表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二つの心音――弟が守護霊になって帰ってきた  作者: しょう
交錯する心音

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
191/270

第百六十八話 やっぱり、光だ


 ***


 Side:柊


 霊害の輪郭が、光に溶け出す。

 

 光の粒が煌めく中、

 光流くんは、ゆっくり立ち上がった。


「……あ……俺……」


「……っ光流!!」


 光知瑠さんが立ち上がり、

 二人は向かい合った。


「……姉ちゃん……」


「光流。これだけは、言わせて」


 降り続いた雨は止み、

 雲の隙間から光が降り注ぐ。


「生まれてきてくれて、ありがとう」


 光知瑠さんの澄んだ声が響いた。


 僕の、

 いや、僕たちの。

 

 深いところへ、

 その言葉が静かに沈んでいく。


「……っ……」


 光流くんの瞳が潤む。


 ……初めて見た。

 光流くんが、子どもみたいに泣くところを。


 ずっと、我慢してたんだね。


「光流……」


 光知瑠さんが、そっと、

 光流くんの頬に手を伸ばした。


 その時――


 ズバッ!


「……え……?」


 光流くんの腹部をナイフが貫いた

 ――ように見えた。


『光流くん!!』


 咄嗟に叫ぶ。


「……なかなか退屈なショーでしたよ」


 聞き覚えのある拍手が、河川敷に響いた。


 ――喝采だった。


「欠伸が出るくらいにね」


 喝采が肩をすくめる。


「全く……

 貴方を取り込んで、何人か道連れにするつもりでしたが、特級の無駄遣いでしたね」


「……あ……」


 光流くんの表情が、崩れ落ちる。


「直接、貴方を狙った方がマシでした」


 ……そんな……!


「光流!!」


「ダメよ!」


 駆け寄ろうとした光知瑠さんの腕を、

 麗子さんが掴んで止めた。


「てめぇ!!」


 颯が地を蹴った、

 その瞬間。


 カラン……!


 ナイフが地面に落ちた。


 ナイフを受けたはずの、

 光流くんの姿が、蜃気楼みたいに揺らぐ。


 いや……

 あれは、光流くんじゃない。


『光流くんの……幻影……!?』


 喝采の背後から――

 青白い光を纏った、足が見えた。


 ズガァァァンッ!!

 

 喝采の身体が吹き飛ぶ。


 聞き慣れた明るい声が、

 青空へ弾けた。


「――お待たせ〜!!」


 無邪気なピースサイン。

 

「お前の技、パクらせて貰ったぞ、凡才⭐︎」


 爽やかな柑橘と、

 海みたいな香りが風に混じる。


「なんてね!紫苑さんの真似〜!!」


 胸の十字架が、きらりと光った。


「朝倉光流、完全復活!!」


 ――戻ってきた。


 太陽みたいに笑う、

 僕たちの光流くんだ。


「光流ゥ〜!!」


 麗子さんが泣きながら叫んだ。


「俺さ〜!

 ゼロから作るタイプじゃないんだよね!」


 光流くんが人差し指を立てる。


「でも、真似するのは得意っぽい⭐︎」


 河川敷の端で、

 赤い霊力が不気味に揺らめいた。

 

「……チャラついた人間は」


 喝采が、ゆらりと立ち上がる。


「嫌いだって、言いましたよね?」


 光流くんの顔つきが、変わる。


「……麗子、行くよ」


「ええ」


 その目にはもう、

 孤独の色はなかった。


「柊!颯!」


 光流くんが僕たちを呼ぶ。


「ありがとな!

 お前らの風で、目ぇ覚めたわ!」


 眩しい笑顔に、僕は目を細めた。


 ――君はやっぱり、光だ。


「さあ!光流の大逆転劇場!

 イッツ⭐︎ショーターイム!!」


 雨上がりの空に、夏の太陽が輝いた。

 

読んでくださってありがとうございます。

※次回更新:5月18日21時

第百六十九話 本物は誰だ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