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講義4

この魔法学園には幾つかの棟に分かれている。行き交う生徒は賑やかに話し活気に溢れていが、その中でも軍事魔法学を学ぶ棟だけは物静かで重々しい雰囲気が立ち込めていた。

「軍事魔法学を専攻する君達にはこれからインタリー王国で正式採用されているこの十二式魔道杖を使った市街戦を想定して作戦を考えてもらう」

 教壇に立つ教師のがっちりした体型の短髪の男である。これまでのどの教師にも無い迫力と圧がその大きな身体から発せられていた。袖から見え隠れする古い傷がその威圧感の説得力を持たせていた。

 そしてその教師の講義を聞く生徒達も背筋を伸ばして凛々しい顔つきで席に座っている。その誰もが魔法使いの卵とは思えないガッチリとした体格をしている。

 この軍事魔法学科の生徒達は将来軍に所属する事が決まっており、軍隊内の厳しい規律と訓練をこの時から学ばせていた。その為魔法使いらしくない体格と迫力が生徒の頃から備わっていた。

 壇上に置かれた十二式魔道杖はしっかりとした持ち手と細長いフォルムが特徴な魔道杖である。インタリー王国の兵士なら誰でも使っている魔道杖であり、形式上杖と言っているが最早これを見て杖と呼ぶ者はいない形をしていた。

 教師の後ろには大きな地図が吊るされており、そこに分かりやすく街の全体図が描かれており、部隊の動きを解説する為に駒が配置されていた。

「かつての戦争は一人の魔法使いを兵士が守り、強力な魔法を敵に放つのが主流であった。そして戦争を終結させた魔法使いを大賢者と呼ばれるようになった。しかし魔道杖の登場により兵は隊列を組まない散兵戦術が基本となった。その為魔法使いが大魔法を唱えても部隊を壊滅させる事は不可能になり大賢者は二度と現れなくなった。そして魔道杖の他に新たな魔道兵器が次々に誕生する中、我々はそれを最大限に活用できる作戦を考えて行かなければならない。ここまで何か質問はあるか?」

「はい!」

 講師の問いかけに一人の生徒が手を挙げた。その手は真っ直ぐ、そして声ははっきりと通る気持ちのいい挙手であった。

「なんだ?」

 教師に当てられると生徒はその場で立ち上がった。

「はい!初めて魔道杖が使われた戦争では最後の大賢者がいましたが、何故活躍出来たのでしょうか?その時も隊列を組んで魔法を唱えたはずでは?」

 生徒の質問に他の生徒も確かにと不思議がっている。

「スウィストフ王国はまだ魔道杖を使った戦争の仕方を知らなかったのが敗因と言われている。まあ、あの戦争は未知の部分が多く今でも研究されている。もしかしたらそのうち新たな事実が分かるかもしれない。質問の答えはこれでいいか?」

「ありがとうございました」

 生徒は教師に一礼をして席に座った。その動き一つ一つが機敏であった。

「ではこの魔道杖の性能を教えていく、まず射程は……」

 教師は魔道杖を手に取り淡々とその性能の解説を始めた。生徒はそれを一言も逃すまいと真剣に聞いていた。

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