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講義3

「はあはあ、間に合った!」

「早く席に座るよ」

 髪の長い生徒は教室に入って安心したのか扉の前で止まってしまった。それを眼鏡の生徒が手を引き席まで連れていく。

「あらあら、元気な新入生ね」

 既に教師は教室におり軽く挨拶をして席に座った。席に座ると急いで講義の準備をしていく。

 二人が忙しなく準備している間に学園に鐘の音が響き渡った。

「鐘が鳴りましたね。さあ、この講義では実際に魔道具を作っていきますよ」

 教壇の前で明るい声で話すのはお婆さんの教師である。歳はとっているが元気よく先程の近代魔法史の教師と違い優しそうな雰囲気を纏っていた。

 生徒達が座る机の上には木の板と作図に使うまだ一度も使用されていない綺麗な道具が一式揃えられていた。

「皆さん知っていると思いますが魔道具は魔力を流して使用する便利な物です。今ではどの家庭にもありますが私が子供の頃はこんな便利な物はありませんでした。火を起こすのも一苦労で本当にいい時代ですね」

 昔の苦労話をしているがその声は優しく穏やかで苦労していた風には全く見えない。

「その発祥は隣の国スウィストフ王国です。魔道具の生産で世界的な有名な国ですね。そしてスウィストフ王国で魔道具の父と言われたゼタという魔法使いが初めて魔道具を作ったと言われています」

 最後の大賢者の時と違いゼタという名前に反応した生徒は皆無であった。ゼタは歴史を研究する人間ならば知らぬ人はいないが、一般市民にはほとんど認知されいない。

「魔法を使えた為おそらく何処かの国の貴族ではないかと言われていますがその詳しい経歴は謎のままです」

 ゼタの話をされるがやはり生徒達はピンときていない。それを悟ったのか教師は話の方向を急に転換した。

「いけない、これは歴史の授業ではなかったわね。お話はここまでにして皆さんで魔導具を作っていきましょう。まずは簡単に呪文を木の板に書いてもらいます」

 生徒達は教師の指示の下せっせと木の板に呪文を書き始めた。

 ちゃんと魔道具が作れた者、うんともすんとも動かず困り果てる者、初めての魔道具作製は一筋縄ではいかなかった。


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