講義1
入学式を終えて早速新入生達はワイワイと話しながらそれぞれの学科に移動していく。
アンベルティー魔法学園は主に三つの学科がある。純粋に魔法の真髄を極めんとし古の魔法を研究する古代魔法学。新たな魔道具を作り生活そのものを変える魔道具学。魔法を軍事に用いて国の為に尽くす軍事魔法学。
古代魔法学は研究者気質の者が多く、仕事に繋がらない為主に貴族が多く在籍している。魔道具学は商人の子供や魔道具で一財産築きたい大人など平民に多く、年齢も性別もバラバラでこの学科が一番人数が多い。
軍事魔法学は貴族の中でも軍閥に属する家のものが多いが平民もそれなりにおり、身分の差が大きい学科である。
そのどの学科の生徒も初めての学園内にキョロキョロと落ち着きなく、すれ違った教師にゴホンっと咳払いされ注意される一幕もあった。
授業の始まりを知らせる鐘が学園中に鳴り響く頃には新入生は無事それぞれの教室に入り着席していた。
教室では教師から簡単な自己紹介をされ、早速授業が始まった。
新品の本を前に新入生は初めての授業を楽しみにしている。学園長が使った様な綺麗な魔法や生活を一変させる様な革新的な魔法、まだ見ぬ魔法の世界に心躍らせていた。しかし壇上の眼鏡をかけた若々しい教師から期待はずれの発言が飛び出した。
「さて、ここに集まったの魔道具学の生徒ですがこの講義は魔道具については教えません。この学園ではただ魔法を学ぶだけではなく、その歴史を知らなければなりません。近代魔法史はどの学科にもある共通の授業です。勿論試験もあるのでしっかりと覚えるように」
教師の言葉に多くの新入生は真剣に耳を傾けている。だが魔法を学びに来たのに歴史の授業と知り残念がる生徒も中にはいた。そんな様々な生徒が教室にいるが教師は意に介せず本を開き目を落としながら話し始めた。
「学園長が話していた通り、その昔魔法は貴族が独占しており庶民は知ることさえできませんでした。しかしそれは貴族の権威を高めるのも理由の一つですが、魔法は非常に高度な知識と魔力量を必要とし、そしてあまりにも危険な代物だったからです。それでも今は市民まで広がり子供も魔法を使っています。この事が大きく変わったのは遡る事60年前の戦争から始まります。これはかの有名な最後の大賢者が出てきた戦争です」
最後の大賢者、その言葉がでた瞬間新入生は驚いた。やる気のない生徒も教科書から顔を上げて教師を見た。
「皆さんも子供の頃に母親から聞かされたでしょう。賢者が一人の騎士を連れて戦争を終結させた有名な武勇伝です。劇や歌にもなりそれぞれ内容も食い違う所もありますがその元となった戦争が今から学ぶ戦争です」
元々その話が好きな生徒は目を輝かせながら教師の言葉を前のめりで聞き始めた。他の多くの生徒も馴染みのある人物の話の為興味が出てきた。
「それはインタリー王国に隣国のスウィストフ王国が侵攻してきた事が始まりです。この教室にもスウィストフの留学生がいますが、その昔は国交も殆どありませんでした…」




