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新居1

襲撃より一週間ユウヤはどうしたものかと悩んでいた。

当初アンは襲撃者たちの仲間が探しに来るものではないかと警戒をしていたがユウヤがその心配はないと伝えたのだ。

「貴族といえど多種族を奴隷にしに行く為に勇者を使うなど表だって言えないし出来るわけがなく盗賊ギルドにしても冒険者はすべて始末しているのだ。」と。

とはいえ勇者が貸し出されたのは10日間の予定。

勇者もついていながら連絡すらないとなれば大捜索になるだろうし使徒が動きかねない。

「アン様、ここは人の争った跡が残っております。拠点の移動をなさいませんか?」

「そうね。そうしましょう!」

「では早急にお探し致します。」

この屋敷は住みよく気に入っていたし自分のために死んでいった従者への思いもある。

しかし今は慕ってくれている守るべき者達がいる。

行き場がないとはいえ会ったばかりの私の提案を受け入れ一緒に居たいと言っててくれた。

今までは親が用意した従者とともに暮らし満足をしていた。

普通の吸血鬼と見た目が違うアンはどこか疎外感を感じていたのだ。

それが今は違う。みな口々に感謝を述べ私のためにと自分のできることをしてくれている。

一人おかしい眷属がいるが皆大切な存在に感じている皆を守るためなら住む場所などこでもいいのだ。


ユウヤは心当たりのある森に転移すると泉の周りの木を切り倒し整地した。

屋敷に戻りアンのもとに赴く。

「アン様、良い場所が見つかりましたよ。一度ご確認頂けませんか?」

「もう見つかったのね。楽しみ。みんなで行きましょ!」

アンの言葉に頷くとユウヤは部屋を出て行った。

少しして美人な姉リーネと美少女リーラが驚いた顔をして飛び込んできたのだ。

「アン様大変です、外、外を見てください。」

注視してみると外の景色が変わっている気がする。

もともと森の中にあった屋敷だからすぐに気付かなかったがエルフはすぐ気付いたのだろう。

エルフ姉妹とともに外に出るとユウヤが

「屋敷の場所など如何でしょうか?」

と褒めてほしそうにアンを見ていた。

いきなり屋敷ごと移すなんて非常識じゃないの・・・っと思ったが自分のためにしてくれたのだ。

ユウヤはずれていると呆れた顔をしながら「素敵な場所ね。」と答えた。

しかし一緒に出てきた姉エルフは違った。

「規格外とは思っていたけどまさか屋敷ごと転移るなんてありえない・・・」

転移を知る美人は綺麗な顔が驚きすぎて顎が外れそうになっていた。

そもそも転移は転移させるものの重さによって難易度が上がっていく。

大人を一人転移させる力を持っているだけで稀代のエルフと持て囃され重用されるのだから。

「皆の意見も聞かなくっちゃ!」

唖然としている姉エルフを横目に妹エルフと屋敷に戻るとぞろぞろと皆が出てきた。


「綺麗な泉ね。」

いつの間にかすっぽんぽんになろうとしているシーラにアンが気付く。

「ユ、ユウヤこの泉って危険はないのよね?」

俺がついていればアン様に危険などどこでもないと笑顔でうなずいた。

ユウヤを見てもう我慢できないとばかりにシーラは最後の布を脱ぎ捨てダイブした。

いつの間にか足があったはずの場所をヒレに変え美しい人魚に戻っていた。

コレクションにされて以来、狭い水槽に入れられ飼われていたのだ。

泳げないストレスでどうにかなりそうになっていると精神支配をされ人の姿で飾られた。

愛する人に会いたいがために二本足を手に入れ、そして裏切られた心にこの泉は癒しをくれたのだ。

泉を穢すことを許さない主の蛇は人魚が突如現れたことに驚いたが嬉しそうな顔で泳ぐその瞳に涙をみて姿を消したのだった。


ユウヤは思う。

種の尊厳を奪いひどい目にあってきた彼女らは人族ならすでに廃人になっているだろう扱いを受けていた。

人魚にハーピー、猫族やドワーフ、ドリアードにドッペルンゲンガーまで各々自由を満喫している姿は人族ではまねのできない心の強さを感じ関心し守ってやろうと思うのであった。

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