351話 - 普通の使徒ってなんぞ
ウルフェンさんがキャシーを連れて戻ってきてくれた。
その他にも沢山人が居た。
冒険者ギルドの職員や、多分恰好を見るに国の警備隊か騎士隊かな?
その人達が髭伯爵一派をみんな捕縛してくれたの。
髭伯爵は皆が辿りついたから消音を切った瞬間、自分は悪くないとか兵のせいだ、と喚いていた。
兵士たちも自分は手出ししていないの一点張り。
命令されて仕方なく着いてきた、とかそんな感じだった。
「す、少し話を宜しいでしょうか……」
一応僕も事情聴取されるのかな?
騎士の人がビクビクしていて可哀想だなぁ……。
『何用だ』
「あ、あの……。事実を確認したく……。伯爵は手出ししていない、と言っていますが……」
『事実だ。今回、私はあの者には手出しされていない。毛皮をくれ、とは言われたがな』
「それは殺すと言われていることと同じでは……」
『人の世界のしきたりなんぞ知らん』
「す、すみませんッ!」
『あぁ、いや、すまない。汝を脅すつもりはない。だが、あの者が言っていることは事実だ。私があやつの立ち振舞いが気に入らないからやった。それだけだ』
髭伯爵はゴミだったけど今回僕はあいつに危害は加えられていない。
だからそれをそのまま話した。
この世界に来て、敵対してくるものには容赦しない、と決めた。
でも、髭伯爵は敵対とは少し毛色が違った。
毛皮を剥いでくれが敵対にはなると思うんだけどね……。
ただ、如何にして毛皮を貰えばいいのかって感情しか伝わってこなかったんだよね……。
必死に話そうとしてたし代金も払うって言ってた。
あいつにとって僕は物品扱いだったんだろう。
そこに敵意も何もなくて当たり前だよね。
万が一これが罪になるのなら裁くなら裁けばいいと思う。
不敬罪とかなんとか、かな?
魔物の僕に適応されるのか知らんけどね。
そうなればもう獣人国には来ないだけの話だ。
「……そんなことになってたのか。すまねぇ、クロの旦那。遅くなった……。俺が時間を引き延ばしてくれって言ったから律儀に約束守ってくれたんだな……。迷惑かけちまった……」
『気にしていない。ウルフェン、この度は助かった』
「状況は把握したわ。クロ様、改めて。私は冒険者ギルドマスターのキャシーオール。以後お見知りおきを」
『あぁ……。好きに呼ぶがいい』
初対面の体裁で行くんだな。
こういう時はキャシーの話に乗っておこう。
(クロムちゃん……。いつもトラブルの渦中にいるのね……)
(なんでか僕が知りたいよッ!僕、何にもしてないのにッ!!)
あ、これじゃ、髭伯爵と言ってる事同じじゃん……。
でも僕、3階層に出向いてみんなの事見守ってただけなのになぁ。
(クロムちゃんはいつも何もしてないわよ……。それくらいわかってるわよ……はぁ……。仕方ないわね……)
ガバッ。ガバッ。ガバッ。
(な、なにッ!?)
え……。
なんで冒険者ギルドの職員さんたちは皆して僕に頭下げたんだ?
(クロムちゃん!ここは私に合わせて!)
(わ、わかったけど……)
「使徒、クロ様……。畏れ多くも、至高なる御前にて、我らが不徳を伏してお詫び申し上げます。我々臣民が己の弱さに負け、お教えに背いたことを深く悔い改めております……」
『え、あ、いや、悪いのはあいつらで……。皆が悪いわけでは……』
(クロムちゃんッ!皆が見てるでしょ!出来るだけ偉そうにお願いね!?)
あ、今見てる人々に見せつけてるってことか……。
やだなぁ……。
そしてなんでキャシーやギルドの人が謝るんだよ……。
『う、うむ……。苦しゅうない……?』
「どうか、海より深い慈悲をもって、この愚かなる臣民に再起の機会を……」
『わ、わかった……。今回限りだぞ……』
(これでいいの……?)
