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[31万PV達成!感謝]長慶さんに転生してしまった!  作者: 天の樹
孫次郎の『徒然日記』⑤伊予の『天領化』

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伊予の天領化⑦

――1534年、文月上旬


 伊予国・湯築城。

 調査開始から二か月。


 伊予全土の調査はほぼ終了していた。

 そして、私(長慶)たちは徳島城へ戻らず、そのまま伊予に残った。

 なぜなら、いよいよ決断の時だったからである。



 宇和郡。西園寺氏。


 伊予西部最大勢力。河野氏に次ぐ大勢力。

 この西園寺氏の判断が、伊予全体へ大きく影響することになった。



 湯築城。評定の間。


 河野通直。私(長慶)と海雲。朝廷使節。

 目の前には、西園寺氏使者。緊張感が漂っている。

 使者は開口一番。


「西園寺家は問いたい」

「何でしょう」


 私(長慶)が応じる。


「河野家は残るのか」


 その場の全員が理解した。

 成程… つまり、西園寺家は、阿波式そのものより、河野家の処遇を見ている。

 もし、河野家が消えるなら、次は西園寺家だ。そう考えていると。

 私(長慶)は即答した。


「残ります」


 静かになる。


「守護職は返上、官職も領地も一度朝廷へ返上していただきます。」

「ですが、河野家は河野家です」

「西園寺家は西園寺家です」

「家は消しません、むしろ残します」


 海雲も頷く。

 これは最初から変わらない。

 天領化は没収ではない。再編である。


 その時だった。河野通直が立つ。

 全員が驚く。河野通直はゆっくり言う。



「儂も問う」


 私(長慶)は河野通直を見る。


「はい」

「百年後、河野家はどうなっておる」


 部屋が静まり返る。普通は誰もそんな質問はしない。

 戦国大名なら、来年を問う、三年後を問う。

 しかし、河野通直は違った。

 私(長慶)の見ている世界を理解し始めている。

 だから、百年後を問うた。

 私(長慶)は正直に答える。


「今より大きいかもしれません」

「領地は?」

「天領です」

「では何故?」


 私(長慶)は核心言う。


「家が残るからです。領地は有限です、けれど人材は無限です」


 誰も声を出さない。


「河野家が、海を管理し、港を管理し、教育を担い、次代を育てるなら、百年後も必要とされます」


 それは、守護ではない。もっと別の存在だった。

 通直は理解した。

 この少年は、家を潰そうとしていない。家の役割を変えようとしている。



 文月十五日。


 『伊予国人総会』が湯築城で行われる

 河野氏。西園寺氏。宇都宮氏。忽那氏。得能氏。土居氏。

 そして、その他伊予主要国人が全て集まっていた。

 最初に河野通直が立った。


「諸士」


 静まり返る。


「二か月、見た、聞いた、調べた」


 一拍。


「儂は受ける。伊予は天領化へ参加する」


 その瞬間、明らかに流れが変わった。

 伊予守護。河野通直。その決断だった。


 伊予全体が小さな違和感を飲み込んで大きな流れに押し流されそうになっていた。

 その流れを中断させるために、私(長慶)は立ち上がる。


「待ってください」


 皆が驚く。賛成したのに、なぜ止める。

 私(長慶)は改めて再度確認する。


「もう一度確認します。嫌なら断れます」

「後で、聞いていないは無しです、強制されたも無しです」

「今、ご自分で決めてください」


 戦国時代では異例だった。

 しかし、これが私(長慶)だった。

 その結果、河野氏、西園寺氏、宇都宮氏、忽那氏、得能氏、土居氏が順に承認する。

 もちろん細かな条件はある。だが、大勢は決した。



 1534年長月二十八日。


 この日、朝廷使節立会いのもと。

 全伊予主要勢力が、領地、冠位、官職、全てを一度朝廷へ返上した。


 この後、朝廷による正式調査が開始される。

 まずは、阿波、讃岐、伊予の三州天領化完了。



 四国統合計画は、ついに第三段階へ到達する。

 残るは、最も難しい国。

 山が深く、豪族が強く、中央権力の影響が最も弱い国、土佐。

 そして長慶はまだ知らない。

 土佐こそが四国天領化最大の難関になることを。


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