孫次郎の婚姻① :『御簾入り』
ちょっと話が前後しちゃったので、UPし直しました。
『孫次郎の婚姻』エピソードです。
近衛家の猶子となったことで『元服』も『婚礼』もそれに準ずる形を取ることになった。
主上への『拝謁』という大仕事もあったので、京にいる間は一見小さなお公家さんだ。
眉も抜かれちゃったし、『お歯黒』もしてる。
父、海雲はそれを見た時爆笑したいのに頑張って堪えるという、とても変顔になっていた(怒)
『拝謁』の時の衣装は『束帯』。令和でいえば『モーニング』や『フロック』。
『近衛邸』に戻れば『狩衣』という衣装で過ごす。本当はもうちょっとかっちりした方がいいらしいんだけどね。まあ令和でいえばカジュアルファッションだ。
婚姻(降嫁)の前日。その日はとても晴れていた。
昨日まで熱で寝込んでいたのもあって、準備や段取りやら色々なことで、朝早くからバタバタしていた。
身を清め、最終的に衣装合わせをした。
実は『婚礼(降嫁)』の前に、しなければいけないことがある。
『御簾入り』
『入輿』とも言われている。内親王が臣下に嫁入りする時、結婚の前に、夫となる者が、内親王の御所に一泊する。というものらしい。
既成事実というか、おそらく形式上の『婿取り』の意味もあるみたいだ。
なので『近衛家』の義祖父と義父とともに輿に乗って内裏に向かう。
義祖父達は主上にご挨拶すると別行動に。自分は案内役がつき、内親王のおられる御所へと向かった。
ちなみにまだ体が出来上がってないので、そういうことできませんと先に主上や義祖父達には話しているので、ただ『御簾』の中で同じ布団に入って寝る(一応同衾になるらしい)だけだ。
『御簾』の向こう側で人の気配がする。
いつの間にか案内をしてくれた人の姿が消えていた。
「入ります」
そう声をかけて、思い切って『御簾』の中に入る。
敷かれた布団の横に『白い衣装』を身に纏った少女が座っていた。
ものすごく緊張しているのが伝わってきた。
初めて会う男性とどうこうしなくちゃいけないなんて怖いよね。
仕方がないので、緊張をほぐすためにも主上にも話した事情を話す。
皇女様は安心したのか、あからさまに息を吐いた。そこからは自己紹介したりお話をしたりした。
『床入り』も『なにもしない(できない)』ことがわかっているからか、三歳年上というお姉さん感もあってか、逆に『皇女』様に促されるような感じで『同衾』した。(もちろんただ寝てるだけ)
しかも前日まで熱出してたのもあったり、色々あって緊張もしたりで疲れてたのもあったのか、布団に入るなり寝落ちした。
翌朝早く、すでに段取りされていたのか、案内役に先導されたまま、内裏を後にして『近衛邸』へと戻った。
さて、今日は『婚儀の日』だ。昨日に続いて晴天だ。
屋敷の戻るなり、その準備に追われることになった。




