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商工戦士オーダンナ―  作者: 宮城 英詞


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10/11

戦えミオ!駐車場がリングだ!

 ミオは、必死に状況を確認していた。


 高感度カメラで見える向こうのシャコみたいなメカは、ようやく駐車場に入った所だ。


 クソ親父の作ったロボット、丈夫なのはありがたいが武器が近距離のものしかない。


 これで向こうがビームでも撃ってくれば、おしまいであるがそう言う装備は、無いのか今の所、必死にこちらに近づこうとしてきている。


 なら、状況は五分!


 あのパンチも耐えたのだ、逃げられない以上何とかするしかない。


 が、敵のメカにまた変化が現れた。


 姿勢を低くして頭らしきものをこちらに向けたと思ったら、筒状の何かがせり出してくる。


 それは回転を始め、こちらを威嚇するようにじりじりと近づいてきた。


「何やあれ?」


 ミオがそう言うと、それに答えたのは工場のヒロシだった。


『掘削用のドリルに似てるな。気いつけや。流石にあれ食らったらどうなるかわからんぞ』


「ドリル?そんなん聞いてへんで?」


『当たらなければどうという事はない!動きで翻弄するんや!』


 ヒロシの言葉に、ミオは舌打ちした。


 ダメージ大の敵の武器。


 だが動きはこちらより遅い。


 ゲームでは何度かやったとことはあるが、実際やるとなると流石に考えてしまう。


 何しろコンテニューはなし、いくら頑丈なコックピットとはいえ限界はあるのだ。


 足を狙う、できれば、関節の付け根。


 あそこなら、それなりに、ダメージは入るはず。


 ミオは必死に攻撃をイメージし、そして息を大きく吸った。


「よし!やったろうやんか!」


 そしてミオはペダルを思いっきり踏みしめた。


 加速がかかり「オーダンナ―」は前進する。


 そして、ミオはそれに合わせて、レバーを倒す。


「オーダンナー」は右に旋回して、シャコメカの側面に回り込んだ。


 思った通り向こうは旋回がしづらいようだ。


 ミオは右側の足に向かって突進した。


「獲った!」


 右側に三本ある足の一番後ろ脚の付け根を狙ってレバーとボタンを押す。


 次の瞬間、ミオの目には「ソロ・バーン」の鉄杭が突き刺さり、関節を破壊する映像が映っていた。


「これでどうだ!」


 続いて左側のレバーとボタンを押し込む。


 イメージした通り、盾が回転し、砕けた関節をさらに逆サイドから砕いた。


 たまらず急速に前進しようとするシャコメカ。


 だが、ミオはこのポジションを取られまいと必死に後ろ脚に張り付くように追いかけた。


「もう一本!」


 そして、もう一回左腕の「コ・バーン」を回転させる。


 だが、動く相手には狙いが定まらず。足装甲らしい部分に命中していた。


 金属音と、反動がコックピットに伝わる。


「コ・バーン」は装甲を削り取った反動で、「オーダンナ―」の腕から外れ、あらぬ方向に吹き飛んでいた。


「クソッ!」


 もうここは危険だ。


 慌てて「オーダンナ―」を後退させるミオ。


 だが、その動作は駐車場の壁にひっかかり。しりもちをつくような形で後ろに転んで停止した。


「ミオちゃん!大丈夫?」


 何度目かのチカの声が聞こえる。


 シートから何から、空気の風船と衝撃吸収素材で作られているのか、強烈に布団に突っ込んだような感覚だが、こんなもの何回も味わうものじゃない。


 何しろ前後に急激に降られるだけでも、体になかなかのダメージが入る。


 ミオは、どうにか機体を起こし、


「……大丈夫、さっきよりはマシやから」


 と言って、チカに無事を伝えた。


 そして、制作者への苦情も忘れない。


「何やねんあの武器! 二回目でお釈迦になっとるやんか!」


 それに、対する親父の返答は相変わらずの調子だった。


『まぁ、一回攻撃をもろに盾で受けとるからなぁ。軸かどっかが痛んだんやろ』


「盾なんか武器なんかはっきりせんもん作るからやろ!」


 まったく、一体何を当てにしていいかわからない。


 ミオは、父に悪態をつきながら、状況を再度確認した。


 向こうは、旋回を終わらせてこちらに向かっている。


 武器は右手の「ソロ・バーン」だけだが、横に回り込むやり方は使える。


 ミオは、迷わず相手の右側に回り込もうとペダルを踏んだ。


 いくら足が六本もあってバランスが取れているとはいえ、片側二本失えば流石にバランスはとれないだろう。


 が、敵はそれを読んでいた。


 こちらの動きに合わせて斜め前に前進、接近するオーダンナ―を正面に捉えようと動いたのである。


「マズい!」


 ミオがそう叫んだのは、さらにその右側にホームセンターの園芸コーナーがあり、その先に回り込めない事だった。


 慌てて引き返そうとストップしたその瞬間、「オーダンナ―」の正面に異星人のメカが迫って来ていた。


「しまった!」


 ミオが叫んだ瞬間、またあのパンチが飛んでくる。


 襲い来る衝撃。ミオのヘッドマウントディスプレイは、ブラックアウトした。


「え!?なに?」


 どうやら頭部についていたカメラが、壊れたらしい。


 機体が転倒したわけではないが、ミオにとっては正気を失いそうなほどの状況だった。


『安心せい、たかがメインカメラがやられただけや!』


『大惨事ですよ!』


 そして、ヒロシとチカの声が聞こえ、すかさず画面が切り替えられた。


「ミオちゃん!見えてる?この角度でいい?」


 そしてチカの声が聞こえる。


 それはどうやら、チカの操縦するドローンの映像のようだった。


 ミオは、どうにかそれで状況を把握した。


「どうにか見えるは見えるけど、照準がつかんし、距離がつかめんわ。こうなったら逃げることも……」


 と、そこまで言ったところで、シャコメカがドリルを回転させる音と映像が届いた。


 その光景に、ミオの顔は青ざめる。


「……嘘やろ?」


 それは考えたくもない、事だった。


 向こうはこちらをスクラップにしようとしている。


 このままではこの機体ごとバラバラにされるのだ。


 なんでこんな目に?


 親父の酔狂に付き合って死ぬとか、そんな事ありえんやろ?


 様々な想いがミオの頭を駆け抜ける。


 そして、目の前でシャコメカはドリルを回転させながらこちらに前進を開始した。


『ミオちゃん!逃げて!』


 聞こえるチカの言葉。


 ミオは、それに歯を食いしばり、レバーを握りしめた。


「なめんな!」


 ドローンからの映像で、間合いが狂っているので、イメージするしかない。


 カンでレバーを倒し、ペダルを踏みしめる。


 ミオは「オーダンナ―」をドリルが突っ込んでくるギリギリのタイミングで回避させた。


 ミオは目前のシャコメカの「頭」にオーダンナ―の拳を撃ち込むイメージでレバーを操作する。


「やられて、たまるか!」


 それは、無我夢中の操作だった。


 壊れんばかりにレバーを握りしめ、前に倒しスイッチを押す。


 そして、ミオの叫び声とともに「オーダンナ―」の右手はイメージ通り、シャコメカの「頭部」にめり込んだ。


「オーダンナー」の右手はその時、不可解な輝きを放っていた。


 



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