講義6
「魔法部隊の活躍は目覚ましく、多くの成果を上げていきます。これまで一個小隊では太刀打ち出来なかったオークの集落の壊滅や大型の魔物などを次々に討伐していきました。しかし魔法を特権として扱ってきた貴族から反発を受ける事になります。貴族達は魔法を規制して自分達の物にしようとしました。市民はそれに反発し魔法解放運動を起こしました。魔法解放運動はインタリー王国にとって大きな転換点になりました。そしてこの運動の旗印となり中心にいたのが魔法部隊初代隊長、ベルギウス・オリオーヌです」
次の瞬間、ドーンと窓の外から大きな爆発音が鳴り響き、窓が揺れるのほどの衝撃が教室を襲った。
こんな異常事態を経験した事の無い新入生は悲鳴をあげて身を屈めたり、講義中なのに立ち上がり窓の近くに集まって何事かと外の状況を確認し始めた。
外の様子を見ると反対側にある実習棟の三階の窓から白い煙がモクモクと上がっている。中庭では何だ何だと野次馬が集まっていた。
講師はそれを確認すると何事も無かった様に壇上に立ち話し始めた。
「おそらく魔道具科の生徒が失敗したのでしょう。この学園ではよくある事です。特に卒業試験が近くなると多くなります。皆さんもそのうちに慣れますので気にしない様に」
「え……でも煙が出てますよ?」
「昔隣の教室まで吹き飛ばした阿呆がいましたから、それに比べればなんて事ないです」
生徒が不安そうに質問したが教室の爆発をよくある事で済まし、そのうち慣れると言い切り、大した事ないと一蹴した講師を見て生徒達は驚いたが、その淡々とした対応に少しずつ冷静さを取り戻していた。
しかし講師が講義を再開しようとしたところで終業を告げる鐘が学園に鳴り響いた。
「今日はここまでです」
講師はあっさり講義を切り上げて持っていた教科書を閉じた。生徒達も挨拶を済ませると教科書をしまい、次々に教室から出ていく。
「次、魔道具の講義だけどあるのかな?」
「流石に休講じゃないかな?」
「とりあえず教室まで行こうよ」
「えー実習棟に行くの?大丈夫?」
生徒達は先程の爆発についてワイワイと話しながら移動していく。
講師が片付けをしている最中、ふと窓の外を見ると見慣れた老人が中庭から煙が上がる教室を眺めている。まるで春の風物詩を堪能する様に。
この学園の校長である。校長は穏やかな表情で中庭を通り過ぎていく生徒達に挨拶を交わし、手を振り見送っている。
いつもの穏やか学園の風景がそこにあった。




