第三章 奪還①
[午前七時前]
真理子は朋子に言われた通り、インカムを装着した。すると、しばらくして朋子の声が聞こえた。
『マリちゃん、おはよう。聞こえる?』
「はい。聞こえます…」
『もうすぐ部隊が侵入する。パソコンの準備は?』
「できてます。いつでも言ってください」
『分かった。彼らから連絡が来たら、マリちゃんに伝える。だから、監視カメラ、お願いね』
真理子は頷きながら返事をし、パソコンの電源を入れる。
起動音と共に画面が明るくなる。いつでもハッキング出来るように、プログラム画面を立ち上げる。あとは時間との勝負だった。
[午前七時]
『新田さん、もうすぐ到着します!』
「了解。カメラは任せて…。合図するまで監視カメラに気を付けて待機よ…」
『了解!』
朋子は腕時計で時間を確認する。針は七時を指していた。
「マリちゃん、聞こえる?部隊が到着したわ…カメラ、お願いね。成功したら報告して」
『分かりました…始めます…』
マリちゃん、お願いね…。これが成功しなければ…。
時間だけが過ぎていく。時計を見ると、まだ五分しか経っていない。
早く…早く…。その時、真理子の声が聞こえた。
『おばちゃん、出来たよ!監視カメラ、ハッキングして今は私が握ってる。映像も入れ替えてある。いつでも入れるよ!』
「ありがとう、マリちゃん。私が迎えに行くまで部屋から出ないで。危険だから…」
朋子はそう告げると、コントロールルームへと向かった。
いつもと同じ風景。大きなモニターに部隊の姿は無かった。
「侵入開始。私は地下八階、コントロールルームにいるから」
『了解。侵入します…また後程…』
歩きながらそう伝えた朋子は、周りを確認し、いつものように席に着いた。
「アマリリス様、政府から連絡がありました。」
「なんて?」
「プロメテウス作戦、実行開始です」
「…分かった。こっちも準備始めましょう…」
ライラックは朋子にそう告げると、コントロールルームのメンバーに報告を始めた。
「プロメテウス作戦が実行された。政府は多額の資金と膨大な時間を要して、この作戦を実行するときを待っていた。我々の本当の計画を今こそ実行する。皆、心して掛かれ!」
ライラックが力強く告げると、メンバーは「よしっ!」と気合を入れる。しかし、朋子だけは背筋に異様な寒気を感じていた。こんなバカな計画なんて潰してやる…。ライラック、あなたはここで終わりよ…。朋子は心の中でそう思った。
「じゃあ、私は奥にいるから。“何かあったら”報告して頂戴」
「了解しました」
朋子がコントロールルームの奥にある専用スペースへと移動する。
「入れた?」
『今、エレベーターです。もうすぐ着きます』
「分かった。部屋のロックは開けてあげる。だから少し待機よ」
朋子は真理子に通信した。コントロールルームのロックを解除するよう指示を出す。パソコンを前に、真理子の手が止まる。
「おばちゃん、バンドをかざさないとロック画面は出ないけど…どうする?」
『バンドは関係ないのよ…。腕にあるICチップでみんな開けてるの。バンドはただの班を識別するためのものよ。だから、コントロールルームの扉にハッキングして、自分のICチップの番号を入力する。そして、解除番号を入れるだけ。解除番号は“21ⅩⅩⅩ”』
真理子は言われた通りにハッキングを進めていく。
額に汗が滲む。流れる汗を気にも留めずに、ただ手だけを動かしていく。
「おばちゃん、解除完了!開いたよ!」
『ありがとう。助かったわ。あとはそこで待ってて。迎えに行くから』
[午前七時二〇分]
計画の成功を信じ、実行に力を注いでいたライラックたち。彼の指示により、全ての班の業務は一時中断。幹部はコントロールルームへ集まっていた。
「ついに、実行されたんですね」
「ああ。我々の時代が来るな…」
中央モニターに釘付けになり凝視していたのは、地上を歩くベクターたちの姿。それを“処分”していく軍隊だった。胸には“IFGR”の文字。この施設の関係者だった。
扉が開き、部隊が入ってくる。
「なんだお前たちは!?どこから入った!?」
「ちゃんと礼儀正しく、正面から入りましたよ。気づいてなかったんですか…こんなに人がいるのに…あぁ、カメラもこれだけ設置してあるのに…」
「なんだと、貴様…」
「さあ、返してもらいましょうか…。我々の研究所を…」
いや~特殊部隊、最高ですね(笑)
制服が頭に浮かぶわ~(笑)
絶対に紺色だ…うん…




