『正条植え』と『皆保険制度』
色々な阿波布が作れるようになったので衣類はもちろん、念願の布団を作ることにした。
とはいっても綿はないので羽毛だ。
実は食用にとアヒルと鴨を掛け合わせて合鴨を繁殖させている。
もちろん『合鴨農法』も導入している。
なんでも無駄なく、効率的にだ。
『合鴨農法』を導入する前には、異世界あるある『正条植え』を導入した。
導入に関してはほぼほぼメートル法とかほぼほぼグラムといった基準値を導入した。
田おこし機や踏み車、竜骨車、千石通し、唐箕をはじめとする農具も試行錯誤で作った。
この辺も子供を連れて県内各地の民族資料館や、歴史館に行ったときに見たものを思い出しながら絵に描いて、説明を加えたら、作ってくれた。
微妙に構造は違うかもしれないけれど、機能的には近いものをつくってくれた。さすが職人さん!
『正条植え』も最初試験的に導入して、結果が良かったので整地と治水をしながら農地を拡大していった。
山林も間伐材を木材としての利用のほかに木炭にすることで水質の浄化や様々な産業に利用され、最後は木屑と共にコンポストトイレに使用され、肥料として大地に還元する。
色々形になってきた。とはいっても、自分はまだまだ小童。
アイデアは出すけど、動くのは父である海雲や親戚のおじさんたちだ。
皆、武士だからとかふんぞり返ってなどいない。むしろ面白いおもちゃを攻略して手に入れる。みたいな感覚で率先してワクワクしながらやってくれている。
内政を重視している効果か、阿波国はベビーラッシュだ。
武士だけでなく、農民も職人も商人も。
食事事情が改善され、生活も向上しているのだ。
まあ、当然と言えば当然だろう。
衣食住が整い、仕事もある。
教育も衛生面も整いつつある。
身分に関係なく『読み書き計算』だけではなく一通りの職業訓練も受けられるのだ。
しかも万年人材不足。領地自体が一気にグレードアップしていた。
そして『芝生城』もまたベビーラッシュ。
兄弟姉妹だけではなく、周辺の城主の子供たちも一緒に過ごしながら学ぶことにした。
ママ友会もできた。
あ、人質とかではないよ。まあ、安全性や効率的に、みんなで子供育てようみたいな感じ。
そうやって衛生面の意識の向上も図れるし、人間関係も『派閥』を作らず交流させていく。
意識改革の意味もある。
『嫡子』『スペア』とかそんな意識に固定させない。子供は『宝』なのだ。
特に『兄弟』『姉妹』は『婚姻同盟』という重要な役割がある。
行った先で『三好式』の産業改革ができるように様々なことを学ばなきゃいけない。
『奪う』から戦さは無くならない。
『富を生み出す』構造を作り出せば、領地改革をすればいいのだ。
満たされれば一揆も起こらない。
『寺社』は『教育』現場としての役割を持たせばいい。
『宗派』にかかわらず、最初は不満を漏らしたが、熱心に学ぶ子供たちを見れば風向きが変わった。
僧兵も職業訓練を受けさせてみれば、いろんな技能が身について、職人系に『職がえ』も増えた。
どの職も貴賎なく価値をつけて育てていく。
物や技能はブランド化され、次世代へと引き継がれていく仕組みを作る。
納められた『税』の一部をもしもの時は医療を受けられる仕組みを作った。
令和の皆保険のようなものだ。
これも反発が最初あったが、衛生に関する物、例えば石鹸や、消毒用アルコール。ガーゼ、ベットやシーツ。薬草。様々な業種が医療を支えているという現状をわからせつつ、試験的に導入してみて成果が出たからか領内の医療や薬は領民に関しては無料となった。
カルテの導入と立て替えられた医療費は精査され清算される。
つまり、そういった機関も作ったし、人材も育成している。
これが実質運用されたのは1530年。千熊丸、数え九歳。家督を継いで六年目の時だった。




