侵略!アルバン独裁王国!その13
お疲れ様でございます
放っておくと、いつまでも閑話休題を書き続ける男 ―――
またソフィのなつやすみを書くつもりなので、そこそこで控えておきます
さておき、本日のキララ、どうぞ
「…そうか…最早、猶予は無いようだな…」
こちらは西の大国、アストリアである ―――
ファシリオンとカルナックを挟んで、アルバンの西に位置している
現在、国王ウルブリヒトに対して新アルバンと国王ゴリオスに関する情報のまとめが報告されている
緩衝地帯となっていたファシリオンは王女カルーシアを人質として差し出し、実質上の降伏、その南のカルナックは国王が完膚なきまでに全身に毒を注射されて処刑され、現在共和制を執る為の議員の選挙が行われている、との事である
そんなものはどちらもアルバンの傀儡に過ぎず、もうゴリオスの手は国境のすぐ向こうまで迫って来ている
「…如何致しましょう、ウルブリヒト様…」
「…王子達を呼んでくれ…三人ともだ…」
「ハッ!」
しばらくすると、アストリア国の三人の王子達が玉座の間に集まって来た ―――
「お呼びとあって参りました、陛下」
「…ウム…」
第一王子、フェルナンド ―――
見た目年齢大体28歳、実直な性格であり、その顔には国を背負う覚悟がありありと浮かび上がっている
その隣にマントを翻し、片膝を着いて礼を取る男
第二王子、エドガルド ―――
見た目年齢大体25歳、鍛え抜かれた体躯は屈強そのものであり、将軍の一人に数えられる
武闘会で優勝を攫った事三度、アストリアの英雄との呼び声も高い
音も無く、冷たい目をしてその隣で片膝を着く男
第三王子、アシュフォード ―――
見た目年齢大体20歳、母親に似た線の細い美男子である彼は、冷静沈着かつ深い読みを持ってから行動する
将棋で言えば大体九段くらいあり、彼がノータイムで指し始めたらもう詰んでいると思った方がいい
「…よく来てくれた、我が息子達よ…今、この国には危機が迫っておる…」
「存じ上げております。アルバン王国…」
「左様…エスタミル、ナイジャン、カルナック、ファシリオンをあっという間に飲み込み、途轍もない要塞を築き上げた…お前達はどう思う?」
「恐らく来るでしょう。アルバンがそれらの国と連合軍を組めば、我が国と対等の戦力を持ちます。先に周辺国を併呑したのは、その為かと思われます」
「…ウム…エドガルド…」
「はい。先制攻撃あるのみです。まだアストリアを攻める準備は整っていないでしょう。まずは痛い目を見せてやり、それから交渉を有利に進めるのが良いかと思われます」
「…なるほどな…ではアシュフォード…」
「はい。私は絡め手から入るのが良いと思います。こちらから動いて、向こうが動けない状況を作り上げてからこちらの態勢や攻める手段を整えるのです。まずは情報収集と敵勢の篭絡でしょう」
「…フム…出来そうか、アシュフォードよ…」
「可能かと。私が行って参りましょう。国家の命運が懸かっております。人任せには出来ません」
こうして第三王子、アシュフォードがアストリアから密偵としてアルバンへと送り出された ―――
表向きの姿は、行商人 ―――
馬車に乗ってアストリアの名産品であるブドウ酒を運びながら、数日かけてアルバンへと到着した
「…とんでもない城塞だな、これは…」
アシュフォードが帽子を上げて見上げた城塞は、規格外の代物であった ―――
ダメだ…
こんな城攻めて落とせる訳がない…
アストリアに来た兵を追っ払う事は出来ても、根本的にこいつらを倒す事は出来ない…
分かってしまったアシュフォードは、馬車で城下町への門を潜りながら次善の策を考え始めた ―――
ウン…
戦って勝てないんだったら、身内になれば良いじゃない…
エスタミルとファシリオンは賢い選択をしたって訳だ…
よし、まずは商売をしながら国王ゴリオスの身内を手繰ってみるとしよう…
「どうも~。アストリアから来ました、行商人のレオと申します。こちらで商売の免許を発行して頂けると伺ったのですが」
偽名である
「あら、初めてのお方?業種は何になりますでしょう?」
行商人ギルド受付のお姉さんは、人懐こい笑顔のボインさんであった ―――
「はい、アストリア名産のブドウ酒など運んで参りました。あ、他にも国に帰れば色々仕入れて来れるんですが、アルバンにはどんな需要があるんでしょうか?いや、カルナックで商売をしてたんですが、最近取引先が潰れてしまいましてですね…それでこっちに来てみたんです」
「あらあら、それは大変でしたね…こちらだと今は服にする生地や建材などがよく売れているみたいです。少し前までは皆、税金を払うのにいっぱいいっぱいの暮らしだったんですが、ゴリオス王になってからは変わりました。行商の税金も15%から5%になったんですよ?」
「本当ですか?…」
頭の中で計算を始めたアシュフォードは、冷や飯食らいの第三王子なんかよりここで行商人やってた方がマシなんじゃないか、と考え始めた ―――
計算完了 ―――
初年度で大体500枚くらいの金貨くらいは稼げそうな気がする
裏切者発生 ―――
そもそも考えてみれば、アルバンみたいな国に立ち向かおうとする方がバカなのである
ここまで急激に勢力を拡大した国など前例が無く、このペースでいくと数年で冥界を制覇する可能性すらある
国に忠義を尽くしてアルバンに叛いて石打ちにされるよりは、傀儡でもいいから生き残ってアストリア王の座に着いた方が良いに決まっている
エスタミルやファシリオンを見る限り、こちらの態度次第では悪い扱いは受けない筈だ
行商の免許を受け取りながら、にこやかに受付さんに一礼するアシュフォード ―――
「どうも。今から町に行って露店を開こうと思うんですが、どこか良い場所ってご存じないでしょうか?」
受付さんの手を取り、チャリンと金貨を二枚掴ませる
「…まあ…商売がお上手ですのね…ようございます、当ギルドが押さえている区画へご案内致しましょう」
こうして行商人レオことアストリア王子アシュフォードは、アルバン城下町で露店の主となった ―――
後日譚・ザムダ ―――
しばらく一緒に暮らしていたベルタが可愛過ぎたザムダは、アキラと一緒にちょくちょくお土産を持ってアルバンを訪ねています
リュックにはたくさんの駄菓子、お絵かき帳、クレヨンやキャラクターもののシールなどが入っています
ボールはでかくて入らないので手で持ちました
「おねえちゃーーーん!!」
駆け寄って来るベルタ ―――
「ベルターーー!!元気してた!?」
まだソフィほどのダイブは出来ないので、一旦しゃがんで抱え上げるザムダ
「いつもすみません、ザムダさん。あの、私はもう仕事に出かけないと…」
「いってらっしゃい、ローザ。んじゃベルタの面倒はアタシに任せて。ちょっと学校を見学しに行って来るよ」
そうして出会ってしまった、ソフィとベルタ ―――
今まで似た年頃の子か年上ならいたが、年下のちみっこは赤ちゃんの遥を除いて初めてである
ソフィの傾き具合が、80度を超えて70度に達した ―――




