第二百三十四話 信用されてねぇみてぇだろうが
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Side:颯
伊吹の霊力が俺に流れた。
柊のものとはまた違う。
だけど、力がみなぎる感じは同じだ。
「今紫苑くんと戦えるのは、君たちしかいないよ!!」
伊吹が叫んだ。
「……んなこと、わかってるよ!!」
「雑魚が敵うわけなくない⭐︎?」
紫苑が鉄槌を肩に乗せた。
「雑魚じゃねぇよ」
伊吹の力を借りても、
紫苑とは圧倒的な霊力差がある。
そんなんはハナからわかってる。
——『頭使いなさいよォ』
弱いからって勝てないわけじゃない。
これまで麗子に散々教わってきたからな……!
「颯!!」
柊が俺を呼んだ。
ちらりと目をやる。
……視線は合わねぇ。
不安そうに眉を寄せる顔だけが見えた。
「危ねぇのは俺じゃなくてお前だろ……!」
だから。
守る。
拳を構えた。
「秒殺だね⭐︎」
紫苑の影が動く。
——来る!
ブンッ!!
鉄槌が振り下ろされる。
「……っ!」
咄嗟に横に飛んだ。
鉄槌を纏う霊力が頬をかすめる。
速っ……。
視界の端に、鉄槌の影。
「うおっ!」
両足で飛び上がる。
下からまた鉄槌。
空中で身体を捻ると、
ギリギリで避けた。
「へぇ⭐︎?」
紫苑が片眉を上げる。
「見えてんの⭐︎?」
「見えてねぇよ」
紫苑の背後へ着地すると——
「勘!!」
背中へ、拳を振るった。
「馬鹿じゃん⭐︎」
スカッ!
「!?」
消えた。
「遅い⭐︎」
左から——
ドゴッ!!
鉄槌が肩に入った。
「ぐっ……!」
吹き飛ばされる。
床に転がった。
痛ぇ……!
でも。
見えなくても避けられた。
勘は通じる。
「颯!?」
柊の声が聞こえた。
心配すんなよ。
「信用されてねぇみてぇだろうが……!」
立ち上がった。
だけど——
輪郭が薄くなってやがる。
たった一発食らっただけだろ……!?
「颯くん!!」
伊吹の声。
暖かい霊力が流れ、輪郭が戻った。
「……死ねないって厄介だよね〜⭐︎」
もう、目前。
「!?」
身体を逸らす。
もう一発来る。
ブンッ!!
しゃがみ込んで避けると、
転がるようにその場を離れた。
「本当に見えてないんだ⭐︎?」
——考えろ。
俺に、できること。
正面からじゃ無理だ。
一瞬でいい。
視界の端で、転がったパイプ椅子が目に入った。
「……風……!」
「雑魚のくせにしぶとくてウザ〜⭐︎」
紫苑が地面を蹴る。
ブワァッ!!
——風。
装飾とパイプ椅子が勢いよく舞い上がり、
紫苑の視界を塞いだ。
「うわ⭐︎」
一瞬。
鉄槌が止まった。
その瞬間——
「うおおおお!!」
左側から突っ込んだ。
拳を振るう。
紫苑の顔面へ。
——スカッ。
「は!?」
「僕に効くわけないだろ⭐︎」
その声は、
もう背後。
「そんな子供騙し⭐︎」
ドガッ!!
背中へ鉄槌がめり込んだ。
「がっ……!?」
肺の空気が抜ける。
身体が宙に浮いた。
そのまま、
壁へ叩きつけられる。
ドガァンッ!!
「……く……っ!」
身体中痛ぇ。
また、霊力が切れる……!
「……クソッ!!」
「食霊法!!」
青白い光が俺へ流れ、
身体に力が戻った。
紫苑が振り返る。
「だから邪魔すんな⭐︎」
紫苑が指を伸ばした。
その先に——伊吹。
「……っ!」
やべぇ!
バシュッ!!
青い光が弾丸みたいに飛んだ。
「あ——」
伊吹が目を見開く。
「伊吹!!」
俺は伊吹の前へ飛び込んだ。
ズバッ!!
光の弾丸が、俺の胸を穿つ。
「……っつ……!!」
——激痛。
視界が白む。
息が吸えねぇ。
身体が透けていく。
「……はぁ……はぁ……」
それでも。
「……残念だな……」
「は⭐︎?」
紫苑が眉をひそめた。
「……俺は」
消えねぇ。
「半霊だからな」
「知ってるけど⭐︎」
「簡単には、終わらねぇよ」
紫苑が嘲笑う。
「ドMなの⭐︎?続けても痛いだけだよ⭐︎?」
「うるせぇ!」
拳を握り締めた。
「おい柊⭐︎」
紫苑が柊を見る。
「お前の弟、ボコボコだけど〜⭐︎?
そこで突っ立ってるだけで良いわけ〜⭐︎?」
「……っ!」
柊は左右を見渡していた。
必死に俺を探してやがる。
……共霊してぇんだよな?
俺だって、お前の力が欲しいよ。
だけど——
「俺もお前の音、聞こえねぇんだよ……!」
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※次回更新:7月8日21時
第二百三十五話 二人で




