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吸血鬼会議

「アン様できましたよー。」

屋敷を泉の近くに移してそれなりにたった頃。

薄暗い屋敷の食堂に設置された長いテーブルに椅子が一つ。

腰辺りまである燃えるような真っ赤な髪を揺らし白い瞳着てを輝かせ食堂にやってきた。

アン様は不機嫌な顔をして俺を睨んでいる。

「ユウヤのばか!もうお腹が空きすぎて死ぬかと思ったわ。」

「アン様!今日は食事がありますがお腹がすかれましたらいつでも私の血を吸ってください。」

アン様は眷属にしてくれた時から一度も吸ってくれないのだ。

すっと椅子を引きユウヤはドン引きするアンを座らせる。

「私の眷属だというのに相変わらず気持ち悪いこと言うのね。」

「眷属なればこそですよ。吸われるのは喜びです。」

アンは食事に気を向けるとパンやお肉、スープにサラダまでおいしそうに食べていた。

血を吸うことを極端に嫌う吸血鬼は世界広しといえアン以外にはいないだろう。

それでも人並みの身体能力に落ちてしまうが吸わなければ死ぬというものでもないのだが。

「ふう、今日も美味しかったわ。明日は魚が良いわね。」

「今の時期ですとニコア鯛のムニエルなんて如何ですかね?」

「それ良いわね。やっぱり旬・・・あっそろそろ年に一度の親族の集まりだった。」

親族の集まりとは純粋なる吸血鬼のみで集まる会議である。

喜んだ顔から一転曇り顔になり無言で寝室に向ったまま2日ほど出てこなかった。


「ユウヤ出かけるわよ。」

「畏まりました。アン様。」

今や多種族の皆は各々好きなようにして屋敷で過ごしている。

「それじゃ、リーラあとはよろしくね。」

そういうとアンはユウヤの手を掴んでワープをしたのだった。

この時期に一度だけ、吸血鬼とその眷属のみを、決められた場所に移動させる力をもった指輪。


「あら、アンじゃないの。よく来たわね。」

話しかけてくる女は処女の血を愛する「血の女王」の異名を持つ吸血鬼。

「こなきゃアンのお父上さまに迷惑がかかるだろう。恥さらしだ。」

女の眷属をはべらかしたドラキュー伯爵も居たようだ。

「ユウヤ、行くわよ。」

アンは2人を無視して大きな扉が開いた先にある9つの席の末席に座る。

ユウヤが見渡すと既に7人が席についていた。

「おお、アンよ。また綺麗になったな。」

「お父様もお元気そうで何よりです。」

ユウヤの顔をチラッと見るが眷属など眼中にないのだろう気にも留めない。

もっともアンの眷属とは思いもしてないのだが。

8人集まったところでコウモリたちが長いテーブルの一番奥の席。

この会議の主催者の席である上座に集まった。

「ようこそ集まってくれた。8人欠けることなく私の前に居ることに乾杯だ。」

コップに注がれた赤い液体を9人が飲み干す。

「アンよ。眷属がついにできたのだな。おめでとう。」

「ありがとうございます。」

7人の目がアンに注がれその後ユウヤに皆が目を向けた。

「その兄ちゃん眷属化が弱くないかい。」

狼の顔をした吸血鬼が鋭い眼光でアンに問いかける。

「まぁ初めてなんだし。それにあのアンが眷属を作ったことが奇跡なんだから。」

血の女王は優しく笑っているように見える。


さてユウヤは心が読めるのだ。流石に上席にいる始祖は心をガードしているようだが。

始祖の吸血鬼と父親以外はユウヤにもそしてアンにさえ下に見てほくそ笑んでいるのだ。

俺に関してならどうでもいいがアンを侮辱されるとはユウヤだけなら皆殺しにしていただろう。

しかしアンの心は違った。私は吸血鬼としてここにいる。という覚悟を持って座っているのだ。


「アンの眷属よ。そんなに殺気立つでない。」

始祖の吸血鬼だけはユウヤの危険性に気付いたのだろう。アンがこちらを向いたので無感情になった。

「そしてお前たちもアンを愚弄するでないぞ。眷属をしっかりと作ったのだからな。」

皆が頷いた。


吸血鬼会議も終わったのでアンが帰ろうとすると父親が呼び止めてきた。

「アンよ。お前の住んでいた場所が消えたと聞いたぞ。大丈夫なのか。」

「ええ。私は大丈夫ですのでご心配なさらず。」

そういうとユウヤの手をつなぎ「家に。」と呟いた途端にその場から家に戻ったのだった。

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