最終章 終焉⑤
繋がっている…?イクソラ・天鷲雅人の父である天鷲正尚と、宗田が…?
二人は顔を見合わせた。
「ゼウス、一体どういうことか教えてくれ…何がどうなっているのか、もう…分からない…」
〈最後までお伝えしたいところですが、…皆さま、時間です。まもなく、爆弾は日本上空へと到達しました。今から十五分後には日本はもうありません。思い残すことがないように…。皆さま。お会いできて良かったです。出来ればもっといい状況でお会いしたかった。あとの世界は我々人工知能にお任せください。さようなら…〉
「ゼウスっ!ゼウス!」
応答はなかった。キーボードを操作しても“アクセス拒否”と表示される。モニターには二つの爆弾が日本上空へと到達していた。
「…最後の瞬間、君たちと共にいられて嬉しいよ。そこだけは神に感謝だな…」
大道寺の声が聞こえた。後ろを振り返ると、自分の部下に話をしていた。それを聞くと、部下たちは頭を下げる。覚悟が出来たようだった。
「あと少しで、日本が失くなるのか…。私たちもこれで最後だな…。最後はこの目で見ておくとしよう…」
大道寺は静かに部屋を出て行った。他の職員も静かに後をついて行く。
真理子と西条、朋子だけは動けずにいた。
「だって…そんな…まだ何も分かってないのに…このまま死ぬなんて…」
「マリちゃん…もう諦めるしか…」
真理子は西条に抱きつき、泣いた。朋子もその様子を黙って見ている。
誰もいなくなった部屋で、真理子の泣き声だけが聞こえていた。
「最期は…みんな一緒にいましょう…外へ…」
朋子はそう言って二人を外へ促す。
真理子は最後に自分が出来ることをしてから外に行くと言い、一人パソコンの前に座った。
自分のパソコンにゼウスのメモリーカードを入れ、ビデオ画面を開く。軽快な電子音が静かな部屋に響き、録画が開始された。
「今日は二〇八〇年の八月一〇日、土曜日。あと数分で日本が終わります。私は安藤真理子。研究員です。もう一人、西条隼人という男性がいます。私と彼はこの時代に起きたウイルス感染の被害を研究し、目の当たりにしました。ウイルスの正体はラルドウイルス、薬は完成しましたが治療の効果を確認する術はありませんでした。今までの研究、分析結果も添付してあります。もし、いつの日か人類が誕生し、日本が再建された日が来たなら、これを見てください。全ての出来事を記しておきます…」
真理子は残り少ない時間、パソコンの録画機能を使い、何かを記録していた。そして、ゼウスにアクセスし彼のプログラムを書き換えていた。




