千熊丸の側近候補という名のお友達
今日は五話UPします。
「千熊丸様! 今日は何をするんですか?」
声をかけられて、そっちの方に目を向ける。見ると自分と同い年で将来の『御側衆』候補の木津城の小字小一郎こと小一郎くん(篠原長房)とその弟の佐吉くん(篠原佐吉兵衛)の兄弟と、昼間城のところの佐々木太郎くん(右京進)、一宮城の次郎九郎こと次郎くん(一宮成助)、白地城の小太郎くん(大西頼武)、重清城の四郎くん(小笠原長政)、阿波佐田館の彦太郎くん(森元村)、そして牛岐城の太一郎くん(新開元実)の八人がワクワクした瞳で見返してきた。
彼らと初めて顔追わせしたのは三年前だ。丁度晴元少年たちが上京したのを見届けた後、なんとも言えない空気感が漂っていた中、(千熊丸発案で)海雲が芝生城に阿波の各城主の当時七歳から三歳までの子供達を定期的に交流させることにした。
子供も小さいから母親同伴で、婦人会も兼ねている。
もちろん人質とかではなく、ちゃんとお土産持って帰ってもらってる。遠方から来る場合は一泊してもらってる。
やっていることは早朝は鍛錬。午前中は勉強。午後から遊びを兼ねて色々交流してる。
まあ、そんな中でも高頻度で参加をし、知らないうちに脇を固めるかのように常に行動を共にしているのが彼らだ。
年齢差時にも千熊丸(八歳)プラスニ歳、マイナス一歳。ギリギリ同じ遊びでも一緒にできる感じだ。
プラス二歳は小一郎くん(篠原長房)で、マイナス一歳は弟の佐吉くんだ。兄弟だから小一郎くん(篠原長房)くんがフォローしながらという形になってるけど。
早朝の鍛錬は泊まり組だけだ。通常はそれぞれ朝食が終わってから両親と共に登城してくる。
父親たちは海雲のもとへ。母親たちは千熊丸の母親の春のもとへ。
子供達は大きな広間で机はそれぞれ前に置かれ、『寺子屋』で学ぶ手習い事から始まり、古典や漢書等、教養ものも学んでいく。
昼食はみんなで囲んで食べて、午後からは遊びを通じて体験学習をしている。
前回は『阿波紙』の『漉き』を体験した。出来上がった作品は家族へのお土産だ。『阿波紙』作りも、ちゃんと楮の採取から始まって繊維を取り出すことも『体験学習』の中に入っている。教えてくれるのはもちろん専門の職人さんたちだ。一通りの作業を体験しながら学んでいく。
今回からは同じ楮の繊維を使って織る『太布』。
『紙』との違いを比較しながら『布』の繊維を取り出していく。
これも実際の工房で体験させてもらう。
楮は『紙』の時に自分達で採取したものの残りを確保していたものを使う。
それを職人さんが予め専用の蒸し器で蒸してくれている。
その中から自分たちで使用する分だけを分けてもらって、皮を剥いだ後、灰汁で煮て繊維をバラバラにしていくという作業工程を教えてもらいながら自分たちで自分達の繊維を取り出して、糸にする直前までの作業をみんな真剣にこなしていく。作業に集中すると時間もあっという間に過ぎていく。
こうやって阿波の産業を直接体験していくという機会はおそらく城持ちの子供達にとってはなかなか与えられることはないんだろうなと、瞳を輝かせながら和気藹々と作業してる姿を見てそう思った。(中身令和のおばちゃんだから、みんな、下手したら孫世代だ。可愛いもんだ)
みんなで仲良く阿波を盛り上げていってほしいな。
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