺はリビングの床に正座させられていた。

 結局あの後は、俺の心臓と……あれが爆発しそうになって、恋羽に話してもらった。

 チキンと呼ばば呼べ。これでも俺は健全な思春期男子なのだ。


「それで?」


 彼女の顔が怖い。

 恐らくは今まで、俺が『あの子』だって言うことを隠していたことに怒っているのだろう。

 そりゃそうだ。

 もし俺が恋羽の立場だったら確実に起こる。 

 だって、憧れの『あの子』に追いつきたくて、必死に努力するのを一番近くで見ているのが、その『あの子』だなんて、ラブコメの世界だったらいいが、現実の世界だったら必死に努力する自分を影で嘲笑っていると思うに決まってる。

 でも俺はそんなこと微塵も思っていない。声に出してその思いを彼女にぶつける。


「俺は、頑張るお前を見て、嘲笑ったりなんかしていない。ただ懸念があったんだ。俺が『あの子』だって明かしたら、お前は本気で頑張らなくなるんじゃないか。『あの子』に追いつくという情熱が消えてしまうんじゃないかと。怖かったんだ。それに友達というものに心地よさを感じていて、明かしたらその関係が変わってしまうことが怖かった。それが俺の想いだ」

「そうだったの。やっぱり優しい、響は。あの頃と変わってないね」

「そういうお前も、そのやんちゃな性格、変わってねぇだろ」


 俺と恋羽は無言で見つめ合う。以前まではこの静寂が苦しかった。

 でも今は、それさえ心地よいと感じる、

 ――あぁ、そうか。

 恋羽の『あの子』への恋心に気付いて遊んでいるうちに俺も、彼女に恋心を抱いていたんだ。


「なぁ恋羽。今から大事なこと言ってもいいか? 今後の俺たちの関係が変わるかもしれない大事な言葉だ」


 彼女もそれを察したのか、優しい笑みを浮かべる。


「いいよ」


 俺は大きく息を吸い込み、胸に手を当てて、自らの心を頑張れ、と勇気づける。


「俺は、恋羽のことが好きだ。付き合ってくれ」


 恋羽はさっきのような満面の笑みを浮かべて、その答えを聞かせてくれた。


「私も、響のことが好き。付き合いたい」


 そして俺たちは、互いの身体に腕を回して、抱擁する。

 陰キャで人と関わらないようにしていた俺の初恋が成就した瞬間だった。


「ねぇ、ずっと言いたかったこと言っていい?」

「奇遇だな、俺もだ」

 

 俺と恋羽は向き合って、笑顔で言った。


「「久しぶり!!!」」


            ◇ ◇ ◇


 それから晴れて恋人となった俺と恋羽は週末にデートするようになった。

 デートをするときは、恋羽本人きっての希望でメガネを外すようにしている。

 俺自身も恋羽とデートしているところを学校の奴等に見られたくないって思いもあって、それに同意した。

 今日もそうして出かけようと俺の家の玄関で靴を履き替えていると、玄関の扉が開いた。


「えっ!?」


 そこに立っていたのは、白のカッターシャツと黒のスラックスという服装の知的で優し気な雰囲気を持ち清潔感漂う大人の男性だった。

 俺はその男の人と目が合う。


「……(にい)さん」


 そう呟くと、男の人は俺を見て笑みを浮かべる。


「久しぶりだな、響」


 兄さんは、兄弟とかの兄ではなく、従兄の方の兄さんだ。兄弟というものに憧れていたから、そう呼んでる。


「どうしたの? 響」


 リビングに繋がる扉を開けて、恋羽が顔を出す。

 その目が兄さんを捉え、大きい目を更に大きくする。


「まさか……」

「紹介するよ。こちら、俺の従兄の神崎(かんざき) 剣夜(けんや)だ」


 俺が手で兄さんを示して紹介すると、兄さんは玄関から一歩中に入ってくる。


「どうも。響の従兄の剣夜だ。一応保護者をしてる」


 兄さんが前に手を差し出して握手を求めると、恋羽は少し驚いたように目を見張ったが、すぐに微笑んでその手をぎゅっと握った。


「こんにちは。皇 恋羽と言います。響……さんとは、お付き合いさせていただい てます」


 兄さんは、信じられないような目で俺を見る。俺ってそんなにそういうキャラじゃないかな?


