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二つの心音――弟が守護霊になって帰ってきた  作者: しょう
聞こえない心音

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261/302

第二百三十八話 御影の血


 ***


 Side:柊


「本来の、僕……?」


「そ⭐︎」


 紫苑さんが落ちた鉄槌を拾い上げた。


「おかしいと思わなかった?

 颯は霊力ゼロの半霊なのに、

 共霊すると柊が異常に強くなる⭐︎」


「……それは……」


「共霊が、封印された柊の霊力を引き出すトリガーになってたんだよ⭐︎」


 紫苑さんは右手で鉄槌を肩に担ぎ、

 左手の指でピストルの形を作る。


「つまり、ほとんどが柊の力だったってわけ⭐︎」


 ——僕の?


「ではここで問題⭐︎

 白瀬柊は、なぜそんなに強いのでしょうか⭐︎?」


 紫苑さんが指ピストルを僕へ向けた。

 

「ヒントは”pur-sang”⭐︎桃華が言ってただろ⭐︎?」


「それって、僕の血筋のこと……?」


『霧島家の血ってことかよ!!』


 僕の中から颯が叫んだ。


「あ、やっぱりそうだったんだ」


 ——しまった……!


 この人には、伝えてない。

 

 僕の実の父親のこと。


「僕の推理は概ね正解だったわけね〜⭐︎

 まあ顔見ればわかるし⭐︎父親の方は簡単⭐︎」


 紫苑さんが頬に人差し指を当てる。


「でもさ、霧島の血ってだけなら」


 ドクン……ドクン……。


 心臓の鼓動が早くなる。


「何でお前らは簡単に共霊できちゃったのかな⭐︎?」

 

「……それは……」


 ——『共霊は、“器としての素質”を持つ人間にしか、できないことなんですよ』


 奏さんの言葉が蘇る。


「霊と契約しない霧島の血は本来、器の才能ないからね⭐︎

 霧島琴子みたいなやつは置いといて⭐︎」


 つまり——。


 それだけじゃ説明がつかない。


 握りしめた拳に、汗が滲んだ。


「だけど御影は代々、共霊を前提にした家系⭐︎

 器としての素質が血に刻まれてる⭐︎」


 ——『御影の血はね、器としての才能なんだ。

 だから、霊を宿して、霊を祓う。これが、御影流』


 病院で、篝くんは僕たちにそう言った。


「普通はそんな簡単にできないんだけどね〜⭐︎」

 

 紫苑さんが篝くんを見る。


「御影家以外は⭐︎」


「……」


「ね⭐︎?篝様?」


 篝くんは答えない。


 紫苑さんは肩をすくめた。


「お前らもそう」


 一歩ずつ、

 紫苑さんが僕へ近づいてくる。


「なーんで誰も教えてないのに初めからできたんだろうね⭐︎?」


 共霊。


 器としての才能。


 pur-sang。


「もうわかったでしょ?」


 紫苑さんは、ずいっと僕の顔を覗き込んだ。


「僕が言いたいこと⭐︎」


 紫色の瞳が、僕を捉える。


「まさか……」


 唇が震えた。


「……御影家の血……?」


「そう⭐︎しかも父親は霧島でしょ⭐︎?

 じゃあ御影なのはどっちかな?」


 紫苑さんが笑った。


「お前の母親、本当は御影なんじゃない?」


『……は?』


 颯の声が強張った。


『何つった?お前』


「そんな……」


 奏さんが小さく呟く。


「……っ……」


 篝くんの息が漏れた。


 篝くんは、

 否定しなかった。


 その横で。

 

 斎賀先生の握り拳が震えていた。


「……っだけど!」


 僕は喉から声を絞り出した。

 

「本家に近い人間は、他流派とは結婚できないんでしょ!?」


「へぇ⭐︎?

 つまり御影側も本家筋ってことか⭐︎」


 紫苑さんがにっこり笑った。


「……あ……」


「霧島と御影が結婚して、最強の子供が産まれました〜⭐︎」


 紫苑さんが戯ける。

 

 だけど。


「そんなの、久世が許すわけないでしょ」


 紫苑さんの笑みが消えた。


「だから、お前は隠されたんだ」


読んでくださってありがとうございます。

※次回更新:7月11日15時

第二百三十九話 守るためだった

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