侵略!アルバン独裁王国!その18
お疲れ様でございます
歯医者さんが嫌いな方って、いますでしょうか?
ええ、私もなんです
「ハイ、痛かったら手を挙げてくださいねー」
チュイーーーーーン…
「アガガガガ…」
手を挙げて止めるよう主張します
「ハイ、ちょっと我慢してくださいねー」
おい、お前…
手を挙げさせた意味って何だ?…
さておき、本日のキララ、どうぞ
「フム、なるほどな…」
一つの起点から、複数の中継点へ ―――
それが広がっていき、どこにいても離れた全ての軍に情報が共有されてゆく
上空からアストリア軍の動きを偵察していたエルリス達の報告を受け、現在アルバンではその対策が練られているところである
「ウーン…一度情報が拡散してしまえば、止めるのはもう難しいでしょうね。伝令の一人や二人くらいなら何とかなりそうですが…」
こちらはファシリオン軍団長、ダントン ―――
「2万ずつで5つの軍ですか…カルナック、ナイジャン、エスタミルを同時に攻め、残り2つは予備の遊軍、といったところでしょうか」
こちらはアルバン軍団長、ゲオルグ ―――
何も答えず、煙草をふかしながら地形図とアストリア軍の現在位置を見つめ続けているゴリオス ―――
「…こっちの読みに気付いたか…作戦は全部練り直しだ。差し当たり城攻めは無い。その気なら攻城兵器を並べて軍をまとめている筈だ。狙いはカルナックか。2つの軍でカルナックとナイジャンを落とし、1つはエスタミルを足止め、残り2つの軍は城塞からこっちが出ようとしたら止める、ってところだろう」
コン、コン…
「入れ」
「失礼します。ゴリオス様、出陣の準備が整いました。いつでも出れます」
「良し、出陣だ。ファシリオン全軍、夜が明ける前には城の南北の地下通路から出て目の前のアストリア軍の裏に回れ。十中八九気付かれるだろうが、アストリアの陣形は崩れる。アルバン全軍は頃合いを見て正面から打って出ろ」
「「ハッ!」」
こうしてアルバンとアストリアの戦いは始まった ―――
現在、将軍マンフレート、将軍カシアスの軍が、まずはカルナック城を陥落とさんと南下しているところである
カルナックのガストン、ナイジャンのポルシウスは夜を徹して軍備を進め、徹底抗戦の構えである
「よし、作業はもうここまでだ。兵達を一旦戻らせて、食事を与えて少し休ませてくれ」
「ハッ!」
城壁から投げ落とす為の石を集めるのが少し間に合わなかったが、もうすぐアストリア軍が来る
アストリア4万、カルナック&ナイジャン約5万
数の上ではこちらが有利、加えてこちらは城で守りに入っている
ガストンとポルシウスは、少なくとも負けは無いと思っていた
夜が明けて、朝 ―――
北のエスタミルへ向かった筈の将軍ザブロックの軍は、カルナックに現れた
アルバン城塞の前にいた大将エドガルドと将軍ロルフの軍も、カルナックに現れた
篝火だけを宿営地に残し、夜の間に移動していたのである
「さて、今頃ゴリオスはどんな顔をしているでしょうな?」
「フフ…まだ知らずに寝ているのでは?面白い顔になるのは間違いないかと」
二人が捻り出した策は、見事にはまった ―――
ちなみに軍師オルゲンと軍師バルダザールは、オルちゃんバルちゃんと呼び合う仲良しである
軍を分け、情報の伝達の訓練をしていたのは囮に切り替えた
最初っから本当の狙いは、まずこのカルナックとナイジャンだった
総勢10万を以って一気に両国を陥落とし、すぐさまアルバンへと引き返す ―――
南からの心配が無くなり、アルバンが城塞から出て来ないのであればエスタミルを陥落とす事など容易い
その後ゆっくり城を囲むつもりである
「「なん…だと…?」」
10万の兵とアストリア軍大将旗を見たガストンとポルシウスは、真っ青になって固まった
見事に虚を突かれた形となり、慌てて対策を考え始める二人
結局出て来た答えは、頑張るしかない、の一つだった
ちなみに相手の策にはまった場合、頑張ってもダメなパターンの方が多い
「…ゴリオス様に伝令を…アストリア軍はいません…」
どこにもいないので、しばらく付近を捜索してみたファシリオン軍だったが、やっぱりいなかった
ハーピー達がいればすぐに伝わったのだが、戦争には参加しないという約束なので開戦前に帰ってしまっている
伝令がそれをゴリオスに伝えた頃には、とっくにカルナック攻城戦は始まっていた ―――
「もっと矢を持って来い!!後先の事なんて考えるな!!撃てるだけ撃て!!」
必死で指揮を執るガストン ―――
「「ワァアアアアアアアアアアアアアアア!!」」
アストリア軍の攻勢は苛烈を極め、そこかしこからアストリア兵が城壁を登って来ている
城門は十数人がかりで抱えられた巨大な杭でゴスゴスと突かれており、変形し始めている
いかん…
このままだとあと小一時間くらいでカルナックは陥落ちる…
圧倒的、絶望 ―――
分かってしまったガストンとポルシウスは、僕達もう終わったんだね、と覚悟を決め始めた
ガストン ―――
せめて最期に、愛猫のささみちゃんを抱いてゴロゴロいわせたかった…
覚悟はもう決まったが、これのみが唯一の後悔である
ポルシウス ―――
ウン…
家族はもう遠くに逃がしたし、大丈夫だろう
ダブラ…元気でな…
お父さん、ここまでらしい…
同じく覚悟を決め、娘の顔を思い出している
ちなみに嫁のダブリアは鬼嫁であり、あんまり思い出したくない
もうすぐカルナックの城門が撃破される ―――
そんな状況の中で、東の方から気鋭に溢れた軍気が立ち始めた ―――
後日譚・カザロフ ―――
水も飼料も用意出来るようになったカザロフでは、子牛の買い付けが進んでいます
カザロフ郊外への道を進み、なんかウシ臭いなと感じ始めたら牧場が近いです
牧田さん監修のもと、カザロフでは酪農が始まりました
そして既に、ライ麦やジャガイモなどの収穫も始まっています
昔は飢え死にした人が道端でカラスみたいな鳥に突っつかれていたのですが、今は見当たりません
みんな幸せそうですが、エリゴールやニルスは既に一つの予感に戦慄を覚えています
人口爆発です




