93.
商会のギルマス、セフィアさんと交渉し、食用の油を大量ゲットした。
アナに、具体的な交渉は任せる。
どれくらいのリオン玉に対して、どのくらいの油もらえるみたいな。
そういった細かい条件の取り決めのことね。
最終的に出された条件を、わたしが目を通し、OKを出す。
これで無事、ミッションは達成されたわけだ。
ふぅ、よかったぁ。
「リオンさん」
セフィアさんがずいっと顔を近づける。
……よく見ると、すっごく顔整ってるんだよなぁ。
顔だけで食っていけそう。
「な、なんでしょう……」
「今回の取引、あまりに我々に利があすぎます。これはいけません」
利がありすぎるのが良くない……か。
まあ言いたいことはわかる。
リオン玉の商業的価値は高い。
その対価が油だけというのは、いささか不釣り合いだと。
あとで難癖つけられても、向こうも困るんだろう。
「でも油いっぱいもらうことにもなってるし、これでいいんじゃない? わたしもアナも納得した量だし」
「あなた様も私も納得していても、周りがどう思うか」
あー……なるほど。
従業員や、周りの商会から見てどう思うかってことか。
「言いたいことはわかりましたけど……何か良案が?」
「もちろん。業務提携いたしませんか」
「業務提携?」
「ええ。今後リオンさんの望む物をこちらが仕入れ、こちらの望むものをリオンさんが提供すると」
なるほど……。
望む物かぁ。
でも今パッと欲しいものって……。
待てよ。
「じゃあ、ゴミ処理業を、任せてもらえないでしょうか?」
わたしからの提案が、あまりに意外だったのか、セフィアさんが困惑の表情を浮かべたまま、固まってしまう。
取引に嘘は駄目だって、どこかで聞いたことある。
「わたしのリサイクルショップスキルは、ゴミを消して、ポイントに変えられるんです。その量には限りがない」
「!」
それだけで、セフィアさんはスキルの利用価値に気づいたのか、目を輝かせて、顔を近づけてくる。
「なるほど! こちらは何かを作る際にゴミが必ず出て、その処理に困る。だから、リオンさんにゴミを買取ってもらうと!」
正直この取引、わたしが居なかったら、居なくなったら、成立しなくなる。
領地を長く運営していくうえで、わたしが居なくなると成り立たなくなるようなことは、あんましたくない。
でも、今はしょうがない。
今ある手札を有効活用しよう。
「リオンさんにはポイントを得られるメリット、私らはゴミを安く回収してもらえるメリット。双方、Win-Winの関係ってことね」
「そういうことです」
セフィアさんは立ち上がり、手を差し伸べてくる。
よし……上手くいったぞ。
わたしは彼女の手を握り返す。
こうして、わたしたちは、大商会とのコネクションを、ゲットしたのだった。