(全く威厳がないわね……)
(そんなこと言われてもねッ!?)
・
・
・
『キャシーが頭下げることなんてなかったのに……』
「私しか下げられる頭がなかったんですもの!」
「あっはっは!傑作だな!よくやったぞクロム殿、キャシー!」
「なにがおかしいのよッ!全く……。ペンドルトン会長も話し辛かったけどベル会長はムカつくわ……」
うん。
激しく同意。
こいつムカつく。
ただ、キャシーもベルと話しやすくなってきてるみたいだね。
それは良かったところだな。
『ベル、今日お酒はそれでおしまい。おかわり抜きだからな』
「何故だっ!?」
「いい気味ね、うふふっ♪……でもクロムちゃんもよ?せめて会長かガウルちゃんがいる時にして欲しいわね……。私ばっかり貧乏くじ引いている気がするわ?」ゴクゴク……。プハッ。
『ごめん……。でもあんなことになると思ってないんだもん……。途中まですごくいい関係築けてたのになぁ……』
「すまねぇキャシー……。俺も今、外出てる体だからよ……」
「わかってるわよ。ただの愚痴よ。クロムちゃん、おかわり貰える?」
夜になり王様と家族一同は帰ってきた。
僕はあれから家に帰った。
そして皆の進捗を聞きながら普通に晩御飯を取った。
今日皆は王様の依頼で開発予定地の荒野で土地開発をしていたって話。
クラムがブワッと……は余りにも不自然だからしなくていいみたい。
王様が言ったところに魔法で水路を掘ったり少し豊穣を掛けて農作物が育つようにしてたり実験したりしたんだって。
王様は僕等と知り合いになっても僕等の力をフルで使おうとしない所がいいよね。
最低限の手助けだけしてほしい、って感じだ。
クラムは気楽で楽しかったらしい。
ほぼ遊んでたらしいね。
人が苦手なおばあちゃんも寛げた。
エステルとクラマは周囲の魔物を狩ってたみたいだね。
特に事故もなく平和な1日だったみたいだ。
今後も王様の依頼は率先して受けよっと。
僕とは大違いだ……。くぅ……。
そして今は22時くらいだ。
クラムとクラマは寝てからの飲み会だ。
ちょっと刺激が強い話だからね。
ってかそれよりお子には是非内緒にしておいて欲しい……。
クラマとクラムが仕返しに行ったらたまらん……。
「話は伺いましたが、クラムちゃんやクラマくんじゃなくても私だって許せませんッ!クロムさんの毛皮は私のものですッ!」
「エステル……怒り方を間違っておるのじゃ……」
「あ……。クロムさんは私のものですッ!」
『…………あ、ありがと?』
今は王様とベル、キャシーとスチュワードさん。
僕とエステルとおばあちゃんで会話中。
皆わざわざ時間を空けて来てくれた感じだね。
久々に大勢揃ったのにまさかこんな話をしなけりゃいけないとは……。
『王様も呼び出してごめんね?ご夫婦の時間を奪っちゃって申し訳ないよ……』
「俺にまで遠慮すんなよ。そもそもこの時間はクロムから貰ったもんだ。リトはエルノアさんと楽しく喋ってるから気にすんな」
『あ、そっか。今は孤児院でお世話になってるんだったね』
「そういうこった。それに大事だ。俺に気を遣うな。俺はお前らと飲み会だ!な?」
『うん、ありがと。で、結局僕にはお咎めはないの?』
「あるわけないでしょ?クロムちゃん何もしてないじゃない」
この世界の人は地球……いや日本とは違った倫理感で動いている。
だとは言ってもやっぱしっくり飲み込めないんだよなぁ。
罰則があるなら出来る限りちゃんと受けるよ……。
『いや、何もしてなくはないよ……。結局手足切り飛ばしたんだけどね……』
「自業自得だろう。ダンジョンに入るものは魔物に襲われても自己責任だと法で決まっている」
『まぁそりゃそうだけどさ……。特にあの髭伯爵には全く手出しされてないよ?』
「状況は把握してるわよ。周りに居た野次馬に一部始終聞いたもの。むしろクロムちゃんは優しい使徒様だって言われてたわよ?ざまぁみろって言ってる人も居たわ?」
えぇ……あれで?
