第二百六十一話 俺たちの力
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Side:颯
「兄弟だからな」
バキィッ!!
受け止めていた紫苑の鉄槌を、力任せに弾き返した。
「わお⭐︎」
「……すげぇな」
指先から溢れる霊力を見つめた。
でも、これは俺たちの力だから。
俺だって使いこなしてやる。
俺は拳を握りしめた。
——ずっと。
よくわかんねぇイライラが胸んとこにあった。
柊を困らせてぇわけじゃねぇ。
それでも、自分の気持ちを言葉にできなくて、怒鳴ることしかできなかった。
よく考えりゃ、
お前だっていっぱいいっぱいだったのにな。
また、自分の気持ちばっかぶつけてた。
——『君を信じてる』
お前は、お前なりに答えを出した。
俺は、ちゃんと受け取った。
だから今度は俺の番だ。
血筋とか才能とか、そんなん関係ねぇ。
俺も兄貴を信じる。
『颯、来る!』
紫苑の鉄槌が迫る。
「……っ!」
相変わらず、クソ速ぇ!
上体を反らしながら、一歩後ろへ下がる。
すぐにもう一撃。
だけど——見える。
「オラァ!!」
鉄槌目掛けて足を振り抜いた。
ガキィン!!
「……硬っ……!」
「ひっこめよ雑魚霊⭐︎」
「うるせぇ!!」
『颯!』
足に青白い霊力が集まる。
——柊だ。
鉄槌と靴底の間で、火花が弾けた。
『押し切れ!!』
ググッ……!
紫苑の鉄槌が、わずかに後ろへ沈む。
——いける!
『颯!罠だ!』
「罠!?」
鉄槌から、急に力が抜けた。
「っ!?」
俺はバランスを崩して前へ傾いた。
——さっき柊がやられたやつ!
「クソが!!」
足を地面へ踏み下ろして軸にする。
身体を一気に捻った。
——柊、合わせろ。
「旋霊脚——」
足元から、風が渦巻く。
青白い霊力が、もう片方の脚を螺旋状に包み込む。
「天廻!!」
ドガァッ!!
回し蹴りが、紫苑の脇腹を捉えた。
風が爆ぜ、庭の水が円状に吹き飛ぶ。
「……っ⭐︎」
それでも、紫苑の身体はわずかに浮いただけだった。
風まで乗せてんのに飛ばねぇ……!?
その一瞬の隙を、紫苑は見逃さなかった。
ガシッ!
「なっ!?」
紫苑の左手が俺の足首を掴んでいた。
「捕まえた⭐︎」
「このヤロ……!」
そのまま身体を引かれる。
『颯!!』
視界が反転した。
ダァァンッ!!
背中に衝撃が走る。
「……ってぇ……うっ!」
みぞおちに硬い靴底が食い込んだ。
「だから雑魚は引っ込んでろよ」
「……かっ……」
ぐり、と踏み込まれる。
肺の中の空気が搾り出された。
「柊に代わったら?」
「……っせぇな……!」
ブワァッ!!
突風を巻き起こす。
「わあ⭐︎」
紫苑の足が、わずかに浮いた。
その隙に横へ転がる。
立ち上がろうと顔を上げた瞬間——
紫苑が、俺へ人差し指を向けていた。
その先に、圧縮された霊力が瞬く。
やられる!!
咄嗟に両腕を交差して頭を守った。
「ばーん⭐︎」
ガキィン!!
……!?
腕に、わずかな衝撃。
痛みはある。
だけど、大したことねぇ。
ミスったか!?
いや、紫苑が失敗するわけねぇ!
「柊の力だよ⭐︎」
「は!?」
鉄槌が迫る。
急いで立ち上がった。
やばい、間に合わねぇ!
再び左腕で頭を庇った。
ガキンッ!!
まただ。
硬い何かに鉄槌がぶつかる音。
攻撃が当たってんのに、衝撃が薄い。
——膜みてぇなのに守られてる……!?
『颯!霊力だ!』
「霊力!?」
『受ける瞬間だけ霊力を纏うんだ!』
「んだそれ!?」
「お喋りしてる余裕あんの〜⭐︎?」
ミシ……。
紫苑が鉄槌に力を込めた。
左腕が押される。
「……っ!」
俺は後ろへ飛んで距離をとった。
『旋回の応用だ!僕にもできる!
だから守りは任せて!』
「……マジかよ……!」
『颯は思いっきりやって!!』
理屈はわかんねぇけどよ……!
「——上等だ!!」
俺は地面を蹴った。
やってやるよ。
思いっきり。
紫苑目掛けて、一直線に駆ける。
「正面から来るんだ⭐︎」
拳に力を込める。
青白い霊力が集まっていく。
紫苑が鉄槌を振りかぶった。
「お前が守ってくれるんだろ!?」
『守る!!』
俺は、一歩も引かなかった。
「旋霊拳——!」
拳を前へ突き出した。
霊力が旋回する。
「祓撃!!」
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※次回更新:8月5日21時
第二百六十二話 突破




