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カイラード殿下のクッキーイベント

「君は……カルベロス嬢。久し振りだね」

「そ、そうですねー」


 この状況でカイラード殿下を無視して去るわけにも行かず、あたしは招かれるまま殿下の傍へと歩みを進める。


「これ、君のかい? 魔法かなんかで操ってたの?」

「あー……そのような感じです」


 この国には魔法が普通に存在している。この学園も魔力を持った者しか入学出来ず、そして貴族に生まれた者は多かれ少なかれ魔力を持っている。更に王族ともなればその力も膨大だ。本格的に魔力が目覚め始める十五歳になると、この学園で魔法の扱いを習う事になっている。


 だから、まぁ……クッキーの包みが宙を浮いていても、飛んでいても、そんなに問題ではない。――ではない、筈よね? いや、ビックリはするだろうけど。


「何が入っているの?」

「焼き菓子……です」

「へぇ……もしかして君の手作り?」

「そ、そうですね……」


 うわっ、めちゃ食べたそうにしてこっちを見てる! なにその期待している顔! てゆーか、これってアレよね。カイラード殿下のイベントだよね。


「実はその包み、さっきどうやっても開かなくて」

「そうなの?」


 そう言ってカイラード殿下はリボンに手を伸ばし、するっとほどかれた。


 ――うがっ! やっぱりイベント用だったからリボンほどけなかったのか!


「ほどけたけど……」

「そ、そのようですね」

「可愛らしいクッキーだね」


 カイラード殿下が自身の膝の上で包みを開くと、そこには絞りクッキー、ボックスクッキー、ジャムサンドクッキーと種類豊富なラインナップだ。夜中に作りすぎじゃないか、これ。


「……お口に合うか分かりませんが、召し上がりますか?」

「あぁ! 是非とも」


 凄く嬉しそうに顔を輝かせるカイラード殿下の姿に一瞬クラッとする。さすがメイン攻略対象者、その笑顔ひとつでどれだけのご令嬢が倒れる事か。


「うん、とても美味しい」

「それは、よろしゅうございました……」


 キラキラとした笑顔でクッキーを食されるカイラード殿下の傍であたしは、遠い目をして噴水を見ていた。あぁ、これで三つ目のイベントをクリアしてしまった。という事は、そろそろ悪役令嬢であるクレア・ブルックが登場してくるかもしれない。


 一応エバーンズとヒューのイベントはこなしてるんだけどなぁ。なんでカイラード殿下のイベント迄しなきゃいけないんだろう。……まさか卒業パーティの断罪劇を目指させてるとか? いやいや、それはマジ勘弁して欲しい。


 このカイラード殿下を攻略した日には絶対お花畑になるの分かってるし、悪役令嬢と対立するのも嫌だし、エバーンズとヒューはなんだかタイプじゃないのか萌えないし、ワイアットにはまだ会ってないけど殿下と同じで婚約者居る訳だし、マーカイルはなんかアレだし……。


 この先あたし、どう進めば良いんだろう。ヒロインに転生して嬉しかったけど、なんか思ってたのと違うわ。攻略対象者以外との恋愛とかしちゃダメなのかしらね。とか言いつつ、そんな当てもないんだけどさ。

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