侵略!アルバン独裁王国!その21
お疲れ様でございます
なんかワールドカップの話題とか耳にしたんですが、唐突に閑話休題でサッカー回を書きたくなってしまいました
野球回の方は、登場人物がもう2チームくらいは余裕なので3回くらいかけてじっくり書くつもりです
そのまま野球小説になってしまったらすみません
さておき、本日のキララ、どうぞ
アストリア軍を発見すると、城外にいたエスタミル軍は道を開け始めた ―――
「エスタミルのユステールと申します!どなたか代表の方は!?」
出て来たエスタミルの外務大臣を大将エドガルドに引き会わせると、事情の説明を受けたユステールは速攻で女王ザビーネの所へと案内した
「お久しぶりです、エドガルド王子…いえ、挨拶などしている場合ではなさそうですね。すぐに全ての兵をこの城に入れて下さい。この城であれば、しばらくは持ち堪えられるでしょう」
「お久しぶりです、ザビーネ女王…兵ばかりか城まで…この恩義、アストリアのエドガルドが忘れる事はありません…」
エドガルドとザビーネの謁見が終わると、疲れ果てていたアストリア軍は続々と城の中に入って行った
城門はガシャーン!と閉じられ、この先は誰が来てもお断りモードである
「…左様でしたか…差し当たっては皆様、お休みになられて下さい。それからこの先の事について、共に考えましょう」
「そうさせて頂きたいところだが、今追って来ているのはとんでもない軍勢なのだ。寝ている時間などあったものかどうか…」
「ご心配なく。この城が攻められる事はありません」
ザビーネに手招きされたエドガルドが着いて行って外を見てみると、ザビーネの命令で城を丸ごと囲む炎の壁の魔法が発動された ―――
「オオ…これは?」
「炎の壁です。このまま3日は燃え続けます。あなた方が休み、次の手を考える時間くらいは稼いでくれる事でしょう」
どうやら、助かったらしい…
もう一度ザビーネ女王にお礼を言って部屋に通されたエドガルド達は、料理人アキラ自慢のビーフシチューと開店後30分で売り切れる人気のホテルブレッドでお腹を満たし、お風呂に入って部屋に戻るとバターン!とベッドに突っ伏した
死ぬほど疲れていたのである
他の兵達も食事と寝床を与えられ、救いの神エスタミルに感謝を捧げた ―――
この炎の壁の中であれば、もう追っ手が迫って来る事もない
この数日間で限界なんてとっくに越えていた兵士達は、安心して力尽きるように寝床にうずくまっていった
「お手をどうぞ、ザビーネ女王」
「あら、貴方にお出迎え頂けるなんて…嬉しいわ…」
ゴリオスに迎えられ、ザビーネを始めとするエスタミル城内の者達はゲートを潜ってアルバン城塞へと逃れた ―――
お城にいたコックさんは実はアキラであり、この為に潜入していた
こうしてアストリア全軍はエスタミル城にて炎の壁に閉じ込められ、身動きも連絡も取れなくなった ―――
「モシモシ純平か?こっちは一丁上がりだ」
「どうもアキラさん。じゃあゴリオスさんに後はお願いしますって伝えといて下さい。俺達は帰りますんで」
「OK了解」
カザロフ兵団、任務を終えてこれから帰投 ―――
その事をゴリオスに伝えると、ゴリオスはアストリアに向けてアルバン・ファシリオン全軍の出撃を命じた ―――
「さて、私は行って来なければ。ザビーネ様はどうぞ、この城でごゆるりと。貴女の近辺警護にはアキラを付けます。貴女のご無事はお約束致します」
「ありがとう、ゴリオス様…ではご無事で、いってらっしゃいませ」
扉を開けたところで振り返り、胸に手を当てて恭しく一礼するゴリオス ―――
それからダリと何か話しながら、スタスタと足早に出陣しに行ってしまった
「ところでアキラさん、貴方ってどんな方なの?」
「ン?別に普通だが」
全然普通じゃない ―――
「お顔を見せて…」
言われてアキラがサングラスを外すと、アキラと目を合わせたザビーネはまず目を見張り、次第に顔をほころばせていった ―――
「…こんなに優しい人なんて、初めて見たわ…貴方に愛される方は、どれ程幸せなことでしょう…」
「え?いや…そうなの?」
それからザビーネとアキラはお茶しながら、お互いの話などしつつ時を過ごした ―――
「報告!アストリアの城門は閉ざされている模様です!」
「報告!カルナックとナイジャンが合流するそうです!」
「分かった…下がれ…」
「「ハッ!」」
現在、連合軍の総大将としてアストリアに向かっているゴリオス ―――
炎の壁の外にいたエスタミル軍、城内に居たファシリオン軍に加えて、カルナック・ナイジャン軍も来るそうである
敵兵は全部エスタミル城の中で足止めされており、そんなに兵は要らないと思ったゴリオスだが、ちゃんと参戦しました、という形を作っておく為には必要なのだろう、と納得した
まだアストリア軍からの伝令は、アストリア本国には来ていない
そもそもフィッツ達が大概射ってしまったし、今は炎の壁の中にいて外に出られないし、状況も知らない
アストリア国王ウルブリヒトは、地図を眺めながらどこの国から何が手に入るかを考え、ゴリオスにどう責任を取らせるかを考え続けている ―――
後日譚・早風とゾル ―――
「ハァ…ハァ…流石にもう観念しろ、早風…」
貨物列車に飛び乗った早風を追って飛び乗ったゾルは、列車の屋根の上でとうとう早風を追い詰めました
「ハァ…ハァ…名前を教えてくれないか?…ずっと知りたかった…」
「…俺の名前はゾル…甲賀の里に雇われた…お前を始末するのが俺の仕事だ…」
列車が滝にまたがる陸橋に差し掛かろうとしたその時、チラッと後ろを見た早風はフッと笑いました
「…お前の仕事もここまでだ…こんなに燃えた勝負なんて、今まで無かった…さらばだ…」
言うなりバッと振り返り、滝壺へと飛び込む早風 ―――
「アッ!!」
列車はそのまま滝壺を覗き込んだゾルを乗せて過ぎ去り、ゾルは里に早風消息不明、と報告しました




