第二百三十八話 御影の血
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Side:柊
「本来の、僕……?」
「そ⭐︎」
紫苑さんが落ちた鉄槌を拾い上げた。
「おかしいと思わなかった?
颯は霊力ゼロの半霊なのに、
共霊すると柊が異常に強くなる⭐︎」
「……それは……」
「共霊が、封印された柊の霊力を引き出すトリガーになってたんだよ⭐︎」
紫苑さんは右手で鉄槌を肩に担ぎ、
左手の指でピストルの形を作る。
「つまり、ほとんどが柊の力だったってわけ⭐︎」
——僕の?
「ではここで問題⭐︎
白瀬柊は、なぜそんなに強いのでしょうか⭐︎?」
紫苑さんが指ピストルを僕へ向けた。
「ヒントは”pur-sang”⭐︎桃華が言ってただろ⭐︎?」
「それって、僕の血筋のこと……?」
『霧島家の血ってことかよ!!』
僕の中から颯が叫んだ。
「あ、やっぱりそうだったんだ」
——しまった……!
この人には、伝えてない。
僕の実の父親のこと。
「僕の推理は概ね正解だったわけね〜⭐︎
まあ顔見ればわかるし⭐︎父親の方は簡単⭐︎」
紫苑さんが頬に人差し指を当てる。
「でもさ、霧島の血ってだけなら」
ドクン……ドクン……。
心臓の鼓動が早くなる。
「何でお前らは簡単に共霊できちゃったのかな⭐︎?」
「……それは……」
——『共霊は、“器としての素質”を持つ人間にしか、できないことなんですよ』
奏さんの言葉が蘇る。
「霊と契約しない霧島の血は本来、器の才能ないからね⭐︎
霧島琴子みたいなやつは置いといて⭐︎」
つまり——。
それだけじゃ説明がつかない。
握りしめた拳に、汗が滲んだ。
「だけど御影は代々、共霊を前提にした家系⭐︎
器としての素質が血に刻まれてる⭐︎」
——『御影の血はね、器としての才能なんだ。
だから、霊を宿して、霊を祓う。これが、御影流』
病院で、篝くんは僕たちにそう言った。
「普通はそんな簡単にできないんだけどね〜⭐︎」
紫苑さんが篝くんを見る。
「御影家以外は⭐︎」
「……」
「ね⭐︎?篝様?」
篝くんは答えない。
紫苑さんは肩をすくめた。
「お前らもそう」
一歩ずつ、
紫苑さんが僕へ近づいてくる。
「なーんで誰も教えてないのに初めからできたんだろうね⭐︎?」
共霊。
器としての才能。
pur-sang。
「もうわかったでしょ?」
紫苑さんは、ずいっと僕の顔を覗き込んだ。
「僕が言いたいこと⭐︎」
紫色の瞳が、僕を捉える。
「まさか……」
唇が震えた。
「……御影家の血……?」
「そう⭐︎しかも父親は霧島でしょ⭐︎?
じゃあ御影なのはどっちかな?」
紫苑さんが笑った。
「お前の母親、本当は御影なんじゃない?」
『……は?』
颯の声が強張った。
『何つった?お前』
「そんな……」
奏さんが小さく呟く。
「……っ……」
篝くんの息が漏れた。
篝くんは、
否定しなかった。
その横で。
斎賀先生の握り拳が震えていた。
「……っだけど!」
僕は喉から声を絞り出した。
「本家に近い人間は、他流派とは結婚できないんでしょ!?」
「へぇ⭐︎?
つまり御影側も本家筋ってことか⭐︎」
紫苑さんがにっこり笑った。
「……あ……」
「霧島と御影が結婚して、最強の子供が産まれました〜⭐︎」
紫苑さんが戯ける。
だけど。
「そんなの、久世が許すわけないでしょ」
紫苑さんの笑みが消えた。
「だから、お前は隠されたんだ」
読んでくださってありがとうございます。
※次回更新:7月11日15時
第二百三十九話 守るためだった