「そうかそうか。あの奥手の響に恋人……か」


 兄さんは不敵な笑みを浮かべる。


「それで、二人とも今日これから時間はあるかい?」

「えっ、いや、これから出かけるんだけど……」

「あるよね???」

「あっ、はい。恋羽は大丈夫?」

「大丈夫だよ」


 兄さんは自分の考えを強引に押し通そうとするんだよな。そこは全然変わってない。

 俺はあきれ顔で肩をすくめる。おい、そこ! ニヤニヤしない!


「じゃあ、始めようか」


 兄さんは持っていたスーツケースからゲーミングPCを取り出した。

 俺のものとは比べならないほど高性能の、だ。


「ちょっとこっちの部屋借りるよ」

「ああ」


 俺は頷く。その部屋は兄さんがたまに家に来るときのための部屋だ。

 そして手慣れた手つきで部屋にゲーミングPCを設置すると、俺と恋羽を見て言った。


「僕と二対一で対戦してくれ。もちろん『Dystopia(ディストピア) Log(ログ)』で、だ」


 その申し出に恋羽は戸惑う。


「えっ? こっちには響……さんがいるんですよ。大丈夫なんですか?」


 その言葉を聞くと、兄さんは鼻で笑う。


「別に呼び捨てして構わないよ。それと……僕のことを舐めてもらっちゃ困るよ」


 兄さんは目を見開き、その迫力に俺と恋羽は気圧(けお)される。

 俺はゴクリと生唾を飲み込む。


「兄さんは――」


 そこで俺は一呼吸置く。


「初代【phantom(ファントム)】だ」


「えっ?」

 

 そして俺はまだ誰にも話していない事実を恋羽に教えた。


「【phantom(ファントム)】はもともと兄さんのプレイヤーネームで、金を稼げるようにと俺にその名前を継がせてくれたんだ。実力は兄さんの方が上。今は知らないけど」

「そういうことだ、恋羽ちゃん」


 一通り言うと、恋羽は頷いた。


「ふむふむ、つまり私はその事実を知る初めての第三者、と」

「まあそういうことになるね、それで受けてくれるかな僕との対戦を……」


 俺と恋羽は同時に頷き、その心意気を言う。


「もちろん。俺は絶対に兄さんに勝つ!」

「ちょっと響、私もいるでしょ。私と響の合体技は見せてあげます」


 俺と恋羽は兄さんを睨む。すると兄さんは、


「――ハハハッハハハハッハハッ」

 

 兄さんは不気味なほどの高笑いを上げ、気味の悪い声で俺たちに話し掛ける。


「そんな精神論だけで、僕に勝てるなんて思うなよ……」

「「……………」」


 三人の間に不穏な沈黙が流れる。

 

 だが、その沈黙は兄さんの明るい声で破られる。


「それじゃ! 始めようか」

「「!!!」」


 それでも、俺と恋羽に与えられた見えない重圧は、決して消え去ってはくれなかった。喉の奥がカラカラに乾き、冷たい汗が背中を伝う。兄さんの「明るい声」の裏にある本物の冷徹さに、俺たちはただ圧倒されていた。

 そうだ。これが兄さんの戦闘スタイルだ。

 相手にプレッシャーを与え、焦りからミスを誘う。

 その優し気な雰囲気に騙される人も多いが、兄さんは狡猾な人間だ。


「恋羽、動揺するな。兄さんは相手を動揺させ失敗を誘うタイプだ。冷静になれ」

「わかってる」


 恋羽は兄さんを目を細め睨む。

 

 おお。意外と冷静だな。


「残念だったな、兄さん。俺らはそんなせこい手にはひっかから……な……い……ぜ。何してんの兄さん」


 俺が兄さんを見ると、妙な機械を動かしていた。 


「兄さん、何して――!?」


 兄さんはこちらを見て、ニヤリと笑った。


「まさか!!!」


 俺は自分の中で一つの結論に辿り着き、ダッシュでリビングにあるゲーミングPCへと向かった。


「おいおいおい……」


 PCの電源をつけると、俺が組み上げたタイハッキング用プログラムが作動していた。


「ここまで、やるか!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