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ルークス~最後の希望~  作者: 文月ゆら
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第二章 疑惑③

「昨日、寝る前にゼウスに聞いたんだ。“君のここでの仕事はなんだ”って。そしたら、あいつこう言ったんだ。“皆様のお世話です”って。だから俺は“それは表向きだろ?本来の仕事は何だ”ってもう一度聞いたんだ」

「そしたら、ゼウスは何て言ったんですか?」

「“その質問には答えられません。守秘義務があります”って言った。何だと思う?守秘義務って」

「守秘義務か…。見当もつかないです。実は、私ここへ来てから違和感しかないんです。隊員たちもそうですが、ゼウスにしてもここでの業務についても。部屋の二人はもう慣れたようですが…」


 真理子は自分が思う疑問を西条にぶつけた。しかし、疑問に思っているのは真理子だけではなかった。それは西条も同じだった。


「正直言うと、俺も同じなんだ。あの幹部たちを見てみろ。いつも一緒で、何をするにも全員で行動してる」

「でもそれは幹部だからじゃ…」

「食事の時は自由席だろ?けど、幹部たちの席は決まってる。もちろんそれだけじゃない。今、俺が一番疑問に思ってるのは中原雅子のことなんだ…」

「おばちゃんが…?どうして?」


 雅子は真理子にとって家族の次に信頼できる存在だった。職場で困ったことがあったとき、一人でどうしようか悩んだとき、いつも相談に乗ってくれた。そんな人がこの施設と関わりがあるなんて信じたくなかった。


「昨日、隊員に連れて行かれてから今朝まで、少しでも見かけたか?夜は?今は?食事だと言うのに、顔すら見ない。おかしいと思うだろ…?」

「で、でもそれは…きっと何か理由が…」

「もし理由があるとするなら、それはここと関わりがあるからだと俺は思う。君がどう思うかは分からないが、俺は怪しいと思ってる。彼女と一緒に行動してるとき、何か気づかなかったか?今回の事態のこととか、ここのこととか…」


 真理子は首を横に振った。何も思いあたらない。雅子を信頼して行動していたから、今更怪しいところがなかったか聞かれても思いつかなかった。

「ま、アネモネ…もしか…」

 西条が何か言いかけた時、イクソラの声が騒がしい室内に響き渡った。

「食事中に申し訳ない。この後の行動について、言っておくことがある。今日から君たちの業務が始まる。朝食が終わり、一旦は自室に戻るがその後は業務だ。時間は八時半から。それまでは各自自由に過ごしてくれて構わない。また時間が来たら、ゼウスが教えてくれる。…そうだな?ゼウス」


〈その通りです、イクソラ様〉

「時間が来たら各自の持ち場へと向かってくれ。今から場所を言う。覚えておくように。分からなくなったらゼウスに聞いてくれ」

 

 彼はそう言うと、各自の持ち場を発表した。


「【医療班・アスクレピオス】場所は五階の一号室。【調達班・クロノス】場所は同じく五階の二号室。【保護班・ウラノス】場所は同じく五階の三号室だ。そして、【解析班・アテナ】場所は六階の一号室。【制圧班・アルテミス】場所は同じく六階の二号室。そして最後、【調査班・アネモイ】場所は同じく六階の三号室だ。間違えないように注意してくれ。これで説明は終わる」


 イクソラはそれだけを言うと、ライラックに一礼し、食堂を出ていった。その後を追うように、幹部メンバーは次々に部屋を出て行く。残されたライラックは一人コーヒーを片手に物思いにふけっていた。

 真理子は食事を終え、西条に先に部屋へ戻ると声を掛けた。


「アネモネ~行こう~」


 羽衣に声を掛けられ、小走りで駆け寄っていく。その様子を静かに、鋭い眼光で見ている人物がいた。ライラックだ。彼が何を考え、どうしようとしているのか全く読めない。

 自室に戻ってきた真理子は、タンスから白衣を取り出し羽織る。


「なんだか懐かしいな…この感じ。ついこの間まで着てたのに、もうずいぶん長い間着ていない感じがする」

 

 物思いにふけっている真理子を見て、羽衣が声を掛ける。


「まり…アネモネはやっぱり白衣が似合ってる」


 羽衣にそう言われ、真理子はそっと微笑む。羽衣とカクタスの手にも白衣があった。

 そしてゼウスが時間を知らせるまで、彼女たちはずっと話していた。

 就業開始の合図をゼウスが知らせる。

 真理子は深く深呼吸をし呼吸を整えた。三人は地下六階の解析ルームへと向かう。エレベーターの中には西条もいた。腕には青いバンド。真理子たちと同じ解析班だ。その他にも青いバンドを腕に着けた男性が二人いる。名前…コードネームはまだ知らない。


 青いバンドを腕に着けた、真理子、羽衣、カクタス、西条、そして男性二人。彼女たちは地下六階、一号室の前まで来た。扉は乳白色でいかにも重そうなドアだった。窓はなく、蟻一匹も入れなさそうな雰囲気だ。扉の中心には青いラインが一本引かれているだけ。ちょうど胸の高さの場所には認証システムが設置されている。


「扉を開けるにはバンドをかざす…だよな?」


 西条は自分のバンドを認証システムにかざした。すると重い扉は音もなく静かに開く。まるで真理子たちを歓迎しているかのように室内は明るく、広かった。班のメンバーは、一人また一人と室内に足を踏み入れる。

 室内にはもうすでに一人の男性が彼女たちを待っていた。


 「え…あなたは幹部の……」

さあ、やっと仕事が始まりますよ。ここまで読むの長かったですね…お疲れ様です。

ここからは科学や医療に関すること盛りだくさんですよ。

もし間違っている情報があれば、いつでも教えてくださいね。


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