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[31万PV達成!感謝]長慶さんに転生してしまった!  作者: 天の樹
孫次郎の『徒然日記』④讃岐の『天領化』

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讃岐の天領化①



 四国全図の前で、私(長慶)はしばらく沈黙した。

 皆が次の言葉を待っている。そして私(長慶)は、地図の上の讃岐を指した。


「最初に動くのは讃岐だ」


 場がざわついた。少年たちが互いの顔を見合わせている。

 阿波ではないのか? そう思った者も多かったのだろう。


「阿波は既に決まった。帝の裁可も下りた。制度も作る」


 私(長慶)は続ける。


「だが四国を一つにするなら、まずは讃岐だ」


 瀬戸内海。塩田。港。市。街道。

 地図の上に木札を置く。


「讃岐が豊かになれば、伊予が動く」


 もう一枚。


「伊予が動けば、土佐が動く」


 もう一枚。


「その結果、四国全部が繋がる」


 皆が真剣に聞いている。


「だから」


 私(長慶)は讃岐の位置に手を置いた。


「讃岐担当は最初の試金石になる」


 呼ばれた少年たちの顔が引き締まる。


「勘違いするな」


 私(長慶)は少し笑った。


「軍を率いるためではない」


 何人かが目を丸くする。


「城を攻めるためでもない」

「では何をするのですか?」


 誰かが尋ねた。


「説得だ」


 一同静まり返る。


「讃岐の城主、国人、商人、寺社、彼らに伝える」


 私(長慶)は一人一人を見る。


「天領化とは奪うことではない」


 それが最も重要だった。


「領地は残り、家も残るし、当然財産も残る」

「では何が変わるのですか?」


 小一郎が私(長慶)の顔を見ながら尋ねる。


「争う理由が無くなる」


 私(長慶)は即答する。


「城主同士が境目で争う必要が、関所で銭を取り合う必要も、港を奪い合う必要も無くなる」


 皆が黙る。それは彼らの父たちが日々苦労していることだった。


「讃岐には良い港がある。良い塩田がある、そして良い市がある。それならば商いを増やせば良い」


 私(長慶)は言葉を飾らず、本音を言った。


「戦より儲かる」


 思わず笑う者がいる。

 しかし私(長慶)は真剣だ。むしろ、ここは絶対に間違えさせてはいけない。


「戦は一年で終わる。けれど全てを壊す。復旧させるのにものすごい労力と金がかかる。けれど、それがなければ? 港はさらに発展させることができるし、百年稼ぐことができるんだ」


 その言葉に空気が変わる。未来を知る稀人だからこそ言える言葉だった。


「だから讃岐組の役目は」


 私(長慶)は地図の上を叩いた。


「天領化の利益を示すこと」

「利益……?」

「そうだよ。人はね。理屈では動かないものなんだ」

「では何で動くのですか?」


 彦次郎(森元村)が尋ねた。

 私(長慶)は即答した。


「得だ」


 場が静まる。


「田が増えれば税が安定する。港が栄え、飢えなくなる。それを見せる」


 讃岐担当の少年たちが頷く。


「天領化は命令ではない」


 私(長慶)はゆっくり言った。


「願われるものにする」


 それが私(長慶)の考える統治だった。


「『入れてください』と言われる制度を作る」


 皆が息を呑む。


「讃岐はその最初の地だ」


 私(長慶)は讃岐の札を見つめた。未来では戦乱の舞台になった土地。けれど、この時点の、この世界ではまだ違う。ここから四国全土へ、そしてやがて全国へと天領化の輪を広げていく。


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