我ながら結構怖かったと思うけどね……。
ってことは、野次馬の皆も胸糞悪い気分にはなってたんだろうなぁ。
今日も今日とて辺りは人でごった返してたよ……。
「あぁ、クロム殿は優しすぎるぞ。それに、だ。直接手を出されたことの有無など関係ない。そもそも冒険者協会はクロム殿と全面協力をすると声明を上げているのだからな」
「あぁ。俺が承認した。むしろ俺も獣人国として連名したぞ。書類もあるさ」
『あ、そうなん?』
「当たり前だろう。冒険者協会、獣人国を挙げてクロム殿の活動を支援しているのだ」
国として承認出したんだ……。
冒険者協会として協力するってベルが言ってたのは知ってたけどそんなことになってるとは……。
ベルは細かい事言ってこないからなぁ。
『だとしたらどうなんの?』
「要するに大逆罪だ。クロムの前の世界にもあるか?」
『あ、内乱罪とか国家反逆罪、みたいな感じだよね。あるある』
小市民に1番関係ない犯罪のケースだな……。
ニュースでもみたことないよ……。
『じゃ、あいつらどうなんの?』
「国としては関わったもの全て死刑だ。例外もない。罪としてはクルードの件より重いな」
「うわ、マジか……。僕としてはクルードの方がイライラしたんだけどねぇ……」
殺しはしなかったのに結局死刑か……。
ってことはこれでも僕は甘いくらいなんだなぁ……。
僕が許してあげてよ、とか言うのも違うと思うし、これはもう国に任せよう。
「クロムが普通の使徒様なら国を消されててもおかしくない所だぞ……」
『普通の使徒ってなんだよ……』
「民が想像している使徒様だな?」
『僕ってそんな怖い存在なの……?』
「いえいえ。同じことをガウル王にしても関係者は皆処刑です。殺害予告と同義ですよ?他国の王や貴族なら戦争です。当然の事です」
『あ……。そりゃそうか……』
スチュワードさんが言うなら間違いないだろうね。
法律や裏事情には詳しいだろうしな。
ってか冷静に考えるとそりゃそうだ。
他国の王様に皮を剥いで売ってくれなんて言ったら戦争だよねぇ。
「何故クロム殿にはそれが当てはまらんのだ?クロム殿は使徒だろう?」
「どう考えても俺より立場は上だけどな……」
『成り行きなの!ソフィア様の手伝いしてるだけだもん……』
「だからそれが使徒様でしょーに……」
いや、まぁそうなんだけどさ……。
友達の手伝いしてたら神の使徒扱いなんてさ?
しっくりくる時なんて今後も絶対訪れないって……。
「まぁ、クロムが使徒だなんて嘘だ、と思ってたんじゃないか?この世界のやつが神の使徒って知ってて手出しすることなんて絶対ねぇぞ」
『それはそうだね。終始私兵に小馬鹿にされてた感じはした。髭伯爵に関しては僕の事物扱いだったしね』
「冷静に話すのもいいが、クロム殿はもう少し怒るべきだぞ?」
『ベルの真似してたのにベルからダメ出しを喰らうの!?』
「それは場や立場によるだろう……」
『だって別にイラつかないんだもん……。魔物の僕が人に毛皮欲しいって言われてもそりゃそうかって思うくらいだしもう割り切っちゃってるんだよねぇ。敵だと思うことはあっても怒りには直結しないんだよなぁ……』
「では、私が代わりに怒ります!私を連れて行ってくださいッ!」
『ダメだってエステル……。僕等の関係はバレない方がいいって……』
「むむむ……」
まぁ、とりあえず僕にお咎めはないってことか……。
それはどっちでもいいんだけど、トラブルに巻き込まれた時にどうすればいいのかわかんないよ……。
でも今回、僕は直ぐにウルフェンさんに頼んでキャシーを呼んできてもらった。
これはベストだったみたい。
キャシーもそれでいいって言ってくれたんだ。
この世界の事未だによくわかんないし僕が僕の思う通りに対処しちゃったら絶対問題になるもん。
頼れる部分は頼っていくんだ!
勿論ウルフェンさんにも謝罪したよ?
あ、謝罪で思い出した!
『ねぇキャシー。あの謝罪なに?すっごく仰々しかったけど……。人々が……とか、海のような寛大な……とか……。我々臣民を……とか……』
「クロムちゃんをちゃんと神の使徒扱いするとあれが妥当なのよ」
「あぁ。人を滅ぼさないでくれ、という謝罪だな」
『滅ぼさないよ!どこの魔王だよッ!』
「世界は神の手中にあるんだぞ。魔王より恐怖だ」
『えぇ……』
いつの間に魔王ルートに片足突っ込んでたんだよ……。
神の使徒でも同じことになるのか……うぅ……。
「それどころじゃねぇ。今回事を起こしたのが国の伯爵だ。国家としてクロムに楯突くと思われてもおかしくねぇ。だから国から公式に謝罪を入れなけりゃならねぇんだ。悪りぃが付き合ってくれ」
国から使いを出して書文を僕に届けるらしい。
それに返答をくれればいいとのことだった。
内容は、伯爵は処分した。
国としての総意ではない。
今後も僕と協力関係を結びたいから許して欲しい、ってやつだね。
『めんどくさいんだけど……』
「俺もめんどくせぇよ……。いや、俺はめんどくせぇって言っちゃダメだな。本来俺がダンジョンへ足を運んで直々に謝罪をするべきところだ」
『来なくていいって!絶対騒ぎになるじゃん!』
「とりあえず俺の近衛兵を送る。クロムが謝罪は要らない、とか余計な手間を増やすな、とか適当にあしらってくれ。それで事が運ぶようにこっちでやっとくさ」
『それなら……。わかったよ……。はぁ……』
でもなぁ……。
せっかく良かれと思ってダンジョンの様子見に行ったのにさ?
なんで動けば動く程悪い結果になるんだろうか……。
「まぁ悪いことばっかでもねぇさ。これで伯爵席が空いた。オグルを叙爵する事も簡単になったんだ」
『そっか……。それなら何よりだよ。でも、僕やっぱり引きこもってたほうがいいんじゃないかなぁ……。外出る度にトラブってる気がするんだけど……』
「いや、こんな事を言うのはなんだがクロムが動くたびに国の膿が吐き出されている始末だ。正直俺にとっちゃありがたいな」
『僕を当て馬に使うなってのッ!』
「厄介事は気軽に私にも報告してください。こちらで動けそうなことは動きます」
『スチュワードさん……ありがと……』
「私達皆で冒険者依頼をこなすのは辞めてクロムさん当番を作るほうがいいのではないでしょうか?私も心配ですよ……」
「そうじゃの。階層では一緒に行動は出来んじゃろうが家で見守っておくだけでも随分違うじゃろ」
『なんで僕は仕事しようとしたのに家族に世話かけてるんだろうか……』
でもね?
今日訓練してあげた人の過半数はすごく感謝してくれたんだよ?
帰る時に、また見て欲しい、とか、怪我を治してくれてありがとうとかいっぱい冒険者さんに言われたもん……。
これに凝りずにまた来てくれると嬉しいってウルフェンさんからも言われたし……。
うーん……。
「まぁ結果は良好だと言う事だ。気にするな。今後もクロム殿は出来る限り冒険者の所に出向いて交流を続けてくれ」
『ベルが言うと嫌な予感しかしないけどな……』
「そんなことより酒のおかわりを……」
・
・
・
(今日は特にトラブルないね?変な冒険者も貴族も居ないから楽だなぁ~)
(そうそうあんなトラブルあってたまるかってんだ……。クロの旦那が注目され過ぎなんだよ)
(そんなこといわれてもねッ!?)
