千熊丸、初めて『太布』を織る
そんなこんなで千熊丸と『お友達』との日々は穏やかに過ぎていった。
今日は、前回『楮』のから取り出した繊維から糸を紡いだ。
子供の手だからなかなか糸も紡ぐのも難しい。自分で紡いだ糸を糸巻きに巻いていく。
年長組は流石で、コツを覚えたらすぐにできるようになった。自分たちの作業が終わると年少さんのお手伝いに入ってくれる。自主的に動けるのは素晴らしい。
なんとかみんなが巻き終わると、今度は『楮』の茎をただ乾燥させて枝みたいになったものを配る。
それとメジャーがわりの板で作った簡易定規。片方には竹串が櫛のようになったものが引っ付けられてる。
それから『工作用ハサミ』。そう『ハサミ』。和鋏じゃないよ。令和でも使えそうなもの、阿波の鍛治職人さんが作ってくれました。しかも子供用でサイズもい小さくて持ちやすく、先は危なくないように丸めてくれている。切れ味は抜群。これで、枝を同じ長さに切り揃えてもらうんだけど。指落とすと怖いから、危ないから年長さんが年少さんの分も枝を切ってくれることになった。
揃えた小枝で木枠を作ってもらう。指定されたように枝を紐で歪まないように固定する。正方形の枠ができた。
まず縦糸を枠に巻き付ける。二十回から四十回。自由にさせる。それから糸の両端は少しとって固定させる。
次は横糸だ。今回は織るというのがどういう仕組みなのかを理解するためのものだから下糸をすくって横糸の糸を小枝に結んだものをくぐらせていく。一度定規の片面につけてる竹串の櫛もどきで横糸を整える。
次は上糸を拾って横糸をくぐらせる。あとはこれの繰り返しだ。
みんな、真剣そのもの。本当は織り針とか使えばいいのだけれど針は潰しても子供には危ないから、小枝を使った。
なんとか形になっていく。
自分で紡いだ糸だからっていうのもあるのかもしれない。
そうやって初めて小さな布(太布)が織り上がった。
みんな、それを大事そうに持って帰っていった。
ある程度本格的な『手織り機』簡易キッドも売れるかなあって思ってしまった。
大きな『織り機』が扱えなくても家内工業的な、趣味の範囲で色々な小物とか作れそうな気がする。
色彩もカラフルに細かい布を組み合わせたパッチワークもどきで大きなカバーも作れるんじゃないかな。
そんなことを思いながら今日作った作品を母に見せると、部屋に飾ってくれるらしい。嬉しいけど、目がガタガタで、恥ずかしい。
いつか『長慶』の黒歴史になるかもしれないなって思うと脳内の「長慶おじさん」が馬鹿笑いをした。
長慶おじさんとも六年くらいの付き合いになるのか。最初の頃の陰鬱さがなくなって、明るくなった。
晴元少年と決別できたのも良かったのかもしれない。
それと『ものづくり』に勤しんでいると気晴らしになるから、それも良かったのかも。
あと美味しいもの、この時代じゃまだ食べれないものも先駆けていただけちゃうのも楽しみになってるみたいだし。
まあ、まだまだ食材が日本に入ってないから、それが手に入ればさらに美味しいものが食べられるはず。そう脳内の長慶おじさんにいうと楽しみだなって明るく返してくれた。




