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ルークス~最後の希望~  作者: 文月ゆら
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第三章 奪還②

 ライラックたちの前に現れた精鋭部隊。その名はPSBC・内閣総理大臣 特殊精鋭部隊の六人だった。


「ここで大人しく研究所を渡すか、無駄な抵抗をして犠牲者を出すかは、あなた達次第だ。我々は、実弾の発砲を許可されている。計画を潰すためなら犠牲者が出ることを厭わ(いとわ)ない」

「君たちが何を勘違いしているのか分からないが、ここは私たちの研究施設だ。誰が何を言ったのかは分からないが、ここを渡す気はない」

「そうか…こちらの言ったことを理解していないようだな…だったら…」


 緊張感が漂う部屋に、空気を割く音が響いた。思わず身が竦む(すくむ)。辺りを見渡す。しかし何も起きていない。


「今のは空弾だ。二発目は実弾を撃つ。さあ、どうする?」

「…上の者に尋ねる。少し待っていてくれないか…?」

「分かった。その“上の人”もぜひ、連れてきてもらおうか」


 ライラックは朋子がいる専用スペースへと歩いていった。背後には部隊の視線が痛いほど伝わってくる。


「アマリリス様、非常事態です…」

「さっきのは銃声?何が起きてるの?」

「分かりません。しかし、武装したグループがここに侵入しました。あなたを連れて来いと…」

「…そう。分かった。ここは私が行くわ…」


 朋子はそう言って立ち上がる。後ろにはライラックが付いていた。


「いきなりの発砲なんて穏やかじゃないわね…。何事なの?」

「出てくるの遅いですよ。…新田さん」

 

 部屋に衝撃が走った。新田と呼ばれて微笑んでいるのは、自分の仲間で上に立つ者だったからだ。


「ごめんね。ちょっと楽しんじゃって。で…どうなってるの?」

「研究所を渡すつもりはないそうです」

「そう・・・なら仕方ないか…私が話しましょう」


 朋子はライラックたちに向き直り、口を開いた。


「本当にこの施設を渡す気は無いの?」

「あ、アマリリス様…これは一体…」

「あら、気付かなかったの?あなた、勘も良いし、腕も良い隊長でしょ?私はある任務でここにいたの。私の名前は新田朋子。聞いたことない…?」

「新田…朋子…?」


 朋子を前にして、幹部メンバーは怖気る(おじける)。何が起きているのか分からず、動揺しているのが見て取れる。


「新田…朋子……総理直属の諜報員か…」

「そう、正解よ。私は総理の指示で“ある計画”を阻止するために、ここに送り込まれた。けど、それは失敗。今回の事態が起きた。この後に待ち構えている計画だけは絶対に阻止しなければならないの」

「あなたは我々の敵だったんですね…。仲間だと思っていた。だから、あなたが隊長にどんな言い方をしても、我慢していた。けれどあなたが自分で敵だと言うのなら、手加減はしません」


 イクソラはライラックの前に立ち、朋子を睨んだ。


「イクソラ、あなたにも教えてあげるわ。この地下にいるでしょう…?あなたの父親が。いえ、かつては父親だったもの。彼をベクターにしたのはあなたが守るライラックよ」


 朋子の言葉に、一同がライラックに視線を向ける。


「この計画はある人が考案したもの。でも、大勢の人を傷つけることになるからと断念した。けれど、それを魅力的に思ったあなたの父親が元の計画に“あるもの”をプラスし、あたかも自分が考案した計画のように発表した。そして、それが議会で承認された。けれど、そこで問題が二つ浮かび上がったの。一つは“それ”を作り出す場所、そしてもう一つは本当に上手く行くのか…そのためには“犠牲者”が必要になる…と言うこと。そこにいるライラックは、自分の安全な場所と地位とを引き換えに“犠牲者”を出すことに了解したの。その“犠牲者”があなたの父親よ」


 朋子はイクソラに説明した。ライラックがどんな人間で、どんなことをしてきたのかを。

 イクソラは疑いと後悔の目をライラックに向けた。


「私は何も知らず、あなたを守り、この施設のために尽くしてきたんですか?あなたに従えば、いい未来になるとそう信じてきたのに…」

「イクソラ、違うんだ…」

「何が違うんですか!?どんな言い訳を!?」


 イクソラは目に涙を浮かべながら、ライラックに話した。 


「さあ、早く研究所を返しなさい」 

「…渡さない。ここは私の研究所だ。この施設は私が管理してるんだ。政府に渡してたまるか…」

「渡せとは言ってないのよ。返してもらうだけ。あなた、この施設が誰の物か分かってて、拒んでるの?まあ、いいわ。これは最後の切り札だから、取っといてあげる。それで…本当に返す気はないの?」

「ないな…。あるわけない」

「分かった。なら、仕方ないわ…押して」

「了解…」


 朋子が隊員の一人に指示すると、どこからか爆音が響いた。

 場所は“ラボ”だった。


「な、何するんだ!!そんなとこ爆破させたら、ベクターが…」


 イクソラがそう言うも、時すでに遅し。コントロールルーム内には地下にいたベクターが集まってきた。感染し、一度は死んだ肉体。意思など残っていなかった。あるのは、感染者を増やすと言う不確かな本能だけだった。


「や、やめろ…こっちに来るな…」

「殺せないでしょ。かつての仲間なんだもんね…。返すと言えば助けてあげる。言わないなら、助けない。どっちを選ぶ?」

雅子のキャラ、堪りませんね…

結構好きだわ…

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