今日も今日とてダンジョン活動。
僕は3階層で冒険者の様子見だ。
皆は王様の所に行っている。
家からクロム当番になったエステルが見てるけどね……。
(……あ、いや、訂正。また変な奴が入ってきたよ……)
(神眼ってやつか?マジかよ……。毎回なんかあるな……)
(ウルフェンさんすまん……)
3階層に仰々しい集団が入ってきてから10分後……。
すんげーぴかぴかの鎧来た集団だなぁ……。
サッ。サッ。サッ。サッ。サッ。サッ。
「敬礼っ!」
えぇ……。
びしっと礼をした後に跪かれた……。
なんで跪くの……。
ここダンジョンだよ?
目立つからやめて欲しいんだけど……。
『…………立ってくれぬか。目立って仕方ないのだが……』
「失礼致しましたッ!使徒様へ王から書状を預かっております!」ビシッ!
あ、前に聞いてたあれか……。
謝罪しないとダメだからって言ってたもんね。
トラブルじゃなくてよかった……。
「貸してみな?俺はウルフェン。使徒様担当のギルド職員だ。俺が読み上げてやる。いいか?」
「然様でしたか!では、お願い致します!」ビシッ!
ウルフェンさんはいつ僕の担当になったんだろうか……。
でも変な人が寄り付かなくて済むから本当に助かってるよ。
で、ウルフェンさんが噛み砕きながら書状を読み上げてくれた。
まぁ内容は王様が事前に言ってくれてたものと同じだね。
獣人国は僕と協力したい。
この度の事は国とは関係ない。
伯爵は処分したので許してほしい。
って事が長々と正式な文章で書かれてる感じらしいね。
あとは髭伯爵の詳細についての報告が書いてあったみたい。
あの髭伯爵、確かに悪巧みをするようなやつではないらしいんだ。
ただ、家宅捜索をしたところ法律に接触する物品の数々……。
いろいろおぞましい物まで出て来たらしいよ……。
僕の件が無くてもどっちみち処刑だったってさ。
(だってよ旦那……)
(いや、もうほんとに……見たまんまって言うか……)
(だよなぁ……。はぁ……)
「じゃ、手紙は返すぞ」
「ハイッ!では、我々はこれにて失礼します。書面はまた……」
『我に書面を認めろ、と?』
「あ、いえ……。そういうわけでは……」
いや、そんなにビビらないでよ……。
普通に話しただけでビビられちゃうんだよなぁ。
そう考えると髭伯爵は凄かったんだろうな。
『獣人国の王に伝えろ。我は存外獣人国を気に入っている。必要以上に我に干渉するな。それが守れるなら人々に被害は与えぬ。互いに利のある関係を求む、とな』
「確かに承りましたッ!」
よし、これで問題ないよね?
王様的にも深く関わらないって体裁を保つほうが楽だってことだったし……。
あ、そうだ!
『合わせて、我に手出ししてきたものには容赦しない、と伝えておけ。貴族でも容赦せぬぞ。我には関係の無い事だ』
「ガウル王からもそのようにッ!使徒様に無礼な事をした輩は使徒様のご自由に、とのことです!」
よしよし。
これで貴族関連の厄介ごとがあっても気を遣わなくていいね。
もう許可とったもん。
一般人と同じ扱いするからね!
『うむ。わかった。では去れ。冒険者の訓練の邪魔だ。……あと余り目立つな。次何かあれば来るときは代表だけで構わぬ……。その鎧もやめろ。冒険者と同じ格好でよい。我は目立つのは好かぬのだ』
「畏まりましたッ!では、クロ様に敬礼ッ!」
『………………』
いや、だからそれが目立つんだって……。
国の兵だししゃあないのは分かるんだけども……。
今日も今日とて野次馬が100人くらい見てるって……。
そして偉そうにしてごめんね。
お仕事お疲れ様です……。
はぁ……。疲れた。
ってかさ?
今回フェンリルになって初めて使徒ムーブしてみたんだ。
ベルに力を見せることも大切って言われたこともあるしね?
でも、僕にはやっぱ向いてないよ……。
僕は一般人が性に合ってるもん。
疲れて仕方ないなぁ……。
次、違う生物になることがあれば使徒ムーブは絶対に辞めよう。




