閑話休題!冥界サッカー!(練習編 その3
お疲れ様でございます
なんか連続で台風が来てるみたいで、雨ばっかりです
ちょっと買い物に出たいんですが、止めて貰えませんでしょうか?
買い物に行くフリ ―――
と見せかけて待っていると数分後、やっぱり降って来た
ウン…
そのパターン、いつものヤツなので警戒してるんです
何かもっと、新しいのは無いんでしょうか
などと天気を煽りつつ、実際は買い物に行けなかった男 ―――
さておき、本日のキララ、どうぞ
秘密兵器、ベルサリオ ―――
サッカー1試合どころか、1日中でもトップスピードで走り続けられる男 ―――
Aチームキャプテンのポチは、遂にこの男を前に出した
だがしかし問題点が一つある
サッカーの経験がゼロであり、ボールを蹴った事が無い
走るのは速いが、ボールのコントロールが下手くそなのである
「アスモデウス様にボールを蹴らせなければ良いんだな?」
「ウン。ボールがゴールに入ると思ったら止めてくれ」
「手を使わなければ良いんだよな?」
「ウン。でも相手選手への攻撃はナシだ」
「分かった」
DFにいたベルサリオが上がり、FWに着いた ―――
彼の仕事は、アスモデウスへの徹底的なマークである
ピィイイイイイイイイイッ!! ―――
審判バゲンの笛で、Aチームボールから試合は再開された
チョンとボールを蹴って渡されたサリーナだが、向き合ってみるとBチームFW4人の圧が半端ない ―――
このままではボールを奪られると判断したサリーナは、左後方の疾風へとパスを出した
早速目の前に駆け込んできてプレスをかけ始めるアキラ
疾風に構って欲しいのである
「…」
つま先でボールを背後に浮かせた疾風は、前を向いたまま背面蹴りでパスを出した
塩対応である
「よし!もう1点だ!行くぞ!!」
パスを受け、一斉に上がり出すポチ達 ―――
ボールを奪いに行ったアスモデウスは、ベルサリオの背筋ガードによって進路を阻まれた
どう動いても執拗に立ち塞がるベルサリオの動きに、アスモデウスの動きは封じられてしまった
その間隙を突き、ドリブルで上がって行くポチ ―――
前には既にフィッツとサリーナが駆け込んでおり、後は目の前のシグナスを抜いて前にパスを出せばゴール圏内である
ボールと共に、左右に素早くフェイントを入れるポチ
抜かせまいと、その動きに着いて来るシグナス
だがこうしてやると脚が左右に大きく開くのである
ジャストのタイミングでポチは、股の間から前へのパスを通した
「しゃあっ!!」
絶妙なパスを受けてゴールへと駆け込むフィッツ ―――
大きく右から回り込もうとしているサリーナに対し、ダリがパスコースを塞いでいる
目の前にいるのはDFのアムストラウス、その左後方にイシュヴァルド、当然選択肢は右だが、一瞬左にフェイントを入れるフィッツ
同じく左に来たアムストラウスに対し、クルリと回りつつ腕を伸ばしてアムストラウスを押し退け、GKローザと1対1になったその時だった ―――
ズガァアアアアアアアアアアアアアアン!!!
アムストラウス、自爆魔法発動 ―――
黒コゲになって飛んでいったフィッツは、ズシャッ!と遠くに落ちて燃え始めた ―――
「救護班ーーー!!はやーーーく!!」
試合は一時中断、速攻で来たアキラの蘇生の杖によって、フィッツは事無きを得た
フィールドの外の土がモコッ、と盛り上がり、復活するアムストラウス
ピィイイイイイイイイイッ!!
審判バゲン、レッドカードを上げてアムストラウスの退場を宣言 ―――
試合中のテロは反則である
ちなみに試合中でなくてもアウト寄りのアウトである
「ウーン、ダメなのかぁ…」
「いや、逆になんで良いって思ったんですか?」
現在、審判にアムストラウスがやんわりと詰められている ―――
その間に回復し、なんとか意識を取り戻したフィッツ
ただしその心には、アムストラウスに対する恐怖というトラウマが刻み込まれた
数分後、アキラが爆心地をならして線を引き直し、Aチーム11人対Bチーム10人で試合は再開された
気を取り直していこうと思ったポチだったが、既にチームの数名が死にたくないと思って腰が引けてしまっている
結局、アバンテのシュートがゴールを貫き、試合はAチーム:Bチーム、1-2で終わった
審判バゲンの、試合終了の笛が鳴る ―――
「ハッハッハッ、ナイスシュートでしたぞ、アスモデウス殿」
「いやいや、お主こそ見事じゃった、アバンテ殿」
互いの肩を抱き、勝利を喜び合うアスモデウスとアバンテ ―――
ちなみにアバンテの殺人シュートはGKのエドガルドごとゴールに叩き込んでいる
やっと終わったか…
こんなもん二度とごめんだ…
サッカー初体験だったメンバーは、危険なスポーツであるという間違った知識を身につけた ―――
「お疲れ、みんな。今日の昼は流しそうめんだ。みんなで食おうと思ってこんな物を作っておいた」
孟宗竹を切り出し、太い部分の8mほどを切り出して半分に割った竹桶 ―――
これに軽い傾斜をつけて4段に継ぎ、最後にザルに落ちたそうめんは再び戻されるというシステムである
水は氷の入った50Lのタンクから電池式ポンプ3台で汲み上げ、落ち切ったらまたタンクに戻るようになっている
アキラが自宅に戻ってそうめんを茹でては氷水で締めている間、ザムダとローザはお椀に麺つゆと白出汁、生姜、刻みネギを入れ、みんなに配っていた
「じゃあいくぞー?」
氷水とそうめんのボウルに手を突っ込み、声をかけるアキラ ―――
大体恐らくアスモデウスとアバンテがごっそり持っていくだろうな、と踏んでいたアキラは、ほぐしながら結構な量を流し始めた ―――
やっぱりというか、アスモデウスとアバンテは箸とフォークでダムを作り、最初に流したそうめんのほとんどをかっ攫った
それに負けず、次々と大量のそうめんを流していくアキラ
次第に下流にもそうめんが流れ始める ―――
「わぁ…」
ちょっと暑い日に走り回った後の冷たいそうめんは、正直美味かった ―――
みんなお腹一杯食べて満足した後に帰り、アキラが片づけを始めたところでキュレーネ達が帰って来た
「あれ、みんなもうお昼食べちゃったんですか?」
その辺のテーブルにあったお椀や箸を見たキュレーネは、迅速に気がついた
キュイちゃんから下りたベルタは、流しそうめんマシンを見上げてわくわくし始めた
「ああもう、しょうがないな…もう1回やるか」
ちょっとお昼を過ぎてしまったグラウンドで、ローザやザムダ、キュレーネに囲まれながらキャッキャと流しそうめんを楽しむベルタを眺めながら、アキラの一日は過ぎていった ―――
後日譚・ワオンとコリーヌ ―――
どうしよう…
オス犬の機嫌なんて、どうやって取ったら良いのか分からない…
実は先日の炭火焼きチキンでワオンのスイッチはお断りからOK了解に切り替わっているのですが、ワオンはそれを表に出しません
コリーヌが泣きっ面寸前までいったら、優しく抱き締めてそのままオマンを頂くつもりです
こそっと鼻先で触る代わりに、ちょっとだけスピー、と鳴くコリーヌ ―――
ウッ…
これは寂しいという合図ですが、その動揺を見事に隠したワオンの寝たフリは続きます




