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奴隷転生の俺、最弱ステータスを敵にコピーできるチート能力で王国最強へ  作者: 賢い兄者
第一章 最強に満たぬ器

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第17話「終わったあと」

洞窟の外に出た瞬間、空気が変わったのが分かったが、それを安堵と呼べる余裕はもう残っておらず、ただ肺に入る冷たい空気が痛みとして感じられるだけだった。


腕の中にはリュナがいる。


軽い。


だが今の俺には、その重さすら支えきるのがやっとで、足は震え、視界はぼやけ、何度も意識が途切れかけながら、それでも止まれば終わると理解しているから前へ進むしかなかった。


背後の洞窟へ一度だけ振り返る。


あの中に。


全部置いてきた。


考えないようにする。


考えれば、動けなくなる。




「……転写」


かすれた声で呟き、洞窟の入口へと手を向ける。


対象は岩壁。


硬く、重く、強固な構造。


だが関係ない。


俺の“弱さ”を押し付ける。


強度が落ちる。


脆くなる。


ほんの一瞬で、支えを失う。


次の瞬間、鈍い音と共に崩れ始めた。


岩が落ちる。


砕ける。


積み重なる。


洞窟の入口は、完全に埋まった。


中にあるものごと。


すべて。



「……はぁ」


息が漏れる。


それが、最後だった。




足が動かない。


力が入らない。


その場に膝をつき、そのまま崩れるように倒れ込むが、腕の中のリュナだけはどうにか地面にぶつけないように支えたところで、もう限界だった。


視界が暗い。


音も遠い。


目の前の景色が、色を失っていく。


何も考えられない。


ただ。


終わった。


それだけが、ぼんやりと残る。




その時だった。


ぱち、ぱち、と。


乾いた音が響く。


拍手。


ゆっくりと。


間を置きながら。




重い瞼を無理やり持ち上げる。


そこにいたのは、一人の男。


神妙な顔をしながら、それでも淡々と拍手を続けている。


カイルだった。




「流石だレオン、無事に任務を終えた様だな」


静かな声。


だが。


そこに暖かみはない。


労いでもない。


ただの確認。


結果への言及。




その言葉を聞いた瞬間、何かが完全に切れた。


理解している。


この男は分かっている。


洞窟の中で何が起きたか。


何人が死んだか。


誰が、どういう選択をしたか。


全部。


分かった上で。


それでも。


“任務達成”と言った。




「……あぁ」


声が出る。


かすれている。


自分でも何を言ったのか分からない。




カイルは一歩近づく。


視線を落とす。


リュナを見る。


次に俺を見る。


その目は冷静だった。


あまりにも。




「よくやった」


そう言う。


だが、その言葉は軽い。


何も含まれていない。




もう。


限界だった。




俺はカイルの姿を見たまま、その場に突っ伏す。


力が抜ける。


意識が沈む。


何もかもが遠くなる。




腕の中のリュナの温もりだけを最後に感じながら、レオンの意識はゆっくりと暗闇の中へ沈んでいった。

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