睦言:『御簾入り』①
この度めでたく私(長慶)と夫婦の契り? を結んだのは『二の宮』と呼ばれている後奈良天皇の第二皇女様。永寿内親王。愛称『はるちゃん』。実は読み方って音読みじゃないんだよね。『永寿』と書いて『はるひさ』と読むらしい。ちなみに彼女は私のことを『よし様』、『長慶』からめでたい方で愛称作ってくれた。二人だけの時だけどね。
最初『はる様』と呼ぼうとしたら、嫌だと言われ、『はる』と呼びつけするのもなあってことで『ちゃん』つけた。この時代では『ちゃん』付はあまり聞かないらしく、不思議だけど、可愛いから気に入ったみたいだ。
『はるちゃん』とは『御簾入り』の時に正直に自分のことは、まだ子供だからと正直に伝えたのが良かったらしい。
警戒心が解かれて一気に打ち解けた。中身『令和のおばちゃん』だから、思春期時代の娘と接してる気分だった。ちなみに『長慶おじさん』的には親子ほど(?)違う小娘には食指は動かん。と脳内で宣っていた。
『はるちゃん』はものすごく好奇心旺盛な娘だった。もともと仏門に入って一生を終えるはずだったのが、還俗(正しくは得度を追えていないのでそれには当たらないらしいんだけど)したことで、一度死んで、生き返った感覚なのだとか。
父である主上から『稀人』に嫁いで『阿波』に下向するように言われて、初めて『稀人』の存在(秘密)を知ったらしい。
『稀人』という存在は『皇家』と深く結びついていることも主上から教えられたと『はるちゃん』は私に話してくれた。
そして、私をまじまじと見て、『本当に不思議ね』と一言つぶやくとふふッと可愛く小さく笑い声を発した。
『?』そんな『はるちゃん』を見つめ返す。
「『天皇家』は『稀人』から始まったのですって」
あ! いきなり爆弾投下。これって聞いたらあかんやつ違うんかな。『詰んだ!』って思ったのは『長慶おじさん』もだったらしい。
私(『令和のおばちゃん』と『長慶おじさん』)がフリーズしたのを見て、イタズラ成功みたいな軽いノリで可愛く『はるちゃん』笑ってる。
「それは『公家の秘匿事項』では?」
「ええ、そうね。そやけど『よし様』も当事者でしょ?」
「それはそうなんだけど…」
ん〜、大丈夫なのかな。この話聞いても… 躊躇しまくってる私を横目に『はるちゃん』は話を続ける。
「『よし様』は今から五百年先の世界を見てこられたのでしょう?」
「はい。そうですね」
「天皇家に大きく関与していた『稀人』も『よし様』と同じ頃の日の本を『見た』人らしいわ」
「え?」
同じ頃の日本?
「『令和』という年号なのでしょう?」
「ええ、そうですが」
「残っているの。そのお話も。だからその時が来るまで『年号』に『令和』は使わないの」
まじか。『令和のおばちゃん』思わず声に出しそうになるのをグッと堪えた。




