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讃岐の天領化11
評議も終盤に差し掛かった頃、国人の一人が静かに尋ねた。
「ところで」
「はい」
「なぜ錦の御旗を持って来た」
場が静まる。誰もが気になっていた。
私(長慶)はちょうど良い言葉を探した。
「見せるためです」
意外な答えに皆が首を傾げる。
「脅すためではありません」
「ならば何故」
私(長慶)は国人たちを見渡した。
「皆様に覚えていただくためです」
「何を」
「この話は……」
誤解を与えないように慎重に言葉を紡ぐ。
「三好の話ではありません」
さらに静かになる。
「阿波の話でも、四州近衛家だけの話でもありません」
そして… いよいよ核心に触れる。
「朝廷の話です」
誰も喋らない。
私(長慶)は続けた。
「領地は皆様のものです」
「家も皆様のものです」
「先祖も子孫も変わりません」
「ですがその上にある国は誰のものか」
長い沈黙。
その沈黙を破るかのように老国人がぽつりと言った。
「帝の国か」
「はい」
私(長慶)は頷いた。
「だから錦の御旗があります」
「帝の国をどう良くするか」
「その話をしに来ました」
その言葉に。明らかに場の空気が変わった。
これは、征服の話ではない。
もちろん家を奪う話でもない。
国を誰が支えるかという話だった。




