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商工戦士オーダンナ―  作者: 宮城 英詞


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9/10

危うしミオ!オーダンナー反撃せよ

「よっしゃ!クリーンヒットや!」


 初の異星人メカに対する有効打に工場内は沸き立った。


 だが、向こうは爆発四散することはない。


「ミオちゃん、まだ動くよ!」


 チカが、そう叫んだ瞬間、オーダンナーは再び後方に飛ばされた。


 途中で建物にぶち当たり、車を押しつぶして倒れ込む。


 どうにかその辺りがクッションになったようだが、中のミオはあちこちのエアバッグに当たり、中で激しく揺さぶられる格好になった。


「ミオちゃん!」


 思わず、叫ぶチカ。


 一瞬の沈黙ののち、ミオはどうにか頭を上げる。


『……大丈夫、だいぶびっくりしたけど……』


 不意を突かれてさすがに驚いたようだが、ミオは無事な様だった。


 核兵器でも大丈夫と言うのは嘘ではないのだろう。


 格闘戦モードの構えだったので、左手の小型シールドに当たった事も幸いしていたようだ。


「オーダンナー」も動作に問題は無いようである。


 だが、二度の不意打ちを食らったミオはさすがに堪えていたようだった。


『なんやこれ、全然効いてへんの?』


 何とか起き上がりながらそう言うミオに、ヒロシは必死に、シャコメカの様子を確認する。


「追い打ちをかけてこん所を見ると、そこそこ効いとるようや。せやけど、急所はついとらんのやろう」


 確かに、向こうも動作にある程度支障が出ているのか、パイロットが動揺しているのだろう。ダウンから立ち上がったばかりのような、ふらふらした動作をしている。


 恐らく、攻撃を仕掛けたというよりは、無我夢中で振り払ったという攻撃ではなかったのだろうか?


『……急所ってどこよ?』


 同じくどうにか態勢を立て直したミオの問い。


 それに、ヒロシは画面をのぞき込みながら唸り声を上げた。


「宇宙人の作るもんのセンスはようわからん。あの頭みたいな所がコックピットやろか?」


『手当たり次第どつかなしゃぁないってこと?』


 確かに、異星人のメカはどの部品が何のためにあるのかすらよくわからない。


 かと言って、接近するたびにあんなパンチをもらっていてはミオの身が持たないかもしれない。


 ヒロシは、その状況を見て再びミオに指示をだした。


「ご近所迷惑やけどしゃぁない。もう一度後退や。電線にひっかけて、もう一度動きを止める。今度は一撃離脱! ソロバーンでどついたらすかさず後退や!」


『……それが良さそうやな』


 ミオは父の言葉に同意すると、すぐに「オーダンナー」を後退させた。


 それにシャコメカは追いかける姿勢を見せ、そして今、電線の前で立ち止まった。


「何?」


 チカがいぶかしがると同時に、シャコメカの正面に円形の回転鋸がせり出してくる。


 それは、電線を次々に切断し、シャコメカは前進し、「オーダンナー」との距離を詰め始めた。


 それにヒロシとチカは予想外の動きに言葉を失う。


「学習しとるな」


「よく考えたら、異星人も動物じゃないんだから、流石にそれくらいの知能はありますよね」


「しかし、カラクリの多い機械やな」


 予想できない動きに忌々しげに舌打ちするヒロシ。


 彼は別画面の地図を確認すると、次の指示を下した。


「ひとまず。向こうの正面に立ったらアカン! 近くのホームセンターの駐車場に逃げ込め!」


『確かに、あそこなら!』


 言うが早いか、再びミオは逃走に移った。


 どうやら、速度はこちらの方が早いらしい。


 そして、周辺の地図は頭に入っている。


 慌てて追いかける向こうのメカを尻目に、ホームセンターに駆け込むのはそう難しい事ではなかった。


 逃走しながらも、ミオは必死に、武器スロットルのコマンドを探る。


『なんか飛び道具ないん?』


 ゲームではよく使っていた射撃武器が無いのにやはり戸惑っているようだ。


 移動しているミオからの要望に、一同は首をすくめた。


「いや、なんぼなんでも町工場に鉄砲の技術はなぁ……銃刀法違反になるし」


『……肝心な所で常識持ってくるの腹立つわぁ』


 父の返答にミオは歯ぎしりしてうなった。


 要するに、飛び道具はない。


 相手が追いかけてくる以上、否が応でも格闘戦をしなければならない。


 チカも、この状況に有効なのは何なのか答えを出せずにいた。


 そして、やはり追いかけてくるシャコメカ。


 ミオはどうにか、ホームセンターの駐車場までたどり着くことができた。


 避難指示に従ったのか、騒ぎを見て避難したのか、駐車場はがらんとしている。


 おかげで、周囲を気にせず動くことはできそうだ。


 ミオは「オーダンナー」を旋回させると、電線を切りながら移動してくるシャコメカを迎え撃つ姿勢を取った。


「さっきも言うたが、正面からは危険や。回り込んで横から攻撃や! 足を狙えば、少なくとも動きは止まる」


『理屈は判るけど、ほかに使える武器ないん?』


 さすがに、格闘戦武器一本では心もとない。


 それに、ヒロシは手元のタブレットを手繰り寄せて、声をかけた。


「左手のシールドが回転するようになっとる。小型電熱式回転カッター! 名付けて「コ・バーン」や!」


 やはり格闘戦武器。


 「またなんか変な名前やけど、ないよりマシや!」


 ミオは大きく息を吸い込み迷わず叫んでいた。


『コ!バァァァァーン!』


 ……。


 が、何も起きない。


 ミオが首を傾げる様子にヒロシは何が起きたか理解したようだ。


「あ、それ音声起動、間に合ってないねん。武器スロットの四番目な」


『だから先言えって!』


 無意味に叫んだミオは顔を赤くして叫んでいた。


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