戦え!アルバン義賊団!その2
お疲れ様でございます
ンー…
昔ギルメン達とワイワイやっていたネトゲの動画を見てみたら、超絶クソゲーに発展していて萎えました
そっちに行ったからダメになったという事が、運営にはまだ分かっていない模様です
まあさておき、本日のキララ、どうぞ
ある日の夜 ―――
結局アルバン義賊団がどこの誰なのかも、アジトがどこかも皆目見当がつかなかった
このままでは間違いなく処されると判断した憲兵隊長ゴリオスは、家族を連れてアルバンから逃げ出そうとしている
吹っ飛ばされた西門はまだ復旧が完成しておらず警備が甘い為、そこから脱走するつもりである
「お父さん、こんな夜中にどこに行くの?」
手を引かれて歩く、息子のマティス ―――
「シッ!黙って歩くんだ…」
妻のエリカは、荷物を持ちながら不安げに辺りを見回している ―――
漸く西門に着いた頃には、0時を回って日付けが変わっていた
「おい止まれ。何者だ?」
こんな時間でも門兵がおり、二人で槍をバッテンに構えて通せんぼをしてきた
「私だ…金なら払った。通せ…」
ゴリオスはこの日の為に、西門の警備兵に金貨を掴ませておいてある
「さて、何の話だか。お前知ってるか?」
「いや?全く何の事やら分からないな。勘違いじゃないのか?」
クッ!!…
「…金貨2枚ずつだ…これで文句無いだろう。通せ…」
「ああ、通してやるとも。では良い旅を、ゴリオス殿」
チャリン、と金貨を受け取ると、二人の門兵はゴリオスと家族を通した
だが門を通ったところでゾロゾロと出て来た兵士達がゴリオスと家族を囲む ―――
「な…金なら今払っただろう!?おい門兵!!」
「門なら今通っただろう?その先の事なんて知るか」
それを聞き、ガックリと膝を落とすゴリオス ―――
「…そうか…俺はもう監視されていたんだな…」
その会話の間に近寄って来た兵士が息子のマティスの腕を掴み、引き離す
「あっ!父さん!!」
「止めろ!息子は関係無いだろう!!」
「流石に子供を火炙りにしたんじゃ民の反感を買うからな。ここで始末しておくか」
「止めてくれえええええええええええええ!!」
兵士が短剣をマティスの喉に当てたその時、月明かりに照らされた白刃が一瞬煌めいた ―――
「…静妙断迅剣…」
マティスの喉を裂こうとしたその手は、握った短剣と共にボトリと落ちた
「あれ、俺の腕が?…ああ、うわあああああああああああ!!」
「誰だ貴様ーーー!!アルバン義賊団かーーー!!」
「…我々忍の者が名乗る事など無い…」
忍装束に、覆面と鉢金 ―――
全身から漂う妖気、戦場で修羅が放つ眼光 ―――
見た事など無かったが、これは恐らく暗殺者である
そして兵士達が疾風に気を取られている間に、アルバン義賊団達は音も無く兵士達の後ろから近寄って来ていた
「そいつをひっ捕えろ!!」
グルリと疾風を取り囲む兵士達 ―――
それを見て疾風は、ダーインスレイヴを音も無く鞘に収めた
「ほう、物分かりが良いな。では知ってる事は全部吐いて貰うぞ」
返事の代わりに指パッチンで合図を出す疾風 ―――
次の瞬間、疾風を取り囲んでいる兵士達の後ろからさらに取り囲んでいた義賊団が兵士達の首に短剣を押し当てた
「…武器を捨てよ…次の合図でお主達は死ぬ事になる…」
「アッ、すみませんでした。捨てます」
全員カラーンと武器を落とし、次々と縛り上げられていく
門兵の方はアキラがグイグイと絞め落としていた
「な…お前達は一体…?いや、助けてくれてありがとう」
「…話は後だ…着いて来るがよい…」
疾風に着いて行った先には馬車が待っており、ゴリオス一家が乗り込むとゆっくり動き始めた ―――
「やあ、ゴリオス君、エリカさん、マティス君だね。私はそう…嵐とでも呼んでくれ」
先に馬車に乗っていた男が、口を開く ―――
「嵐?一体何者なんだ?何故、私達を助けてくれたんだ?…」
「何故って、黙って見ていたら君達が死ぬからだよ。君達には何の非も無い。おかしいとは思わないか?」
それを聞いて、唇を噛み締めながら黙って下を向くゴリオス ―――
ゴリオスが喋らないので、話を続けるポチ
「君達にはいくつかの選択肢がある。一つ目はこのままこの馬車に乗って、どこか遠くで暮らす。二つ目は我々の仲間になって王政を打ち倒す。三つ目はアルバンに帰って刑を受け入れる。どれが良い?」
「…やっぱりアルバン義賊団だったのか…お前達のせいで俺はこんな目に遭ったんだ」
「だからこうして助けているんだよ。君にはすまない事をしたと思っている。代わりと言っちゃ何だが、今の王政を打ち倒した暁には君に国王になって貰おうと思っている」
「…マジで!!?」
「マジです。ただし、国が良くなるような善政を敷いてくれる事が条件だ。我々義賊団の願いはそれだからね」
「…馬車を止めてくれ」
馬車は止まり、考え続けるゴリオス ―――
「…王政を倒すって言ったって、どうやって倒すんだ?」
「民衆革命を起こす。アルバンには不満の種がそこかしこにある。ちょっと火を着けて煽ってやれば、もう止まらなくなるだろう」
「失敗したら?」
「その時は逃げる。我々は色んな国に拠点を構えている。捕まる心配は無い」
ウーム…
そこでまた悩み出すゴリオス ―――
「少なくとも、奥さんとマティス君の安全は保証する。とりあえず今日は安全な宿に行こう。それからゆっくり考えてくれ」
言われて行った先は、南のナイジャン国境付近にある宿場町であった ―――
流石にここまで逃れれば、もう追っ手がかかる事も無いだろう…
兵士が国境を越えて犯人を追うには手続きが面倒だ…
とりあえずベッドに入って一息ついたゴリオスは、逃げ続けるか王政を倒すか、あの嵐や義賊団は何者なのか、そういった事について考えながら眠りに就いた ―――
後日譚・キュレーネとキュイ ―――
現在、キュイは戦慄の速度で成長し続けています
もう既にベッドで一緒に横になると、頭から尻尾までの長さがキュレーネ以上です
「グロロロロロロロ…」
キュイは頭をこすり付けて甘えて来ますが、力加減を間違えるとキュレーネはベッドから落ちます
ウン…
そろそろこの兵舎で暮らすのも限界かも知れない…
ある日の晩、キュレーネはキュイを連れて新居を用意する事を決意しました




